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地元暮らしの良い所

新卒で正社員として入った会社に光の速さで背を向けて、キャリアの放浪、そして無職をしばらく経験して地元に戻ってきた訳だが、一度外に出たからこそ分かるのもあると思うが、漠然と「良いな」と思うわけである。


何も予定が無い空白の日曜日は、野良猫に負けない足取りで、ふらふらと地元の住宅地や公園、見知った店の近くを徘徊している。

今更改めて感じるのは、生きるために必要なものは徒歩圏内ですべて手に入ってしまうことの便利さだ。
自分が言う徒歩の範囲とは、だいたい片道45分くらいの道のりだが、食品店もあれば車屋もあるし、暇つぶしにもってこいのリサイクルショップだってある。
と言うより、もう皆が持っている、目の前の光る板を駆使すれば全て事足りてしまう。
徒歩0秒のところに、すなわち目の前もしくは鞄の中に大型ショッピングモールが潜んでいると思うと、その便利さに気おくれしそうになるが…。


この便利さに加えて、実はアナログ的な豊かさも、地元暮らしでは味わえる。
さっきのように徘徊をしていたり、家の前で何か用事をしていれば、旧友や親戚たちが時折通り、感動的な再開を果たすのだ。
幼いころに上がらせてもらったあの家にまだ住んでおり、そこからおのおの自分の持ち場へ通っているのかと想像するだけで、嬉しいものだ。


何やら楽しげな大都会や、全ての関係をリセットできる田舎へ出ていく人も多い。
環境を丸ごと変えることで、自分の人生がすっかり前途洋々なものになると思ってしまうが、きっとそこには、物理的な家(House)は多すぎるくらいにしても、精神的な家(Home)は少ない。

何十年後かにも、同じような心持ちでこの町で暮らしている自分を想像すると、最近は気持ちがほころぶ。


ふとした時の考え方は、
この本によく頼る。

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