烏目浩輔

実話怪談系の話を読んだり書いたりが中心です。 たまに雑記とか別のお話も。 一応は書籍化…

烏目浩輔

実話怪談系の話を読んだり書いたりが中心です。 たまに雑記とか別のお話も。 一応は書籍化してもらった作品もあるのですが、その話はおいおいということで。

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  • 実話怪談の記事を集めました。

    こつこつと更新している怖いお話を、実話怪談集としてまとめました。 基本的に一話完結であり、各話に繋がりもありません。一話目から順番に読んでもらっても構いませんし、気になった話だけ読んでもらっても構いません。 お好きなように、ご自由に読んでください。

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実話怪談 #00 「まえがき」

実話怪談について  僕は小さな店を切り盛りしている自営業者です。その職業柄というべきか、年間約七百人のお客さんと言葉を交わします。会話の内容は人それぞれですが、なかには奇妙な体験談を話す方もいらっしゃいます。いわゆる怪談話というやつです。  その怪談話を収集しておよそ十五年になります。  拙い文章ではありますがそれを文字に書き起こし、実話怪談集として一話ずつ公開しています。全部で五十話程度になる予定です。  基本的に一話完結であり、各話に繋がりもありません。一話目から順

    • 実話怪談 #53 「ポタリ……」

       これは十代後半の女性、水原さんの談である。  水原さんは大学に入学したさい、一人部屋の寮に入ることにした。実家からの距離を考えると通学するのは難しかった。  寮を生活をはじめて三ヶ月ほどが経った頃だった。水原さんは深夜一時になっても、必須英語の勉強を続けていた。高校のときから英語が苦手で、単位を落としそうで不安だった。    水原さんは勉強するとき、いつも髪をお団子に結う。長い髪が手もとに落ちて邪魔なのだ。その日も髪をお団子にまとめて、ローテーブルに教科書を広げていた。

      • 伊勢神宮 『三大疑問』

         別の記事でもちらりと書いたが、ぼくは伊勢神宮が好きで、年に3~4回は参拝している。先週の5月7日にも参拝してきた。  だからだろう。伊勢神宮に詳しいと思われているようで、ちょくちょく知人から伊勢神宮について質問される。  特に以下の三つの質問は多い。 1:伊勢神宮で個人的な願い事は禁止なのか? 2:外宮と内宮には、詣でる順番があるのか? 3:片参りは縁起が悪いのか?  この三つの内容はネット上でもよく取りあげられており、さまざまなWEBサイトで、さまざまな見解がなされて

        • GW休暇中で、ここしばらくはPCの前にあまりいませんでした。でも、今日からnoteの記事をチェックさせてもらいます。 ちらほら顔をだしますので、よろしくお願いいたします。

        • 固定された記事

        実話怪談 #00 「まえがき」

        • 実話怪談 #53 「ポタリ……」

        • 伊勢神宮 『三大疑問』

        • GW休暇中で、ここしばらくはPCの前にあまりいませんでした。でも、今日からnoteの記事をチェックさせてもらいます。 ちらほら顔をだしますので、よろしくお願いいたします。

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        • 実話怪談の記事を集めました。
          54本

        記事

          僕は明日3日から一週間GW休暇です。出掛けることが多いので、休暇中は皆さんの記事を読めず、スキもできないかもしれません。どうかご勘弁をー。 あと、さっき気づいたのですが、僕が書いた怪談話に、プロの小説家さんからスキをいただいていました。うれぴー。 いいこともあるもんですね。

          僕は明日3日から一週間GW休暇です。出掛けることが多いので、休暇中は皆さんの記事を読めず、スキもできないかもしれません。どうかご勘弁をー。 あと、さっき気づいたのですが、僕が書いた怪談話に、プロの小説家さんからスキをいただいていました。うれぴー。 いいこともあるもんですね。

          実話怪談 #52 「石段」

           これは二十代前半の女性、小山さんの談である。  小学生の頃の話だという。  当時住んでいた実家の近くに二十段ほどの石段があった。両側に古い民家の壁が迫っているせいか、昼間でもどことなく暗い感じのする石段だった。  友達の家に遊びにいった帰り道のことである。  小山さんは帰路の途中にあるその石段をおりはじめたのだが、数段おりたところで足を止めて背後を振り返った。すぐ後ろに誰がかいるような気がしたのだ。  しかし、振り返ってみても、誰の姿も認められなかった。 (気のせいか

          実話怪談 #52 「石段」

          実話怪談 #51 「クミちゃん」

           三十代前半の女性、福井さんの談である。  福井さんには五歳になる娘さんがいる。  ある日曜日に娘さんをつれて近くの公園に向かった。すると、砂場の隅に赤ちゃんの姿を模した人形が座っていた。セルロイド製とおぼしき人形で、赤いベビー服はひどく汚れていた。置き忘れたというよりは、捨ててあるような印象だった。  娘さんが人形を拾おうと手を伸ばしたので、福井さんはその手をぴしゃりと叩いた。加えて言葉でも強く叱った。 「人形は拾っちゃダメ! 絶対にダメだからね! わかった?」  叱

          実話怪談 #51 「クミちゃん」

          実話怪談 #50 「意図がわからない」

           十代後半の女性、野口さんの談である。  高校三年生の野口さんは、二階の自室で受験勉強をしていた。  すると、誰かの足音が部屋の外に聞こえた。深夜の自宅はしんと静まり返っており、足音はやけに大きく聞こえた。    ミシ……、ミシ……、  フローリングの床が軋んで音がしている。足音は部屋の前の廊下を通り過ぎると、しばらくしてからまた戻ってきた。  ミシ……、ミシ……、  野口さんは勉強をしながらぼんやり思った。 (お姉ちゃんかな……)  野口さんの部屋の隣に姉の部屋が

          実話怪談 #50 「意図がわからない」

          実話怪談 #49 「ギィィ……」

           二十代前半の男性、前田さんの談である。  中学生のときの話だという。  それまで住んでいた2LDKのマンションから、4LDKのYマンションに引っ越した。中古のマンションではあったものの、古びているという印象はなく、なにより部屋がふたつ増えたのがよかった。引っ越し前には叶わなかった自室を与えてもらった。    Yマンションに住みはじめてから一週間ほどが経った頃だった。前田さんは夜の十時頃に自室のベッドに寝転んで漫画を読んでいた。すると、奇妙な音が耳に届いたという。  ギィ

          実話怪談 #49 「ギィィ……」

          実話怪談 #48 「ときどき本当に」

           十代後半の女性、川瀬さんの談である。  現在の川瀬さんは高校生だが、当時は小学校高学年だったという。  近所に評判のよくない三十代後半の男性が住んでいた。酒に酔ってしょっちゅう暴れまわり、ギャンブルによる膨大な借金があり、複数の女性に結婚詐欺じみたことを行なっている。  そういう悪評が立っている男性だった。  嘘か実かは判然としない話だったが、男性に騙された女性が自殺を図ったという噂もあった。  川瀬さんは学校帰りや母親の買い物についていくときなどに、その男性をちょくち

          実話怪談 #48 「ときどき本当に」

          ちょっと忙しいので、しばらくnoteの更新が遅くなるかもです。 もし、実話怪談を楽しみにしてくださっている方がいらっしゃったら、すみません。 ところで、塩けんぴという芋けんぴをお土産にいただきました。すっごい旨い! 止まらなくなる美味しさです。 これを書きながらも食べてます。

          ちょっと忙しいので、しばらくnoteの更新が遅くなるかもです。 もし、実話怪談を楽しみにしてくださっている方がいらっしゃったら、すみません。 ところで、塩けんぴという芋けんぴをお土産にいただきました。すっごい旨い! 止まらなくなる美味しさです。 これを書きながらも食べてます。

          実話怪談 #47 「シニマブイ:後編」

           巾着袋の中身は石だという。鉄のように重い石の正体が気になったものの、詳しく知っていけないし、見てもいけないそうだ。  翌日から石嶺さんはSさんにもらった巾着袋を制服のポケットに忍ばせて通学した。どうにも頼りのない巾着袋だったが、それからまったく男児を見かけなくなった。一年生のあいだも二年生のあいだも男児の姿を見せず、ついには高校を卒業するまで一度も姿を見ることがなかった。  Sさんのユタの能力は本物だったのだろう。巾着袋を頼りのないと思ってしまったことを申しわけなく思った

          実話怪談 #47 「シニマブイ:後編」

          実話怪談 #46 「シニマブイ:前編」

           三十代前半の男性、石嶺さんの談である。  現在の石嶺さんは大阪に移り住んでいるが、二十二歳までは沖縄県で暮らしていた。生まれも育ちも沖縄で、大阪には就職を機に出てきた。    話のはじまりは小学五年生のときだたという。  夏季はしつこいほど青空の日が続く沖縄も、秋から冬にかけては曇りや雨の日が多い。十一月の初旬のその日も、空はどんよりと曇っていたそうだ。  小学校で体育の授業中だった石嶺さんは、運動場の隅っこに見知らぬ男児がいるのを認めた。どこか古臭い浴衣を着たその男児

          実話怪談 #46 「シニマブイ:前編」

          実話怪談 #45 「視界の端」

           これは二十代半ばの女性、島崎さんの談である。  二時間ほど残業をした日のことだという。  職場の最寄り駅は地下鉄のS駅であり、そこから電車に乗りこんだ島崎さんは、座席についてぼんやりしていた。すると、視界の右端にすうっと入ってくる人影があった。  少し離れたところに乗降ドアがあり、そのすぐそばに誰かが立ったのだ。  視界の右端だと目の焦点が合っていないものの、髪の長い女性ということだけはわかった。  島崎さんはなんとはなしにその女性に目を向けた。ところが、女性は視界の右

          実話怪談 #45 「視界の端」

          実話怪談 #44 「倦怠感」

           これは三十代前半の女性、木下さんの談である。    木下さんはスタッフが五人いるサロンで、美容師として三年前から働いている。身を切るような冷たい風が吹く十二月の半ばに、五十がらみと思われる痩身の女性を担当した。数日前にオンラインで予約が入った新規の客だった。  女性は予約時間の午後四時ぴったりに美容院にやってきた。希望のメニューはカットと白髪染めだった。  高圧的だったり嫌な態度を取るような客でなかったが、女性はとにかくどんよりと暗くて無口だった。木下さんがなにを話しかけ

          実話怪談 #44 「倦怠感」

          実話怪談 #43 「忘れる」

           二十代後半の女性、広川さんの談である。  広川さんは総合病院に勤めて四年目、中堅クラスに入る看護師だった。  ある日の夜勤で入院病棟の巡回をしていた。  病室は三階から六階まであり、下から上に順番に巡回していく。消灯した廊下は真っ暗で、懐中電灯が必須だった。  やがて広川さんは担当しているすべての病室をまわり終えた。さいわい、入院患者にこれといった異常は見られなかった。  六階から二階のナースステーションにおりるために、広川さんはエレベーターホールに向かった。すると、向

          実話怪談 #43 「忘れる」