見出し画像

【レポ】緑陽社工場見学会に行ってきた!

2024年4月6日、同人誌オンライン入稿サービス「するる」さま企画の、緑陽社さま工場見学会に参加してきました!
緑陽社といえば、独創性・デザイン性に優れた装丁の賞「本フェチ大賞」を主催するなど、こだわりの装丁を実現してくれる、同人誌をつくる人々にとって憧れの印刷所。近年では、あの羽海野チカ先生のFGO・オベロン本『黄昏の王国』を作ったことでも有名です。

私たちの愛する同人誌がどのようにつくられているか、同人誌装丁記録サイトの管理人としても参加しないわけにはいきません!

というわけで、簡単ではありますがレポをお届けします。


1.本が出来るまで

まずは緑陽社の二階、会議室で見学会の流れと、「本ができるまで」についてご説明いただきました。

参加者に配られた「本ができるまで」の説明

この工程にそって、製版から断裁までの一連の流れを見学させていただきました。
まずは製版。緑陽社の工場は二棟に分かれており、印刷用の版をつくる専用の機器が一棟の一階分まるまる設置されていました。

なんとこの機械、手差しではなく、データを受信するとサイズが自動選択され版が印刷されるという優れもの。こうした機器のスペックの高さにより、大量でスムーズな印刷が可能になっているのかもしれません。

続いて印刷以降の工程を見学すべく、メインの工場へ。工場内に入った瞬間、インクや糊、紙のにおいにブワッと包まれて、ここが同人誌を作っている場所……!!という実感が胸熱でした。

2.印刷

機械のスペックの高さはもちろんですが、印刷の段階では様々な職人技術を見ることもできました。

・二色刷り

「3302」という名前だそうです

たとえばこちらの機械。2色刷りができる印刷機なのですが、インクの量を調節するネジがついており、そのネジの出し開けはなんと手動とのこと!
自動的に決まった色が出るのではなく、出したい色が出るように、目と指の感覚を頼りにしながらインクの量を出し分けて色を作っていきます。
紙の種類や色によって出方が違いそうですもんね……!
これは入門編ということで、最初にまずこれを担当し、オフセット印刷とは何かを学ぶそうです。
サンプルとしてカラー紙二色刷り表紙を見せていただきましたが、とてもお洒落で可愛く、こんな職人技に支えられていると思うと魅力もひとしお。自分も二色刷り表紙の本、作ってみたい……!

色見本もとても可愛い……

・フルカラー印刷機

工場の半分の大きさを締めるフルカラー印刷機。名前は756。これでフルカラーの表紙等が印刷されます。
この印刷機は大きすぎて全長をうまく撮れなかったんですが、
黒→青→赤→黄 という順に色が乗っていく様子を見学できました。

近づくとインクのにおいがぐっと濃くなる……!
インクめちゃくちゃ可愛くて盛り上がりました

こんなふうに色ごとに機械が分割されていて、紙が順に流れていくイメージです。ここで注目したいのは、黒→青→赤→★→黄の★の段階。
紙が順に流れていくことで、最後の黄色に他のインクが混ざり濁ってしまことを防ぐために、赤と黄色の前に一度照射して色を固めているとのこと。その結果、綺麗な色のままのカラー印刷が実現できているんですね。

カラー印刷機のあとは、本文印刷機も見学。こちらはとにかく速く、大量の紙が刷られていく様子が圧巻でした……!

名前は「750」

3.製本&QA

このあとは、製本の工程を見学。いよいよ私たちの知っている「同人誌」の形になります。ここからは実際の本が出来てくる工程のため、写真はあまり撮っていません(お客様の実際の本が映り込まないよう説明されていました。安心の工場見学です)。
ミスなく本がつくられるよう、機械の仕組み+人の目という緻密で厳しいチェック体制を敷かれていたことが印象的でした。

二種類使われているという糊
断裁機。切れる音がものすごく気持ちが良い
天井に設置された加湿器。湿度も印刷物の作成において大事な要素です

工場見学を終え、再び会議室に戻ると、緑陽社の社員の皆さまに質問させていただける時間に。社員の皆さまのおすすめの装丁や、印象に残っている装丁、凝った装丁をしたい場合はどれくらい前に相談させてもらえばいいかといった質問にお答えいただきました!
おすすめについてはそれぞれの社員の方のこだわりがあるため省略しますが、やはり冒頭でも紹介した本フェチ大賞を見ていただくのが良さそうです。
また、やってみたい装丁があるときは、「まず相談をしてみてください」とのこと。「できるように、やれるためにどうするか」を一緒に考えてくださるという、大変心強いお言葉を頂きました。

ちなみに私は「社員の皆さまがこのお仕事に就かれたきっかけや、このお仕事の魅力」について質問させていただきました。
社員の方ご自身が元々お客様だった、自分自身が同人誌をつくっていた、その他創作活動などをしていたクリエイター気質の方が多く、お客様と同じ目線に立って本づくりができることが強みとのこと。
そして、一般書籍ではできない、同人誌ならではの紙や加工を用いて、こだわりを形にしていくこの仕事は、毎日発見と勉強、感動があるとのことでした。
社員の皆さまがそんな想いを持って一緒に同人誌づくりをしてくださるの、利用者側からしても嬉しいですよね……ありがたい限り……!

頂いたお土産の小口箔見本。美しすぎる……記念アンソロとかにいいかも
同じくお土産の見本。ニス加工とか可愛すぎてずっと触ってしまう……NEON印刷も可愛い……


機器のスペック、社員の皆さまの技術、そして熱い思いに支えられて、緑陽社ならではのハイクオリティな本ができることを知った工場見学、最高に楽しかったです。終わる頃にはもう、本を出したくてたまらん……という気持ちに。参加した皆さん、同じ気持ちだったのではないでしょうか。やっぱり同人誌づくりって最高……
改めまして、企画のするるさま、緑陽社さま、ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?