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高齢者の転倒しやすい場所

高齢者が転倒して一番恐ろしいのは、骨折(特に多いのが大腿骨近位部骨折)して歩くことが出来ずに寝たきりになってしまうことです。

母が通うデイケアでも、この一週間で転倒した人がいなかったかの確認を毎回されるそうです。「今日は何人だった」「今日はいなかった」といつも教えてくれます。その度についつい「お母さんも気を付けてね」としつこく言ってしまう娘です。いつもしつこくてごめんね、お母さん。

もちろん手術をされて経過も良く、リハビリも順調で元に近い生活を送られる方もいらっしゃいます。しかし今までの看護師経験の中で、看護学生が学ぶ教科書に書いてある通りに、転倒 → 骨折 → 入院 → 寝たきり と言う経過をたどられる方も少なくはありませんでした。

中には認知症が進む方もいらして、手術してもリハビリが上手くいかず自宅へ戻ることが困難で、急遽入居出来る施設を探すことになるのですが、なかなか施設が見つからずに転院先の病院を探したりと大変な思いをされていたご家族もいらっしゃいました。

東京消防庁ホームページに記載されている救急搬送データで「65歳以上の高齢者の日常生活事故」を見ると、2015~2019年の5年間の搬送者333,234人のうち273,491人(82.1%)が転倒による搬送となっています。そして2019年の主な転倒場所で最も多いのが「住宅等居住場所」33,524人(56.0%)、次いで「道路や交通施設」20,609人(34.5%)となっており、屋内での転倒は「居室・寝室」22,902人と最も多いと発表されています。

https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/202009/kkhansoudeta.html

今でこそバリアフリーが大きく謳われますが、すべての住宅が整っているとは限らず、玄関や居室の境界線段差があるご家庭が多いのではと思われます。外では気を付けないとと気が張っても、毎日を過ごす住み慣れた自宅では警戒心が薄れてしまうのかもしれません。

床には足を取られないように物を置かない、廊下や階段、浴室やトイレなどには可能であれば手すりを取り付けるなど、転倒防止策を検討いただきたいです。

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