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雑誌から探るグラフィックデザインのトレンド表現

雑誌のサブスクを契約しており、毎月いくつかの雑誌を読んでいるのですが、雑誌のデザインは勉強になるものが多い一方で、いまいち自分のグラフィックデザインのアウトプットに結びついていない気がしていました。
これはただ眺めていることが原因で、用いられている表現を言語化し、まとめてみたら何か変わるかなと思い取り組んでみました。

実際にやってみると、テイストやターゲットの年齢層が異なる雑誌でも、似たグラフィック表現がされていることに気づきました。それらを以下でまとめていきます。

表現1 辺の一部を切り取った矩形でかろやかさを出す

辺の一部を切り取った矩形のイメージ。辺を取った部分に見出しを置いたりできる。

この表現は私が見たほぼすべての雑誌(主に女性向け)で用いられていました。
矩形を用いることで、ページ内での他の要素との区切りを示しつつ、それぞれの情報が完全に切り離されているように見えない、といった効果が生まれてると感じました。
また、通常の矩形を配置するよりも画面内に風を感じられるようなかろやかさがある雰囲気を出すこともできていそうと思いました。

中途半端な矩形と、完全な矩形で組んだときの比較イメージ。

左の中途半端な矩形見出しの方が、上の「ベスト5」情報と関連があることが示唆されているように感じられる…気がしています。
画面内にも適度な抜け感が出る印象。

表現2 斜め文字の配置で動きを出す

文字を斜めに置くイメージ

この表現も私が見たほぼすべての雑誌で用いられていました。
特に写真がページ内でダイナミックに配置されている場合に、この表現を併せて用いられていることが多かったです。
文字を写真の被写体に沿うように斜めに置くことで、画面内から感じられる動きが大きく見え、かつ伝えたい情報を載せることもできるというメリットを感じました。

文字をまっすぐ置いた場合。斜めに置くよりも動きが少なく、こちらは画面内が落ち着いた印象になっていると思います。

アイデア自体は一般的な気がするのですが、改めてこの表現に注目して見てみると、どの雑誌でも、1ページや2ページではなく、かなり数多くのページでこの効果を用いていることが驚きでした。

表現3 落書き感のある線

マーカー風の落書き線のイメージ。装飾として配置するだけではなく、
文字同士の情報を繋げたりなどの役割を持たせることもできる。

画面内に抜け感を足す役割として、落書き風の線が用いられていることが多かったです。
普通に線を引くよりも、ラフな印象や手触り感のある装飾物としての質感が出るので、堅くなりがちな文章が多いページなどで用いられていることが多いように感じました。

表現4 塗りを抜いた線文字

塗り抜きの線文字イメージ

見出しの文字の塗りを抜き、アウトラインに色をつけています。
使用例としては、見出しの主張具合に物足りなさを感じつつも、「新たな装飾物や色合いを足して目立たせるほどでもない」といった場合に有効な気がしています。
これもトレンドなのか、多くの雑誌で複数表現を確認することができました。
画数が多い漢字だと読みづらいという欠点はありそうですが、配置すると画面内に抜け感ある小慣れた印象を与えられると考えます。

通常よくある塗り見出しのイメージ。定番の表現で、見ていて安心感はある気がしています。

表現5 シンプルな矩形で表現する記号的な吹き出し

記号的な吹き出しイメージ

吹き出しといえば文章を囲む大きな矩形があり、その端に吹き出しのくちばしが小さく付いているイメージがありますが、その印象を残しつつも、無駄な要素を除き、シンプルに仕上げた吹き出しが多く使われていました。
正円にくちばしとしての役割の短い線を引いて関係を見せたり、五角形の形を少し変形させて吹き出しを感じられるような仕掛けがありました。

通常の吹き出しよりも、洗練された雰囲気を感じられることができます。

記号的な図形を目立つ色で塗ったイメージ。
遠目で見るとラフに折った折り紙を配置したような印象を感じる。

また、この記号的な吹き出しに塗り色を当てると、画面内で大きく目を引く存在になるため、画面内でメリハリをつけたい場合に用いると効果的であるように感じました。

まとめ

複数の雑誌をもとに、用いられている表現をまとめていくことで、ただ雑誌を眺めていた時よりも、簡単にトレンドや定番のグラフィック表現をインプットすることができました。
また異なる季節や異なる年度ごとにまとめてみると、違うトレンドが感じられたりもしそうなので、チェックしてみたいと思います。

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