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私が出会ったインド人

彼らは人懐っこい。
インドの街中で地図を広げていると次々とどこに行きたいんだ?と人が集まってくる。
ここに行きたいと言うと地図をぐるぐると回しながらガヤガヤなんか言っている。
それから、あっちだ!と適当な方向を指さした。
そしてじゃぁねと、散らばっていった。

絶対地図は読めてなかったと思う。 
結局、目的地にはたどり着けなかった。

彼らの道を教えようとする熱意は伝わった。騙してる様子でもなかった。でも教えてはくれなかった。いや、彼らも分かっていなかった。


大学生のときにゼミの仲間とインド旅行をした。インドに行かなければならないという半ば強制のゼミ行事。みんな行かされてる感半端なかった。

旅好き大学生が
「インドに行くと人生観が変わる」と言うのよく聞いたことがあった。
実際行った人がそういうんだから、そうなのかな。
うっすらその人生観の変化とやらを期待していた。行けば変わる。とは。

夜行列車に乗って次の目的地へ。
途中、随分停車時間が長い駅にたどり着いた。
まだまだ発車しそうもないので列車から降りて売店をのぞいてみた。読めもしない英字新聞がこの瞬間の記念になりそうと思い、並んでいる新聞を適当に見ていた。
すると、なんか視線を感じる…。
パッと顔を上げると5,6人インド人男性たちが売店を取り囲むようにして私を見ていた。何事っ!彼らは私を不思議そうに見ている。襲い掛かるとかそういうことではなく、私の次の動きに注目している様子だった。
そしてその中の一人がインド訛の英語で
「お前は何人だ?どこから来た?」と聞いてきた。
「日本人です…」いきなりの質問に戸惑う。

私の回答を聞いてふ〜ん、というかんじで
彼らは散らばっていった。
気になっていたことを聞けて気が済んだようだった。
呆気にとられていた私に、店主が新聞を買うのか?買わないのか?と聞いてきた。
これにする…。
買ってはみたけど読めたのは子供向けのカラフルな頁だけだった。それを真剣に呼んでいる私にまた通りすがりのインド人が
「子供の読むページじゃないか」と話しかけてきた。放っといてくれと思うほどのフレンドリー・インド人。

どうやら彼らは人に興味があるようだ。
日本人だからか?
観光客だからか?

最後までよくわからなかったけどその人懐っこさに嫌な気はしなかった。単純に気になっている様子がかわいいとすら思う。

なかには平気で騙してぼったくるやつもいたけど、
フレンドリーな人が多い印象のインド。

さて帰国して私の人生観は…特に変わらない。
そしてまた行きたい!とはならなかった…。なぜだろう、あんなにフレンドリーだったけど。

私の人生の中でまたあの国に行くことがあるのだろうか。



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