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シゲキちゃん


小1のガキの頃、近所のガキどもで草野球やローカルルールのかくれんぼや鬼ごっこ、裏山の獣道沿いの秘密基地(山の中に防空壕みたいなのが有った)など、クソガギのアドベンチャー仲間だったシゲキちゃん。


いつだったかシゲキちゃんは草野球のスタジアム、通称「グラウンド」にチャリで行く時に盛大に車に撥ねられて3ヶ月くらい入院した。
長い入院期間はクソガキでも大変な事故だった事を察したし、事故の目撃者は悲惨な事故だったと話していた。


数ヶ月後にお見舞いを兼ねてシゲキちゃんの家に遊びに行ったが・・・

そこに居たのは端正な顔立ちとシュッとしたスタイルだったシゲキちゃんとは程遠い容姿の太って浮腫んだ大柄シゲキちゃん。
自宅なのにやけに余所余所しくて、自宅の間取りも宝箱代わりの引き出しの位置も忘れてしまったようだ。


容姿が変わったのは治療による影響とはシゲキちゃんのお母さんからは聞いていたけど、そもそも俺の名前も近所の友達だった事も忘れていたり、秘密基地に行く途中のクワガタ採取のポイントなど昔の記憶はほぼゼロの状況。アドベンチャー物語の思い出話を語ったところで全く噛み合わないし反応も薄い。交通事故って怖いと悟ったし悲しい気分だった。


今振り返ればシゲキちゃんは何かしらの調達手段で家族になった新型のシゲキちゃんだと思う。

そして、退院して数ヶ月で突然の引っ越しだった。新しい家を建てたのか、生活環境を変えたのか分からないが、ドリフターズの舞台転換のような素速さで空き家になってて寂しかったな。

今でもたまに思い出すんだよな。