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仏教入門一歩手前

皆さま、新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

 noteの記事も増えてきて、記事を見つけにくくなっているので、仏教についての初心者におすすめの記事のリンク集を作ることにしました。
 タイトルは故廣松渉先生の『哲学入門一歩手前』から取らせていただいています。

仏教入門

 私も以前、○○仏教入門というような題の本を書いたことがあって、あちこちで「とても入門的な内容ではない、むつかしすぎる」とお叱りを受けました。
 期待されたのとは違う内容で、申し訳なかったのですが、

 ひとつには、出版社の方針があり、その出版社では、昔であれば○○概論というタイトルがつくような本格的な論に「入門」という題をつけるということがあります。
(同じ出版社の『カント入門』は名著として名高いですが、むつかしく、私も何度かトライしては挫折を繰り返し、最後は重要そうな箇所を全部メモして、メモしたものを通読して、ようやくどういう内容かおぼろげながら理解することができました。)

 もうひとつは、仏教そのものがとてもわかりにくい教えだということ。

 仏教は釈尊のブッダガヤでのさとりから始まっているのですが、その釈尊が、私がさとったことは他の人には理解できないし、説いても喜ばれないので、教えを説くのはやめておこうと考えた、というエピソードが残されています。

 世間では、これさえ読めば仏教はわかるというやさしい本が沢山出ていますが、はっきり言うと、それは仏教とは違うものに置き換えているので、わかりやすいのです。
(関西でおこなっている勉強会では、大阪の天保山にエベレストのパネルを設置して、「誰でも登れる一日エベレスト登山入門」という企画をやるようなものだ、と説明しています。)

 とはいえ、なんらかのとっかかりがないと、いきなりエベレスト登山は無理なので、今の私ができる、できるかぎりやさしい紹介は、以下のようなものです。

仏教は教義に従う教えではない

 今は仏教の教義、曹洞宗の教義、浄土真宗の教義ということを言いますが、宗教=教義に従うもの、というのは、西洋の一神教をモデルとした宗教の説明です。
 明治にはいって近代化のために西洋の知識や技術を導入した際に取り入れられました。
 伝統的には、仏教は教義に従う教えではありませんでした。

 西洋の一神教は、
 ・神が世界をお創りになった
 ・その神が「汝殺すなかれ」と言っている
 ・私たちは皆、神に創られたのだから、誰もが例外なく常に神の言葉に資従う必要がある。
 だから、宗教とは神の言葉=教義に従うもの、ということになります。

 それに対して、仏教の経典の多くは「如是我聞(私はこのように聞きました)」という言葉から始まります。
 それは「私」が聞いたことで、他の人は別のことを聞くだろうし、自分も別の時には別のことを聞くかもしれないということが前提とされています。誰もが例外なく常に従うべき教義ではありません。

 仏教の教えを教義として捉えてしまうと、仏教のユニークさ、特徴が見えなくなってしまいます。
 何より、日本の仏教の宗派の多くは実践法で分かれていますので、名前は同じ「仏教」でも、実際は別々の教義の別々の宗教のようになってしまいます。それは健全なあり方ではありません。
(より詳しくはー)

伝統仏教についての一般向けの紹介

 教えを教義として捉える今の説明とは違う伝統仏教がどういうものかについては、一般向けにおこなった講演と、以前勉強会で配っていた冊子をご参照いただければと思います。

より深く学びたい方は

 より深く学びたい方には、三冊の本をお勧めしています。

 ナーガールジュナ『宝行王正論』・空海『秘蔵宝鑰』・藤木てるみ『妙好人源左さん』の三冊です(正確には『妙好人源左さん』は上下二冊なので、四冊ですが。。。)
 それぞれについても、noteで内容紹介をおこなっています。

 何か参考になりましたら幸いです。

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