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思い切ってやる

為末大著『熟達論』を読みました。現代の五輪書と言われ、熟達のプロセスを「遊」「型」「観」「心」「空」の5段階で捉えています。表表紙にある「人はいつでも学び、成長できる」という言葉が印象的です。
1つ目の段階「遊」は「遊び」で、最初に遊びから始めることの大切さを説いています。印象的だったのが「思い切り動く」という視点です。人はどうしても躊躇したり制御したりしようとしてしまいます。まず、思い切ってやってみる、少なくとも思い切ってやろうとしてみることは、初めてのこと、新しいこと、少しハードルが高いことにチャレンジするとき、大事であると感じます。

『修羅の門』(川原正敏作、講談社)という漫画でイグナシオという空手家が登場します(23巻)。化け物のように強い主人公たちにどう戦うか師匠に相談します。師匠は「心配すな」「ちゃんと研究した」と言った後、「おもいっきしいったればええんや」とだけ言います。それを聞いたイグナシオは「気いつきませんでしたわ」とつぶやきます。20代の頃に読んだ漫画です(1995年発刊)。30年近くが経ちますが、「おもいっきしいったればええんや」は、私が初めてのこと、新しいこと、少しハードルが高いことにチャレンジするときに、心の中でつぶやく言葉です。

話し合いでも初期の段階では、うまくまとめようとするのでなく、ブレインストーミングなどで思い切り意見を出し切るのが大事です。ブレインストーミングでは「批判厳禁」「自由奔放」といったルールを設けます。大事なのは、今がどの段階か共通認識を持つことでしょう。
今までそのイベントに全く関わっていなかった方に、急にいろいろと口を出されてイラっとしてしまったことがあります。しかし、相手は、まとめる段階でなく、あくまで、遊びの段階、発散の段階での意見なのだと捉えなおすことで、イライラはなくなりました。

為末大氏は、「相手の段階が違えば、時には正反対のアドバイスをする」と書いています。今がどの段階か認識しながら、最初の段階や新しいことにチャレンジする段階であれば、思い切ってやってみる機会をつくっていきたいです。

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