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白は憧れの色、すべての色を包み込む最後の色

白い色が好きです。
雪の中で白い人がたたずんでいる。
そんな絵を、遠い昔に見た気がします。
絵本の世界だったのかも知れません。

でも、もっと遠い、日本ではない、たとえばシベリアとか?
そのビジョンは、もしかしたら過去世から来ているかも知れません。

冬の写真を撮って欲しいとお願いして、魚住心さんに撮影していただいたところ、なぜかあがってきた写真が「もうすでに自分の中にあった」という、不思議な感覚に陥りました。

「そう、これだったんです」
「この世界です」

そんな感覚。これは今まで経験したことがありません。

白は、憧れの色。
すべてを包み込む最後の色。
人生の最後に、こんな世界に辿り着きたい。

ずいぶん前になりますが、こんな詩を書いたことがあります。

花は白

 気づけば
 白い花に惹かれている
 百花繚乱のなかにあり
 一秒とかからずに
 一寸迷うこともなく
 もう白をとらえている

 花は白がいい
 白い花がいい
 その日 真白き花が咲く
 喜び 悲しみ 愁い 迷い
 淋しさ 悔しさ 優しさ 愛
 ありとあらゆる色彩を
 すべて素直に受け入れた
 そのあげくの無垢な白
 生まれながらの白よりも
 なお清く深い白

 その日 真白き花が咲く
 ゆっくりと
 まぶたが閉じられる
 正にその時
 露を抱いた純白の花が
 にっこりと
 咲くだろう

「その日」とは、命が終わりを告げる日です。
肉体を置いて魂の故郷へと帰る日。
人生における、様々な出来事を経験して・・・つまり、喜びも悲しみも、憎しみも慈しみも、憤りも虚しさも、何もかも経験したあげく、辿り着く日です。

その感情とは、極彩色のイメージです。
強烈な色、暗い色、淡く優しい色もなにもかもが混ざり合っていくことを想像すれば、どろどろと黒になっていくのが普通なのだと思う。
けれど、その黒を反転させることが、できるのではないかと私はどこかで信じているのです。
そして、そうありたいと願っている。
すべてを捨てて捨てて捨て去りきり
浄化して浄化して浄化しきって、静かな白の世界にたたずんでいる。

この人生の最後の日が、そんな日であることを、私は願っています。

白い世界に憧れるのは、だからかもしれません。



写真:魚住心


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