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【文章講座】プロ作家への道②激務、のち、いきなり独立

【文章講座】を始めるにあたりプロとして歩んできた経験を綴ります。
ご興味のある方にご高覧いただけましたら幸いです。

▶︎雑誌全盛期の濃厚すぎる業界経験

 
まったくの未経験者にもかかわらず
大手出版社の編集プロダクションに入社したのは
1991年のことでした。

ソ連でクーデターが勃発し、
日本ではバブル経済が崩壊するという激震の年です。

もっとも、出版業界に於いては雑誌が黄金期で
バブル崩壊の影響はあったものの
仕事が減っていったという実感はありませんでした。

コピーライターというと、多くの人が
街中や駅などで目にする巨大な広告を
イメージするのではないでしょうか。

コピーライターにも色々あり、
私は出版社の仕事をしていたので
記事型のものを手がけることがほとんどでした。

具体的にいえば、ある出版社から出される
月刊誌や週刊誌に掲載される広告や
各種刊行本の帯や広告などです。

私は女性月刊誌や週間情報誌に掲載される
記事型広告を中心に手がけていました。

記事型広告というのは、一見、記事なのだけれど
実は電化製品の広告だった・・・というようなもの。

ストーリー仕立てになっていたりします。

週間から月刊まで、主に雑誌を担当するということは
ひっきりなしに仕事をしている、という状態になります。

月刊誌だけならともかく、
そこに週刊誌が割り込んでくるからです。

今週発売となる誌面のゲラチェックをしながら
翌週に掲載となる記事を書く

といった状態で、それが1本だけならまだしも
3本、時には5本にもなりました。
 
  

▶︎定時で帰りますが、なにか?

 
それでも、私はほとんど残業をしませんでした。

元来あまり丈夫な体質ではなく
それなりのメンテナンスが必要だからです。

その時間を確保するために、日中は頭をフル回転させ
次々と仕事を上げていきました。

今、想い出してみても、ありえないスピードだったと思います。

文字通りしゃかりきに書きまくって
18:30になると、「じゃ、お先に失礼します」と退社。

ところが、当時は「24時間 働けますか?」の時代です。

定時で帰る私に対して、チーフは不満を抱き始めました。

あるとき、「なんで帰るんだ?」と問われたので

「もう、仕事あげてありますから。残っている意味がないんです」

と、さらっと応えました。

これが当時は、「宇宙人の発言」に等しかったのです。

しかし、そこで終わりませんでした。

同じようなことを再度、問われた時
私も若かったこともあり、ちょっとうんざりしながら

「就業時間内に仕事を終えられないって、どういうことなんですか?」

と、言ってしまったのです。

チーフは、当時の私には相当なオッサンに見えましたが
たぶん40代前半くらいだったのではないかと思います。

新入りの25歳女子から、
「能力低いんじゃね?」発言をぶっ放されて
根に持たないわけはありません。

次第に雰囲気は悪化していきました。
 
 

▶︎誰も気づかない看板を掲げる


短期間に大量の仕事をこなしたせいか
半年後には、すっかり「経験者」になっていた私。

その頃のコピーライターといえば糸井重里さんが
大絶賛売り出し中で、カタカナ職業の中でも憧れの的でした。

仕事は大変でしたが、けっこう良い気分だったものです。

次々と仕事をこなし、出版社の担当さんとの関係も
そつなくこなしていけるようになったためか
次第に社長が直で仕事を私にもってくるようになりました。

チーフはおもしろくなかったようです。

社長が自分を飛び越していくわけですから。

そんなことが続くうち、ふとしたことからチーフと
仕事のことで意見が分かれ、ちょっとした言い争いとなりました。

それが端緒となり、決別に到ったのです。

独立するなら、三年は経験を積んでからじゃないと
どうにもならない

ということは十分わかっていながら、
二年足らずで退職しました。

何の未練もないような顔をして
風を切って辞めていきましたが
その実、心の中は不安ではち切れそうでした。

こうして私は、事実上、独立したのです。

今のようにインターネットもSNSもなく、
新聞や雑誌にお金を払って「記事書きます」の広告を打つか
ビラ配りでもするしかない時代。

旗揚げはしたものの、その「旗」は無色透明で
誰も知らない、気づきようもないものなのです。

それでも、私は「フリーライター」の看板を掲げたのでした。

<つづく>
  

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