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花を買う日曜日

冬に植えていた花たちが、春だとは言え夏に似た暑さに耐えかねて、そろそろ命が尽きようとしている。
冬と初春の窓を彩ってくれた桜草(プリムラ・マラコイデス)は、日本の高温多湿な気候には耐えられないようで、事実そのようにくたびれた様子だった。
別れを告げ、こんどは夏の窓を彩ってくれる花を選びにお店へ出た。
黄色いタチアオイの若苗をふたつ、青いロベリアの苗をひとつ頂き、まだ元気なデイジーのそばに植え付けた。
ロベリアは咲きすぎているくらいだが、タチアオイはまだ花は咲いていないので、これからが楽しみだ。
静かな、良い意味で古めかしい住宅街を通る帰り道、1日の端くれの中に喜びを見出す人生は、やはり好きだと思った。


そういえば久しぶりに書店へ足を運んだが、禅の思想や孔子の名言集など、東洋の哲学書がブームなのか、やたらと目につく配置にされていた。
これは、自分の内なる心へ目を向ける東洋哲学の思想が、今や自分探しに明け暮れる生きづらい世の中から逃げる場所になっていることの現れなのだろうか?
また、その書籍の殆どが、一問一答のように、見開きごとに格言と短い解説が載せられているものだった。
生活の中に落とし込み、長い時間を経て体得していくはずのものが、まさか短期間の処方箋のように使われているような気がした。


その中に青空を閉じ込めたような、
青いロベリア。

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