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ひだまりの中に

noteではいつも、日記じみたことを書いているつもりだが、時折ふいに小説に寄せた創作をしてみたいと思うことが増え、書いてみた。
書いてみて、この活動は非常に胸をくすぐる面白さがあったので、短い創作文をまた綴ってみようと思ったのであった。


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青空に薄くもやがかかったような日に、いつも思うことがある。


「元気にしているかな」


あと少し、本当にあと少し早ければ、結末を変えられたかも知れない。
日々をほがらかに過ごしていく中で、いつも頭の片隅にある、ほがらかさとは似ても似つかぬ、赤黒く、鬱蒼とした後悔。

もう戻らないあの時に、脇目もふらず駆け出したくなるのはなぜ?
あの時そっと、優しく受け止められなかったのはなぜ?
そんな自分に、最期まで優しかったのはなぜ…?


時折今も、夢を見る。
彼がしわくちゃな茶色い封筒を右手に持ち、私の前に立ち、封筒を私に持たせる。
そう言えば、何かある時はいつも茶封筒を渡してくれたっけ。

たとえ私が何度生まれ変わろうと、彼の歴史は変えられない。
彼は堂々と、歴史を終わらせる決断をしたのだから。

高い空に居ると分かっているから、会えないことも分かっている。
だからせめて、空高くでいつも優しく微笑んでいる、あのひだまりの中にとびきりの感謝を。

#創作大賞2024 #エッセイ部門

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