『東京都同情塔』九段理江
ザハ・ハディド設計による新国立劇場競技場の側に構想される、近未来的な超高層建築「シンパシータワートーキョー」。この奇妙な名前の施設は、新発想に基づく刑務所であり、今や犯罪者や受刑者ではなく「同情されるべき人々」と定義された人々が、極めて厚遇されて居住することになります。この設計を依頼された高名な設計士である主人公の女性は、この異様なコンセプトに違和感を拭えず、仕事を引き受けるかどうか逡巡しています。しかし、15歳歳下の恋人のような友人が何気なく言った「東京都同情塔」なる呼び名