【文章講座】プロ作家への道⑤ハッキング被害がきっかけで仕事復帰
【文章講座】を始めるにあたりプロとして歩んできた経験を綴ります。
ご興味のある方にご高覧いただけましたら幸いです。
▶︎作品が韓国語に翻訳!
「ミレニアム」という言葉が聞かれるようになった頃
私は早くも自分のHPを運営し
さらに同人誌サイトで次々と作品を発表していました。
(ついでながら、その頃はもう東京に戻っていました)
前回も書きましたが、私の作品を評価してくださる方が
瞬く間に増えていき、実にやりがいを感じていたものです。
当時は掲示板でのやりとりでしたが、
感想もたくさんいただき、中には厳しい意見もあり
いずれにしても大きな学びとなりました。
そんなある日、韓国人の男性からメールが届きました。
仮にAさんとしておきましょう。
驚いたことに、作品を翻訳させて欲しい、というのです。
当然、私は怪しいと思いました。
そこで、言葉は丁寧ではあるものの
「馬鹿にするのもいい加減にしろ」的なニュアンスが
伝わるような返信をしたのです。
するとAさんから、詫びると共に身元のわかるような
メールが届いたのです。
Aさんは、とんでもないエリートでした。
ますます怪しいですね(笑
ただ、日本語が上手で、言葉がとても丁寧だったので
しばらくやりとりをしたあげく、結果的に承諾したのです。
それからは、Aさんが気に入った私の作品を
ハングルに翻訳して、それをAさんのHPと、私のHPと
さらには同人誌サイトに掲載する、という流れになりました。
この作業そのものも、とても楽しかったのを憶えています。
▶︎突然の蜜月終了
SNSが一般化した今、アカウントが乗っ取られるという
被害も一般化しています。
インターネットの世界はウィルスがうようよしていて
いつ感染するかわかりません。
セキュリティ対策をしても「いたちごっこ」です。
私がそうした被害に遭ったのは
ミレニアム前夜の1999年の12月のことです。
ハッキング被害に遭い、「トロイの木馬」という
ウィルスに感染したのです。
パソコンは壊され、知的世界と、
そこに存在する仲間と繋がる機会は失われました。
なんとか復旧したものの、家人からは
ネット上での活動を断固反対されました。
もちろん、私はイヤだと言いました。
そうとう長い期間、話し合いをしましたが堂々巡りです。
結果的に私は受け入れました。
いつまでも不毛なやりとりを続けることに
精根尽き果てたためです。
まだ三十代前半という若さでしたから
何もかも失ったくらいの絶望感を抱いたほどでした。
しばらくは、ボーッとしていたと、思います。
(あんまりショックだったので、脳の処理機能で少し忘れています)
▶︎そうだ、仕事を再開しよう
これからどうしようかな。
公園で遊ぶ子ども達をと眺めながら、よく思いました。
子ども達は、だいぶしっかりしてきていました。
下の子は、もう、三歳です。
古くさく感じられるかも知れませんが
「三つ子の魂百まで」は、もはや脳科学でも
実証されています。
下の子が三歳になったということは、
これからは社会性と自立性を身につけていくとき。
そうであるならば、そろそろ仕事に復帰していいタイミングです。
静かに自分と向き合っていると
見えてくるものがありました。
私は、仕事に復帰する自信を失っていたのです。
作品を出すことに夢中になっていたのは
そうすることによって、仕事に復帰する怖さから
離れることができるから・・・という側面もあったのです。
それがすべてではないにしても。
サイレント期間は、もう5年を過ぎていました。
そんな人に、いったい誰が仕事を出すでしょうか。
もし私が発注側なら、出しません。
だったら・・・ダメで元々です。
とりあえず動き出してみよう、と思いました。
「怖いよ-!」という心の声を満身の力で押さえつけて。
求人誌を頼りにあたるだけ当たっていったところ
ようやく掴んだのがテープ起こしの仕事です。
それが、なんと、報酬1000円!
それでも仕事には変わりありません。
信じられないかも知れませんが、それでも私は
やっと依頼してもらえたと嬉しかったのです。
翻っていえば、1000円の仕事でも嬉しかったほど
厳しい状況だった、というわけです。
クモの糸のようにか細くたよりないものであったにせよ
私はこうして「プロ復帰」への機会をたぐり寄せたのでした。
<つづく>
▶︎本気の文章講座 無料プレセミナー
5月上旬開講予定の「本気の文章講座」
すでに、たくさんの方からお問い合わせをいただいていることから、
開講に先立ち、3日間の無料プレセミナーを開催することが決定いたしました!
プレセミナー、及び、文章講座のご案内に興味がある方は、
先行案内にご登録ください。
各詳細は、ご登録くださった方に、いち早く、ご案内を差し上げます。
みなさまからいただくサポートは、主に史料や文献の購入、史跡や人物の取材の際に大切に使わせていただき、素晴らしい日本の歴史と伝統の継承に尽力いたします。