THE Chocolateの #マーケティングトレース

皆さん、こんにちは!
先日、黒澤友貴(@KurosawaTomoki)さんが主催している #マーケティングトレース のイベントに参加してきました!
初めてマーケティングトレースを行ったのですが、実際にやってみるとかなり難しい!!
そしてマーケティングを学ぶ上で、読書だけでは得ることが難しい実践性があると思い、
自分でも定期的に取り組み、noteにまとめていこうと思います!

今回はその第1弾として・・・明治さんのTHE Chocolateについて取り組みます!

明治とTHE Chocolateについて

会社概要:株式会社明治
事業内容:牛乳・乳製品、菓子、食品の製造販売等
設立:1917年12月21日
売上高:1兆566億37百万円
“明日をもっとおいしく”をコーポレートコピーにして、おいしく健やかな日々の生活に貢献する身近な会社を目指した活動を行っています。
チョコレート事業には90年以上も続く「明治ミルクチョコレート」、定番の「アーモンドチョコレート」「マカダミアチョコレート」、楽しくておいしい「きのこの山」「たけのこの里」、など数多くのヒット商品を抱えている。

https://www.meiji.com/
出典:明治HPより

THE Chocolateの概要

すべての商品がカカオ比率50%~70%になっており、ジャンルとしては近年人気のハイカカカオチョコレートである。
また日本になかった、日本のチョコレートを。をメッセージとして、
製造者がカカオ豆(BEAN)から板チョコレート(BAR)までを、一貫して手がけるスタイルである「BEAN to BAR」を採用している。

ラインナップについて、発売当時はBitter・Dark milkの2種類になっている。
聞きなれない“ダークミルク”という言葉ですが、砂糖の使用を控えて、カカオとミルクによる香り・旨味を大事にしたTHE Chocolateが作った新ジャンルになっています!

https://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/the-chocolate/
参照:明治 THE CHOCOLATE HPより

続いて、明治 THE Chocolate がどのようにして、ヒットをしたのか考えていきます。

1.2016年当時の市場状況について


チョコレート市場は2013年以降拡大を続けており、2016年においても伸長を続けておりました。
その背景としては、2011年頃よりカカオポリフェノールがダイエットや高血圧に良いということがメディアで取り上げられ始めて、チョコレートは健康に良いという認知が生まれ始めたことがきっかけでした。
中でもハイカカオチョコレートはカカオポリフェノールが効率的にとれ、砂糖と乳脂肪が少ないことが評価され、じわじわと広がっていった感じです!

スライド1

http://shogyokai.jp/articles/-/601
出典:商業界オンライン
データ元:インテージ全国小売店パネル調査〈SRI〉調べ

顧客状況:
ハイカカオチョコレートについて、健康に良いという認知は拡大していったものの、あまり美味しくはないというトレードオフの関係が生活者のイメージとしては残りつづけました。
インテージのSCIデータによると、ハイカカオ購入者は50~60代がメイン購入者となっており、味に不満があったとしても健康に良く、嗜好品を楽しめるという観点から続けている人が多かったのではないだろうか。

スライド2


http://shogyokai.jp/articles/-/601
出典:商業界オンライン
データ元:インテージパネル調査〈SCI〉調べ

競合状況:各社既存のハイカカオ商品を強化、もしくは新規投入を行い、ハイカカオ市場は盛り上がりを見せていきます。
森永製菓:カレ・ド・ショコラ 明治:チョコレート効果 ロッテ:おいしいハイカカオなどがあり、各社ともカカオポリフェノールをたっぷりと含んだ健康価値を訴求していきました。
また生活者からハイカカオチョコレート=美味しくない・苦いというイメージもあり、それを払拭するために、各社が味の向上・改善の訴求を多く打つようになりました。

ここでいったん市場状況を3C分析でまとめてみると以下になります。

スライド3

チョコレート市場においては通常のチャネルに出ていない高級ブランドも含めると競合も多く、差別性を持たせないと厳しい市場であり、生活者もハイカカオが健康に良いことは知っていても、味がネックになってしまい、なかなか若年~中高層が獲りきれていない。
⇒ここに味や健康以外での価値づくりをして、ゲームチェンジをする必要があった!のではないだろうか。

2.THE Choolateの戦略分析


まず競合・市場を考えていくと、チョコレート市場は商品数が多く、味・価格・付加価値の面で競合や自社の他ブランドとの差別性が出しにくい。
商品セグメントにおいては、伸長しており、一般チョコレートとは違う価値を持つ“ハイカカオ”チョコレート市場に絞っていく。
顧客セグメントは①健康意識 ②味 ③価格受容性 の3つを購買要因として整理していく。

【ターゲット設定】
3C分析からハイカカオ市場においては50代以上がメインになっており、30~40代が獲りきれていないことが分かる。
しかし30~40代は健康意識が高くなる傾向にあり、一般的に所得も高く、購買力は高いため、ハイカカオチョコレートで獲得できるポテンシャルはある。
ここを開拓市場に定め、コアターゲット像を設定していく。
(以下がThe Chocolateが獲得したいコアターゲット)
・30代前半女性(未婚・有職者)
健康意識が高く、毎日の生活を豊かに過ごしたいと考えている。
品質だけでなく、自分が共感・好きになったものを取り入れたく、価格が見合うと判断すれば購入する。
仕事だけでなく、趣味の時間やみんな過ごす時間を大切にして、アクティブに行動もする。

【コアターゲットに描いてもらいたいポジション】
上記のターゲットから購入をされるには、こだわりがあり、私の生活に合う・豊かにしてくれると感じてもらう必要がある。
そのため、まず一般的なチョコレートではなく、専門店のようなこだわりを持たせることを検討していく。
そしてこだわりのあるチョコレートは価格が高い傾向にあるので、普段使いよりはご褒美的に消費されることを考え、そのセグメントの中で比較的安く入手できるポジションを目指すことにしたのではないだろうか。

STPをまとめると下図になります。

スライド4


3.基本戦略と4P

健康で豊かなライフスタイルを送りたい大人の女性に“こだわりのあるチョコレート”を“リーズナブル”に届けることが基本戦略にあり、それを実行するための4Pを設定していく。
基本戦略と4Pについては図にまとめている(下図)

スライド5

【成功要因の整理】
大きく3つの要因があると考えられる

① 専門店に負けない“こだわり感”のあるチョコレートづくり
商品~広告~店頭まで一貫して、THE chocolateが作りたい世界観を表現しきっている。
(味・成分だけでなく、プレミアム・非日常感を演出するCM・店頭で異彩を放つパッケージとすべてがしっかりと計算されている)

② 一般チャネルを主戦場として、高価格に見える中価格で勝負したこと
これだけこだわったチョコレートであれば、本来はLOFT・ハンズ・プラザなどで展開したくなる。しかしそういった洒落たチャネルには輸入品を含む“イケてる”チョコレートが多く、埋もれてしまう可能性が高い。
そのため、置いただけで差別化が図れる一般チャネルにあえて絞ったのではないだろうか。

また価格も一般チャネル内では高く見えるが、ほかの高級チョコに比べたら安く、自分にご褒美をあげたいが、時間・お金の余裕がない時に手が届くような価格帯になっている。

③ 上記の2つを実現できる明治の総合力
Bean to barチョコレートをこの価格で実現できること・競合多いチャネルで棚を獲りきる販売力と川上から川下までを一貫で連携できる組織体制があることが最大の強みだろう。

4.最後に


長々と書いてしまいましたが、以上でTHE Chocolateのマーケティングトレースを終わります。
当時はパッケージや椎名林檎さんの独特なCMが話題になって、色物として流行ったように思っておりましたが、分解してみるとかなり作りこまれた戦略性が見えてきて面白かったです!
あくまで私の主観による分析なので、違う考え方・意見があればコメントいただければ嬉しいです!

ありがとうございました。


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