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古民家のインスペクション調査

古民家再生総合調査報告書

愛媛県松山市で住宅の設計事務所をしていますが、もう一つ一般社団法人住まい教育推進協会で会長として古民家鑑定士という資格のテキスト作成や、古民家鑑定士が実施する建物調査(インスペクション)の結果を取りまとめた「古民家再生総合調査報告書」の作成をしています。大体常に全国の古民家10件ほどのデータを抱えているので古民家鑑定、古民家床下インスペクション調査、伝統耐震診断の3つのデータが揃い次第3つの調査報告書をいただき、ひとつにまとめています。作成時間は1件につき約2時間程。自宅事務所で作成しアイテムの事務所に定期的に行って印刷してまとめて発送しています。

昨日は作成日、本日が発送日、週に2〜3回、3〜4件まとめて発送しています。

古民家鑑定書

古民家鑑定とは

適確な建物コンディションの調査をおこない、リフォームや購入の判断材料を提供します。築年数の経過した建物は状態が悪い場合構造体などの改修に多額の出費がかかったりします。使われている木材や仕上げ材はいいものが使われているがこのままリフォームした方がいいのか、それとも建て替えた方がいいのか。また不動産として購入予定だが建物を利用したい場合にどの程度改修費用が必要かを知りたいなどリフォームや不動産購入を検討する際に必要な情報を資格者が調査して情報提供をおこなう事を目的としています。

古民家の鑑定をすることによって、所有者が不安に思う建物のコンディションが明確になり今後のメンテナンスなどの計画を立てることができます。また、古民家の価値を解りやすく表現する為に古民家の価値を金額でも表示しています。従来、建物の売買をする際は固定資産税の観点から評価されますが、築年数が古くなり25年から30年で価値がほぼ0円となる固定資産税の評価では残念ながら古民家の価値は解らないと思います。そこで古民家鑑定では

・移築や再生をするに値するか

・再生して住むことができるのか

・その古民家の部材を再活用して新築住宅などに使用することが可能か

・あるいは再活用すべきではないか

などの判別とともに、その建物を売却すると仮定した場合の古民家の文化的価値や建物の耐久性を基にした価格の目安を表示しています。

建築士で既存住宅状況調査技術者資格を持っていて、さらに伝統的構法による木造住宅状況調査技術者講習を受講すればこの古民家鑑定の内容が状況調査報告書として使用できます。


古民家床下インスペクション調査

一般社団法人住まい教育推進協会が主催する古民家床下診断士資格に合格した資格者の在籍する全国床下インスペクション協会がシロアリなどをはじめとした床下の害虫診断について自走式点検ロボットモーグル等を使い調査をおこない、古民家の床下コンディションについての報告をと提案を実施します。本調査を実施することで床下の状態や手入れのポイント等がわかります。

本調査の目的は人体への影響が懸念される薬剤による防虫処理に頼るのではなく、毎年の点検を実施し、蟻害の原因となる要因を取り除いた床下環境を維持することで健全な建物環境を保全する目的で実施しています。

床下インスペクション調査のメリット

・現在の床下コンディションが分かり、床下環境保全の方法が分かります。

・床下評価を評価することで、修繕が必要な箇所や対策が分かります。

・薬剤を使わない防虫対策を推進します。

・古民家床下診断士が毎年調査を行うので、安心です。(別途有料)

伝統耐震診断

古民家等の伝統構法の耐震性能を診断します。この耐震診断は伝統的な建物並びに伝統的建物に現在の建築基準法に定められている在来工法により増改築された混構造の建物の耐震性能を診断しその結果を報告します。耐震性能が不足している場合には日本伝統再築士会各支部が最適な耐震改修計画を提案します。

建物は常に地震発生時以外に於いても微細な振動を受けて建物自体も振動を起こしています。正確には交通機関や各種機械などから人為的に受ける振動や、風や波浪などの自然現象に基づき地盤が小さな振動をしています。伝統耐震診断はこの微細な地盤の振動と、それに起因する建物の振動を同時に計測しその振動データを解析処理する事で建物の振動特性値を求め、地震の際に建物がどう振動するかを推測し、耐震補強に役立てる方法です。実際の計測は地震計を建物近くの地盤面と、建物中央部付近の1階梁上か2階床面に水平直角方向に建物の短辺方向、長辺方向に設置して数分間の振動測定を5回繰り返しデータ収集して解析を行い伝統耐震性能評価をします。

伝統耐震性能評価は、現存する伝統的建造物の耐震性能の評価を、常時存在する地盤と建物の微震動を利用し、地盤と建物の振動を同時に測定及び解析する。そして建物の振動特性を総合的に分析して、実在する伝統的建造物の耐震性能について評価・考察する手法。伝統耐震診断の結果、建物の耐震性能に問題がある場合には、合理的かつ適切に耐震改修方策を設計して、建物の耐震補強工事を実施し、その後再度 伝統耐震診断によって、補強工事による耐震性能の改善の効果を、数値的に伝統耐震性能評価指数の検証により確認します。


この古民家インスペクションである古民家再生総合調査報告を実施することで、購入時の安心、あるいは回収予定の時に優先して直す部位が明確になっていきます。物件所有者だけでなく、購入希望者からの依頼も全国的に増えています。

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