30-7 梅すだれ 御船/木花薫
マサが旅立ち意気消沈するお滝。追い打ちをかけるように二日後に大嵐が肥後を襲った。強い風がこれでもかと大粒の雨を打ちつけて来る。そのすさまじさは二階が吹き飛ぶのではと思われるほどであった。お滝とお桐は一階の座敷で身を寄せ合い息を潜めて嵐が過ぎ去るのを待った。
嵐は南からやって来る。南へ発ったばかりのマサの乗った船にもこの嵐が直撃したのではと、お滝は気がきではない。嵐が去ったあとに船乗りたちに尋ねても、琉球の船のことを知るものなど一人もいなかった。しかし嵐がやって来る道と琉球へ