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ボケるのも悪いことばかりじゃない

岡野雄一さんが描かれた「ペコロスの母に会いに行く」と言うコミックエッセイがあります。認知症の母を持つ岡野さんの切なくも温かいエッセイです。同じ長崎県出身という共通点と、高齢の母親の介護と言う題材に、岡野さんに対して勝手に親近感を抱いています。(岡野さんの母みつえさんのイラストが、うちの母に何となく似ていることもお気に入りなところです。)

認知症のご家族の介護をされている方には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

認知症の方の介護は、そうでない方の介護よりも何倍も何十倍も労力を要します。娘や息子のことがわからなくなったり、暴言を吐かれたり暴力を振るわれたり、悲しくなったり時には怒りたくなることもあるでしょう。一生懸命ご家族のことを思って接しても、その気持ちが通じず報われない気持ちになりますよね。

ネタばれになるので多くは書きませんが、そんな気持ちもふっと笑いに変えて心を軽くしてくれる岡野さん。「ボケるのも悪いことばかりじゃない」と言うメッセージは、介護がつらいと思っている方にそっと寄り添ってくれます。

この本の中に、車椅子に乗ったみつえさんとベビーカーに乗った赤ちゃんがすれ違うシーンが描かれています。すれ違いざま、どちらも笑顔で手と手を出して触れ合うのです。

「命がふたつならび、すれ違う。人生の重荷を降ろした笑顔と、人生の重荷をまだ知らない笑顔の、なんとよく似たことか」岡野さんの言葉がこのカットに添えられています。

こんなことを言ったら否定される方もいらっしゃるでしょうが、介護と子育ては似ているなと思うのです。共通点があると言ったほうがいいかもしれません。

子どもは出来ることが増えていき、高齢者は出来ないことが増えていく。だから全く違うよと思われるかもしれません。

でもどちらも自分の思い通りにはいかない。相手のペースがあります。

歯がゆくなったり、イライラしたりそんな気持ちにもなるでしょう。

あなたが生まれたばかりの頃、あなたが介護している親御さんは同じことをしてくれましたね。夜中におむつが濡れて泣くと起きて来ておむつを交換してくれて、お腹が空いたらゆっくり時間をかけてご飯を食べさせてくれて、気持ちが満たされたらすやすやと安心して眠りにつけましたね。

そんなことを考える余裕なんかないほど大変でしょうが、そんな時だからこそ思い出してほしいのです。

今日もあなたは十分に頑張りました。
そんな自分をしっかり褒めて、ゆっくり休んでくださいね(。•ᴗ•。)

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