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好きなことがある人は強い

今日は仕事の話。

私の職業は作業療法士。リハビリの仕事をしている。リハビリと言っても病棟や外来でのリハビリではなく、今は訪問リハビリに携わっている。

訪問リハビリとは実際に患者さん(利用者)のお家に行ってリハビリをするもので、利用目的は様々。

買い物に行けるようになりたい、手すりを付ける位置を検討してほしい、退院後で体力が落ちてるから運動したい、自主練習を教えてほしい、バスや電車に乗る練習をしたい…などなど。

介護支援専門員から依頼を受け、プランに沿ったリハビリを提供する。

利用者のお家にお邪魔するので、「お邪魔します」に始まり「お邪魔しました」で終わる。そんな仕事。


現在とあるおじいさんとリハビリを担当。そのおじいさんはボウリングが趣味で今でも週1回チームに参加してプレイしている。
肺炎で入院した影響で体力が落ちたため、体力を戻してほしいとの依頼でリハビリを開始した。現在は体力は戻り、ボウリングを楽しんでいる。

もうボウリングできるくらい元気だから、リハビリ終わりでいいんじゃない?って思われるかもしれないが、今後もリハビリや看護師が訪問する必要がある。というか、これからどんどん医療の介入が必要になってくる。


それはおじいさんは末期癌だから


麻薬を使いながら痛みを抑えて生活。緩和病棟の見学も済ませている。はっきり余命は聞いてないけど、長くはないんだろうなぁと思いながら訪問している。

「末期癌です」と診断されたら、自分だったら毎日どう生きるだろう。そのおじいさんは「またチームでボウリングをしたい」との強い想いがあり、肺炎後のリハビリを頑張って家族の協力を得ながら好きなことを楽しんでいる。

ボウリングに行くようになり、一段と元気になって体力もついてきてる。麻薬を使いながらの生活は変わらないし癌は確実に進行してるんだけど、以前より笑顔が多くよくお話されるようになった。


「好きなことがある人は強い」


私が癌宣告されたら何もしたくなくて、毎日家に引きこもって生活してるんじゃないかな。好きなことがあるっていいな、強いなと思った。

癌に限らずだけど、リハビリに明確な目標を持っている人って少ない。特に高齢者は身体の自由も効かないし、一日中テレビ見て過ごす人が多数。興味関心もどんどん薄れ、「リハビリしたって仕方ない、寝てる方が楽でいい」となりどんどん体が衰える。

寝てるとまた体力低下して、身体が動かなくなり寝てる時間が長くなる。引きこもり、他者と関わらなくなり、身体機能も認知機能も低下する。悪循環。


この悪循環を断つ方法って、やっぱり生きる目的があるかどうかなんだろうなぁと思う。


はっきりとした趣味じゃなくても、家族と喋ったり食事をしたい、ペットの世話をしたい、料理をしたい、友達に会いたいとか。

好きなことがあると生きる目的ができ、人生に張りが出る。

最後まで自分らしく生きることができる。

今回のおじいさんを担当して、いろいろ考えさせられた。


私が今できることは、話を聞きながらボウリングで凝った腕や腰を揉んであげることくらい。

癌が進行したら、できるだけ家で過ごせるように支援する。

家族もすごく協力的で、おじいさん一人ではボウリング行かせられないから、送迎をしたり、ゲーム中はずっと待っている。これだけ家族が献身的なのは、これまでおじいさんが家族に尽くしてきた結果だろうなと思う。

最後の最後に、全て自分に返ってくるのよね。

おじいさんが一日でも長くボウリングができますように。


私も好きなことをたくさん作って、楽しい老後にしたいな。
特にカメラは一生続けていきたい趣味。
おばあちゃんになっても、カメラ片手にお散歩できたら最高。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



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