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初めての入院とお別れ

妊娠20週、私たちはお腹の赤ちゃんとお別れすることになった。
理由は、染色体異常の関係でリンパ腺がうまく機能しなく、心臓のところにまで水が溜まってしまっていたから。

ポコポコと、胎動を感じる。

私たちの場合は妊娠12週を過ぎていたので、普通のお産と同じ扱いで産後8週間の休暇を取得することになった。入院の日程が確定後、残り数日で仕事の引継ぎを行うことになり、とても忙しい日々だった。

仕事を約2か月お休みすることになるので、引継ぎでバタバタしていた時のこと、お腹がポコポコと動いた。
「これが胎動か…」
お別れが決まってから、あと数日というところで感じた初めての胎動。赤ちゃんがあばれているようだった。

初めての入院

妊娠12週を過ぎると、普通のお産と同じような流れで手術をすることになる。私の場合は、3泊4日産婦人科に入院することになった。入院自体初めてだったので、手術のリスクなどの説明ですっかり青ざめてしまい、怖くて怖くて仕方なかった。
最初の2日間は妊娠誘発剤の薬を投与し、無事に分娩当日に手術も終えて、3泊4日の入院も終了。後遺症なども無く、スムーズに終わった。入院や手術の詳細は割愛するが、無痛分娩を選んでも、背中も痛いし、眠れなかったし、まるで自分に起きていないことのようだった。

意識が遠い中でそのまま退院の手続きを行い、火葬業者の人と打ち合わせを行った。正直、今思うとあの時の自分は正常ではなくて、現実を逃避して遠くをずっと見ているかのようだった。

火葬とお別れ

分娩から4日後。まだ貧血で目の前が真っ暗になったり、頭痛で倒れそうになったりする。
火葬当日は、よく晴れた夏の日で、青い空がいつもよりも広かった。
双方の両親にも来てもらい、みんなで火葬を行った。
手のひらサイズの骨壺はあまりに小さくて、それでも懸命に生きていたんだなと、胸が苦しかった。

私たち2人のことを選んでくれて、ありがとう、ありがとう。




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