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NYっ子にありえねぇ!と怒られた

それは仕方のないことだったのよ。

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大学生だった私は親友とNYに来ていた。
ありとあらゆるエンターテイメントを楽しむと言うことで
滞在中にオペラやミュージカル、ジャズバーなど
様々なところに出かけた。

14時間も飛行機に乗ってやって来ると、
流石に時差ぼけがひどい。
到着してしばらくは変な時間にガクンと眠気が襲ってきた。

その日はバスケの試合を見に行った。
時差ぼけ真っ只中。
バスケファンでもない私たちがチケットを取れたのだから
そんなに有名なチームの試合ではなかったのかもしれない。
当日に行って簡単に買えたチケットだった。
それでもやはり大勢の人が会場にいてものすごく盛り上がっていた。

ミーハーな私たちはとりあえずビールとスナックを買って
ファンの人たちに混じって爆音BGMにノリながら
その場の雰囲気を楽しんでいた。

試合開始。
バスケのルールならまぁなんとなくわかる。
なんのどんなチームかは分からないが
バシバシ決まるシュートにイェーイと叫んでみる。
楽しい、楽しい。これがアメリカか!NYか!!

しかし雰囲気だけで満足した我々は、だんだんと飽きてきた。
右へ左へと動く選手たちの流れが
まるで
催眠術のあのひも付きコインのように
ゆらゆら、ゆらゆら見えてくる。
眠い。眠い。
到着したばかりの私たちの身体はまだ日本時間。
真夜中。
おねむの時間。

こんな騒音の中でも
眠気はグイグイやってくる。
気づけば私と友人は揃って首がガクンガクン。
バスケどころではない。
あー眠たい。寝てしまおうか。

すると、
友人の横に座っていた
少年3人組がなんだか騒がしい。
こちらに向かって喋っているのが聞こえた。
しかも怒り口調で。
でも眠いからなんて言っているのか分からない。
意識が遠のく中で少年たちの方を見てみると。

どうやら友人のガクンガクン首が
隣の少年の方まで範囲を広げていた。
彼女の揺れが迷惑なのか?
いや、違う。揺れてることに怒っているのではない。
大事なバスケの試合で寝ていることに怒っているのだ。

寝るな!
起きろ!
なんでこんな試合で寝るんだよ!

めちゃ怒られてる。
私はギリ怒られていない。バレてないのか。
少年の真横に居た友人が完全にターゲット。

なんとか助けたい。
私たちは遠い国、日本からやってきた者だ。
ジェットラグなんだ。
そう伝えれば彼女を救える。

でも眠い!!
ごめん、友人!!
可哀想に。

お節介なNYっ子たちは
なんとか彼女を起こそうと
声を掛けたり、肘打ちしたりしていた。
友人はその度、むにゃっと目を開けるけど
またガクンと落ちる。
14時間フライトの時差ぼけは
ちょっとのことでは目が覚めない。

最初こそ、友人vs少年たちのやり取りを気にしていたが、
もうあとは記憶にございません。
何度か夢の世界に行ってしまった。
試合も結局見たのか見てないのか。見てなかったね。

試合終了。
やっと、終わったか。
バスケを見にきた人が言う感想ではない。
でも正直眠すぎて早く終わらないかと思ってしまった。

いつの間にかあの少年たちは消えていた。
説教されるのかと思ったけど、さっと帰ったのか。
そこはドライなんだな。

スポーツの国、アメリカで
試合観戦中に寝るなんて非常識だったのかな。
大変失礼なことをしてしまったのか。
アメリカではどんな試合であれ、真剣に見なくちゃいけない。
全集中!
少年たちがそう教えてくれた。と思おう。

海外でスポーツ観戦する時は間違いなく
ファンらしくいること。
居眠り禁止。
怒られちゃいますよ?

もしかすると、あの少年たちは
ただ単純に
居眠りしている日本人女子を
からかっていただけかもしれない。

あんなにバスケに熱くなるなんて
やっぱりアメリカだな。
いいもの見させてもらったよ、少年たち。

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