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帰ることのない旅に持って行く一冊の本
ふと思いました。
帰ることのない旅に出るとして
その旅にたった一冊の本を持っていくことができたなら
どの本を持っていくか。
答えは、1分もかからずに出ました。
![](https://assets.st-note.com/img/1659592301745-PCbssgAsBY.jpg?width=800)
それで娘にも同じことを訊いてみたのです。
ちなみに娘は25歳。
うーん、と悩んで
一冊に決められないからと、3冊あげてきました。
ランサムの 『ヤマネコ号の冒険』
そして
サン・テグジュペリの『夜間飛行』と『人間の土地』。
ああ、なるほどと思いました。
ママは?と訊かれたので、「わりとすぐに決まったの」と
岡倉覚三の『茶の本』と、明かしました。
そしてすぐに
「最初は小泉八雲の『日本の面影』かなぁと思ったんだけど、その直後に、いや『茶の本』だと確信したの」
と、話したのです。
「ママ何回も読んでその度に泣いてるよね」
「なんか泣いてるなと思ったら『茶の本』読んでたこと何度もあったしね」
娘は笑いながら、そう言いました。
でも事実で、開くたびに感極まり涙するのです。
『茶の本』は、いつもそばにあって
ふと手に取っては開いてみる。
そこには溢れるような想いと
宝石のような言葉が綴られている。
岡倉覚三のかなしみが
よくわかる。
日本への、日本人への
世界への、人類への
ひいては宇宙への
燃えるような愛が感じられる。
![](https://assets.st-note.com/img/1659592301686-c8fVGCA8ba.jpg?width=800)
実際、この本を道づれに心の赴くまま旅をしたら
どんなだろう。
古代インドの思想では最晩年を「遊行期」といわれています。
わたしは五十半ばにして遊行期に心が向いているのかしら。
それにしても、娘が選んだサン・テグジュペリの
『夜間飛行』に『人間の土地』
私も彼女の年齢なら選んでいたかもしれません。
想像してみてください。
一冊の本を心の友として、人生最後の旅に出る日のことを。
あなたの手には、どんな本が携えれていますか?
![](https://assets.st-note.com/img/1659592607270-kYkexbPutc.jpg?width=800)
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