窓際のおっさん9 人材育成難と人材不足(後編:渋るOFFーJT、嫉妬、これからの人材育成)

 会社にいると色々ある。どうにもならない事ばかりで、禄を食むためだけにひたすら受け流して暮らしている。時には反撃してみたり、動き回って相手を撃ち落とすこともあるけれど、会社全体としては何らプラスがない。それでも一筆積み上げれば、誰かの一遇は照らせるかもしれない。そんな想いで今日も筆を取る。

 前回は自分で研修を行おうとする人に対する、揶揄の存在や、負担の集中についておっさんの経験を述べた。また、組織には困った人がいるもので、研修の手柄を横取りしてやる気を奪うような人がいることもこの場を借りて暴露した。

 最終回の今回は組織の外を中心とした人材育成、所謂OFFーJTが根付かない理由や、人間的な理由による人材育成困難について述べ、まとめとしたい。

<OFF-JTの価値を分かっていない>


 現在は知識も技術も陳腐化しており、上の人間が良しとするような古い手法や技術は、正直言って時代遅れであることも多い。ドローンの自主研修グループをスタートしたのもそう言った状況に一石を投じたい想いからでもあった。

 他にも資格や、会社外の活動と言った成果や能力の発揮を、積極的に評価することが今の社会では足りていない。
 別の投稿でも述べたが、30年前の成果主義による人事評価は形骸化しており、会社外の、本当は会社にとって有益になるはずの能力や経験を評価する軸を完全に捨ててしまっている組織もある。

 また、OFFーJTはお金がかかるものである。会社が講習の受講料や、資格試験の受験料を出してくれる場合はまだ良いが、それは一部の優良起業で、社内の業務に関係のあるものに限られているケースが多いと思う。

 日本において過半数のケースでは、個人が私費で個人に投資して能力をつけたり、会社外の活動で成果を上げているように思う。会社はそのノウハウやリソースをタダで使おうと言うのであれば、もっとその社員に報いてやって欲しいとおっさんは思う。形式はお金でも名誉でもいい。それがいずれ健全な人材育成の連鎖につながるのだから。

<嫉妬による妨害>


 良いルール下でも、案外困った上司が多く、ルールの解釈を変えて、人材育成や個人の成長を妨害したり、ブレーキをかけてくることがある。以下はおっさんが、本当に言われた妨害の数々である。

法定義務の特別教育講習について、早く行かせようとしたら
「講習に行かせるとそうでない人に不公平だと言われるのでお金は出せない。」
「役所であれば、公費で資格を取得することになるので、市民から不満が出る。」
(法定義務を満たさない方が遥かにまずい)

クレーンの特別教育講習にするか、一つ上のトン数の技能講習にするか
「最低限の資格でいいはずだから、上位資格は取らせない(たった5000円の差で、隣の工場でもつぶしが利く人材になれるのに)。」

ボイラタービン主任技術者が15年間ずっと1名しかおらず、後任不在が問題となっており、そこでおっさんが取得要件を満たしたので申請しようとしたところ。。。
「法律では3年だけど、ウチの会社は取得人数が多いので、経済産業省から人数絞られているんだよね。それに3年だと面談で落とされるし、実質4年は必要だと思うよ。俺もそうだったから。そこを無理に資格取りに行ったら、うちの会社で一生取らしてもらえなくなってみんなに迷惑がかかるよ(どうしても取らせたくないらしく、事実無根の理屈まで主張して書類作成の協力をしない)。」

 愚痴になってしまったが、本当にこんな人達ばかり権力を持っていて改善がない。そんなに下が育つのが嫌なのだろうか。立場を失うことを恐れているのか。嫉妬しているのか。いずれにしても好ましくない空気がこの国には蔓延している。

<これからの人材育成>


 このような世界では、人材育成はかなり難しい。また結果として人材不足はなかなか解消しないと思われる。ではどうしたら良いのか。おっさんは以下のように思うところである。

・すでに手遅れになっているので、まずは仕事自体を無くすことや簡略化する方向にかじを切り人材不足を解消する。

・一本槍の無資格者を年功で据えるのではなく、広範囲な専門性や先見性を有する人材を上役にする。現役の人たちは面倒ではあるが、反抗できる限り困った上役に反抗して、あるべき人材登用に変えるよう、一石を投じ続ける。

・マネージャクラスは、資格や外部講習、会社外部の動きについてもっとよく知り、それを利用し、先を見据えた人材育成する。会社外での活動をなんとか会社内の成果と結びつけ、OFFーJT関連の重要性を示すよう舵取りをする。

 人は人が育てると思う。忙しさや社会的要因よりも、育てる人間自体の問題が多いように思う。おっさんの立場としてはこのように体験を明らかにして啓発し、後は願うしかないところも多い。しかし、なんとか皆で協力して事態を変え、人材不足のない幸福な社会を作れればと思うところである。

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