予想どおりに不合理  行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 を読みました.

最近の研究の興味が制御工学からスポーツ統計に移っていて,それと同時に必要な知見が統計学や経済学寄りになっています.これらの分野で論文を書いたことはおろか学部レベルの系統だった教育を受けているわけではないので,ひとまず一般向け書籍をいくつか読んでいます.

この本は行動経済学の一般向け解説書としてベストセラーとなったもの.有名なネタである「売りたい商品よりも高い商品を用意すると,売りたい商品が選ばれやすくなる」「保育園で子供を迎えに行くのに遅れた親に罰金を科すことにしたら,遅刻がかえって増えた」などの実例やそれを実証するための実験が文献とともに示されています.元文献をたどるまではさすがに時間が無くてできていませんが,そうではない入門書(もどき)を読むよりは安心度合いが全然違います.

こういった知見を授業の設計に使うと良いのかな…と思いつつ,そういった意図が学生に伝わってしまうとかえって悪影響を起こすかもしれないなぁ…なんてことを考えています.

実験の設計方法が興味深いですね.自分自身では一読しただけではその設計が本当に妥当なのかまでの判断ができないので,いったん保留,という態度にとどめています.どこか何年後かにこの知見が生きることがあるのかどうか.

こういった研究が「経済学」と呼ばれているものに含まれている,ということは今では高校生くらいでわかっていたりするのでしょうか?二十数年前でもこうした学問分野と構造と大学の学部は皆さん(特に受験生)はよくわかっていたものなのでしょうか?というのも自分自身が言語学,心理学,経済学などに興味を持ち始めたのは工学を経由したその先(大学院生くらい)で,「これを高校までに知っていたら進学先の選択が変わっていたのだろうか?」と思うこともぼちぼちあるのです(そう思ってはいても,自分の実際の選択よりよくなっていたという現状も想像しづらいわけですが).運よく現職場に就職できて以降,幼少期の文化資本の差について痛感する機会が多いんです.自分,めちゃ運よく今のところまで来れたな,と背筋が寒くなることも多いですね.

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