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質問の枠組みを考える

私の仕事は作業療法士。現在は訪問リハビリの部署を担当している。

リハビリ学校での最大の山場と言えば、実習

私にとっては、国家資格の勉強よりも実習の方が辛かった。まだたくさんのレポートが課される時代で、寝る間も惜しんでレポートを書いた。しかし頑張って書いたレポートは赤ペンでかなり訂正され、ほぼ始めから書き直すハメに。

そんなあまりいい思い出のない実習。(良い思い出がある学生なんているのだろうか…?)そんな中でも、いくつか印象に残っているエピソードがある。


精神科での実習にて。
患者と上手くコミュニケーションが取れずに悩んでいた時、バイザーがヒントをくれた。

「その人(患者)にとって、その質問は枠組みが大きすぎるのかもね。人それぞれに合わせた質問の枠組み設定が必要だよ」


質問の枠組みとは?私が10年以上の臨床で心掛けているコミュニケーションスキルについて紹介する。


質問の枠組みを細分化していく


例えば、患者に「調子どうですか?」と質問してみたとしよう。
(在宅生活している人とします)

自分の体調を適切に言語化できる人であれば「膝が痛いけどなんとか動けています。休み休みだけど、家事もできてるよ」と日々の調子を教えてくれる。

一方で知的障害や認知症、高次脳機能障害、はたまた言語化が苦手な人にこの質問をすると、「特に変わりないですね」と返ってくることが多い。もしくは見当違いの話やまとまりのない内容になる。


「調子どうですか?」はかなり質問が大雑把過ぎる。言語化が苦手な患者からすると「どうって聞かれても、どう答えたらいいかわからない、何聞かれているかわからない」となる。


枠組みが大きい質問



こういう時は質問の枠組みを小さくしてみる。

「痛みはどうですか?」
「夜は眠れていますか?」
「トイレまで安全に行けてますか?」
「ご飯は食べてますか?」


枠組みを小さくしてみる


どんどん質問を細分化していき、患者の言語化能力に見合った質問の枠組みを見極める。すると、大きな枠組みの時に「特に何もありません」と答えていた患者にも、何かしらの体調不良や生活での不便が生じていることがわかってくる。


これをいつも「調子どうですか?」と聞き続けていたら、適切な患者支援はできないだろう。「特に変わりない」との返答は疑ってみて、質問の仕方を変えた方がいい。相手が「この質問なら答えやすい」となるポイントを把握できればコミュニケーションが円滑になり、本当のNeedが引き出しやすい。


臨床に出て経験を積むと、セラピストは自然とこの枠組みの使い分けをしていると思う。でも改めてこの現象を言語化してくれたバイザーのおかげで、新人の頃から質問の仕方を考える癖がついた。きっと現在の作業療法士経験に役に立っていることだろう。



今回はリハビリ現場の話をしたので、医療職以外の人はピンとこないかもしれない。でもどのような現場でも応用できるコミニケーションのスキルだ。


例えば後輩指導にて「あなたはこれについてどう思う?」と質問したときに、ハッキリとした答えが返ってこなかったとしよう。それは後輩が何も考えてない訳ではなく、何を聞かれているのかどう答えたらいいのか、わからないのだ。

そんな時も質問の枠組みを小さくするを意識して質問を細分化してみる。すると、後輩の意見が聞けるかもしれない。慣れてきたら、また質問の枠組みを大きなものに戻してみよう。きっと以前よりも後輩はスラスラ質問に答えられるばす。


◇◇◇



以上、私が苦い苦い臨床実習で学んだコミュニケーションスキルでした。実習では色々学ばせてもらったけど、もう二度としたくない!笑 国試か実習か選べって言われたら絶対国試の方がいい。(なんの二択?)うん、これからも学生や新人には優しくしよう。笑


最後まで読んで頂き、ありがとうございました。


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