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働くことの喜びを。

「もしもし……小寿々さんですか?Aです。お久しぶりです」
と、受話器から懐かしい声が耳に響いた。

私はボディケアやアロマ、ヨガ、レイキのレッスンをするセラピストの仕事を20年間していました。
歯科衛生士として働いていたのですが、結婚を機に正社員の仕事を辞めて保健所でパートとして働きながら「虚弱な身体をどうにかしたい」と、身体の勉強をはじめたのがきっかけです。
もともと身体について学ぶことが大好きだった私。
セラピストの仕事をはじめた時も、毎日が楽しく、お客さんやアロマやヨガなどのレッスンを受けに来た生徒さんと触れ合う時間はやりがいもあり充実していて、これぞ天職!と毎日鼻息荒く仕事をしていました。
開業して数年した時、「ここの地域で姉が言っていた施術を受けられるのはこちらしかないのでお願いします」と元気な声で予約の電話をしてきたのがAさんでした。
Aさんはいろんなマッサージを受けているがいまいちスッキリしない。と言っていて、いつも重たい鞄を持ちながら、仕事を一生懸命頑張っていました。私より一回り歳上でしたが、とっても若くエネルギーあふれる可愛い女性で、会うたびに笑顔をいただいていました。
セラピストとしていろんな方の身体に触れてきたのですが、Aさんはいつも身体がガチガチで、私が施術しても良くなっていっているのだろうか……。と悩む時もありましたが、身体のこと心のことを更に勉強してあらゆるアプローチをしていきました。
毎週、かかさず通ってくださり、旦那様や、学生の娘さんも施術を受けてくださり、いろんな話を聞かさせていただく時間も嬉しくあたたかな時間でした。
数年後、私は引っ越すことになりAさんが通うには遠くなってしまうことを話し、市内に私と同じ施術ができる方がいたので、そちらに通っていただければいいな、とお伝えしました。Aさんも残念そうにしていて、私もとても寂しいなぁと思いながらも、新しくなった環境で仕事を続けました。その後、娘を出産。自分の生活にさまざまな変化がありましたが、それにあわせて仕事を調整していきました。
お客さんや生徒さんと真剣に話したり笑ったりする時間が本当に大好きで、一生この仕事を続けていくんだ! そう思っていました。
しかし突然、筋痛性脳脊髄炎という病気になり、痛みやだるさで動くことができなくなってしまい、仕事ができなくなりました。
病気になってからの数年はあまり記憶がなく、ここ2、3年になりようやく前を向いて過ごせるようになりました。
治療法がない病気だけれど、病院には通うから費用はかかるし、娘の将来のためにもお金稼ぎたい! 働きたい! って気持ちがムクムク湧き上がってきたのです。

そんな中、Aさんから突然電話がかかってきました(冒頭に戻る)
私は声を聞いてすぐにAさんだとわかりました。
「うわー! お久しぶりです。元気ですかっ!」と興奮する私。
「はい! 元気です。 娘ももう子供が二人もいるんですよ。おばあちゃんになりました」
と教えてくださり、私も
「うちの娘も15歳になりましたよ」
「お子さんできたんですねー!」
と言われ、そうだ私子供できないって当時医師に言われていて、Aさんを施術していた頃は娘はいなかったことを思い出しました。
ということはAさんとは15年ぶりなんだ!と驚き胸がキュン? っていいますか、なんていうのか、なんていうんでしょうか? 懐かしさにちょっと泣きそうになりました。
「施術はやっていますか?」と聞かれたので、病気のことを伝え
「私と同じ施術をしているお店も増えているので、Aさんのご自宅の近くにもあると思います」と伝えましたら、
「小寿々さんがいいんです。小寿々さんの施術が受けたいのです。娘と話していて、むかし小寿々さんが言っていたことがやっぱり身体にいいんだよ! って話し合っていたんです。15年前にいただいた転居先のハガキを大切にとってあるので、また会いたいです」と言っていただきました。できることなら施術をしてあげたい! と真剣に思い、私の中のどこかにセラピスト魂が残っているのを感じた瞬間でした。
その後もいろいろお話しをし、笑顔で受話器を置きました。
あの頃、まだセラピストとして自信もなく技術を磨きながら一生懸命頑張っていた自分によかったね、って。こんな風にセラピストだった私のことを忘れずにいてもらえることって最高に幸せだよ。と伝えたくなりました。

私は働くことが大好きです。
でも今は病気の痛みや怠さで身体を自由に動かすことが出来ません。
それでも、何かできるかな?と書くことを続け、素敵なご縁があり本を刊行していただきました。最近も、『本を読み返して元気をいただいています』と、お手紙や連絡をいただき、嬉しいなぁ、幸せだな、と有難い気持ちでいっぱいになります。
今の自分ができることで仕事をしっかりしたい!気持ちはたくさんあります。さまざまな経験ができ、お金もいただき、人との出会いもあり、仕事をすること、できることの有り難みを動けない身体になった今、とても強く感じます。
なかなか女性が働くのに優しい社会ではないのが現実で、働くっていっても難しい方が多くいると思います。(私もです)
それでも何かよい方へ変われるように!と、
行動を起こしてくれた方がいます。
umiさんが
大きな一歩を踏み出してくださった!

umiさんは出会った頃から凛として、前に進む姿を尊敬していました。
私の知らないことを知っていて、行動もしていて、かっこいいのです!
何かをはじめるとき非難する方もいますが、口で文句を言うだけで何もしない人より、しっかり行動できる人を私は尊敬しています。
現状から変わるときはワクワクしつつ、どこか怖さもあります。怖いと思うのは自分が知らない世界だから。私はいろんなことを知りたいと思うし、この先社会に出て行く子供たちに自分たちが苦労したことを同じように背負ってほしくないと思っています。そのためには今の現状を変えていくことを、考えたり、行動していかないと!とumiさんの姿を見て、強く思いました。

umiさんからとても熱いパワーをいただきました!umiさんのおかげで、働いてきたことや、働く楽しさを思い出しました。
ありがとうございます。
クラファンも今後の活躍も応援しております!!


最後まで読んでいただき
ありがとうございます。

心から感謝の気持ちを込めて。

横山小寿々

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