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恵方はなぜ毎年変わるのか。いかに神様を恐怖させて恵方巻の効率を上げるか。

 節分といえば、豆まきと並んで恵方巻ですよね。その年の恵方を向いて太巻きを1本無言で食べると願いが叶うというあの恒例行事です。恵方というのは、その年の歳神様がいる方角ですね。
 しかしここで少し考えてみると、奇妙な点があります。こう考えたことはないでしょうか。

 歳神様のモチベーションはどこから湧くの?

 我々からすれば無言で美味しい太巻きを食べる年中行事ですが、歳神様側から見れば、ただ素性も知らない人間がこちらを向いて黙ってひたすら太巻きを食べてくる現象です。普通それを見せられて、願いを叶えてやろうと思い至るでしょうか。また、なぜ恵方は毎年変わるのでしょう。なぜ毎年、「あれ、どっちが北やったっけ。ってことは東北東は………」から始めなければいけないのでしょう。

 おそらくちょっとググればそれらしい答えが見つかることでしょう。しかしそんなことをするのはとても面倒なことです。ここは持てる薄い知識と想像力をもって、でっち上げてみようと思います。誠に申し訳ありませんが、この記事を読んでも「正しい」知識は手に入りません。ただ私の法螺に付き合わされるだけです。

歳神様サイドからものを見てみる

 考えてみれば圧倒的な数の不均衡があります。太巻きをかじる側と歳神様。不特定大人数に対してたった1人です。ここは一度歳神様の視点に立ってみましょう。2月3日、相当数の人間が総出でこちらを向き、これ見よがしに無言で太巻きを丸かじりするのです。クスクス笑いながら食べる子もいることでしょう。ただの怪現象です。そしてただ太巻きをかじるのではありません。内心で何事かを要求してくるのです。神様ですから、我々の内心の声もはっきりと聞こえることでしょう。私だったら即刻引っ越しますね。というか多くの人は不気味がってその場を離れるのではないでしょうか。普通に事故物件より怖いです。ヒトコワです。もし歳神様も我々の相場的な感情をもち、同じような行動をとられるのだとすれば、すぐ引っ越されることでしょう。これが毎年恵方が変わる所以かもしれません。ということで恵方が毎年変わる理由はおそらく「居所の心理的瑕疵による」でしょう。

 ではなぜ歳神様は願いを叶えてくれるのでしょう。それは簡単です。畏怖しているからに相違ありません。意思決定の自由を奪われているのです。脅されて何らかの行動を要求されたとき、それが実現不可能なものでなければ、逃げる前に聞き入れてしまうこともあるかもしれません。歳神様は神様ですから、大抵の要求は叶えることができてしまうのでしょう。そのため、奇行に起因する畏怖により、通常の判断能力を低下させられた歳神様は、とりあえずこちらの要求を訊いてくれるのでしょう。よって恵方巻を食べると願いが叶う理由は「意思決定の自由の侵害による」でしょう。

より願いを叶えてもらう方法

 ここからは発展編です。人間サイドからすれば、そりゃ当然願いを叶えてもらいたいですよね。恵方巻の仕組みを理解した上で、効果を上げる方法を考えてみましょう。

①ちょっとしゃべってみる

 歳神様は同じ怪現象を毎年経験しているわけですから、しだいに慣れが生じる可能性があります。毎年2月3日は無言太巻きの日だと。慣れてしまえば通常の判断能力を取り戻し、願いを叶えてもらえなくなるかもしれません。そこでちょっとしゃべってみるのはどうでしょうか。「なんか今年はしゃべった??!」と、新たな不安が加わることでしょう。

②恵方巻をしない年を挟んでみる

 毎年やっているのでは、歳神様も要領を得て年中行事として受け入れ始めるかもしれません。もう毎回バタつかないように1月末あたりから引っ越しの準備をし始めるかもしれません。そこで恵方巻がない年を作ってみるのはどうでしょう。「今年はなかった…。」と、はじめは不安になることでしょう。2年、3年と空白を作れば、「ああ…やっと諦めてくれたのかもしれない。」と次第に安心感を抱き、引っ越しもやめて定住生活をはじめるかもしれません(恵方固定)。このタイミングを狙って復活させるのです。恐怖は何倍にも膨れ上がることでしょう。この際ちょっと無理な願いでも叶うかもしれません。恵方巻停止と恵方巻解除のタイミングは、規則性を与えないようにするのが要でしょう。

③節分以外にやってみる

 逆にいえば節分以外の期間というのは、歳神様が平穏に暮らせる期間ということです。安心しきっていることでしょう。節分に鬼が来て泣かされる子どもも、節分以外の日には安心していますよね。そういうときに効果的なのが、「鬼さん来るよ!」と日常生活の中で鬼をちらつかせることです。私が子どもの頃は実際に節分以外の日に鬼が来たこともありました。あれは怖かったですね。節分じゃないのになんで!!ってなりました。
 この手の恐怖は歳神様も例外ではないでしょう。そこで節分以外の日に一斉に太巻きを無言でかじってみるのはどうでしょうか。②と組み合わせてみるのもいいかもしれません。節分以外の日に無言太巻きがあって、節分には起きない。それまでの法則性を掻き乱される恐怖、将来を予測できない不安によって、歳神様は震え上がることでしょう。

以上、恵方巻の効率を上げる方法を考えてみました。ここまで書いたことはすべて「でっち上げ」です。飲みの席では話しても、みだりに信じたりガチトーンで人に話したりはしないようにしましょう。


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