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目に見えぬこだわりが好きだ

職人にしかりあらゆる仕事においてこだわりがあるはずです。それが目に見えないものだとしてもやらずにはいられない。そんなこだわりがとても好きです。

髪を切る時に大きく分けると2つやり方があります。
通常のハサミと同じように横にしてまっすぐ切るのと、縦にしてちょんちょんとやる切り方。

最近は前者のやり方にはまっています。

それぞれ仕上がりに特徴が出て、シルエットや質感に大きな差がでます。

まっすぐ切っていくとシルエットがはっきりとする。しっかりとした骨組みを作りまとまりのまるフォルムを作れる。

その反面、毛先をぼかしたり軽くしないと重くて硬い質感になるためその加減が難しい。

縦にハサミを入れると切り口が最初からギザギザなためなじんだ柔らかい質感になります。

まっすぐ切る時ほどぼかす必要も少ないが、伸びた時のまとまり具合が髪質によって欠けてしまうこともある。

トレンドやお客さまの髪質の変化などに合わせていろいろな切り方を勉強し提供してきて、今はまっすぐ切るようにしています。

それは、シルエットをはっきり作るデザインに魅力を感じているから。

美容室に来た際に「好みの髪型になって嬉しい!」だけでなく、一人ひとりを認め肯定したい気持ちがあります。

その人の意志や想いを強調したり、これでいいんだという強さをヘアスタイルに落とし込むのに、この切り方が最適なんです。

ブランドカット(まっすぐ切るやり方)で形を作り、毛束をつまみ頭の丸みに合わせてぼかし柔らかさを出す。いらない毛量を減らす再現性を高め、顔や雰囲気に合わせて整える。

さぁこれで大丈夫。最高のデザインで今日からまた頑張っていこうというメッセージを込めて。


と言いつつ、そんな技術的なこだわりはお客さまからすると違いがわからないかもしれません。どの切り方でやっても同じようにすることはできるし、両方を合わせてやることもある。

多分、美容師が見てもわからないかもしれない。わかるのは自分だけ。

そんな自分にしかわからないこだわりを持って仕事をしている人が好きだ。

どんな仕事にも終わりはなく、自分なりのやり方が生まれてくるはずです。数をこなせば同等のクオリティを考えずとも作れる。

心ここに在らずでも見た目に差がない仕上がりになるだろうが、それはきっと作業といえる。それはこれから機械やAIがやってくれる。

人間にしかできない作業は、それに目に見えないこだわりを詰めた仕事だと思います。想いとこだわりを込めたその人らしいもの。

作業は誰にでもできます。でも仕事は違う。

誰にも気づかれないかもしれない自分のこだわりを持つことが、持続可能にいいものを作れる最善な方法だと思います。

今日もこだわりを持ち仕事をする人に最大のリスペクトを。

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