見出し画像

自分の機嫌を自分でとるなんて、止めた方が良い。▼メンヘラの仕事術

「自分の機嫌は、自分でとらなきゃ。大人なんだから」

なんだか、最近よく聞きます。

ごもっとも。
数年前の私なら、この考え方に納得し、感情をコントロールできない自分を否定されたように感じて落ち込んでいたでしょう。

元メンヘラ(現在心身ともに健康)から言わせていただくと、自分の機嫌は、自分でとらなきゃ。という考えは、ちょっと乱暴です。

「機嫌が悪い=体調不良」

くらいに考えるのがちょうど良いです。

そもそも「自分の機嫌を自分でとる」とは?


「自分の機嫌を自分でとる」
つまり、何があっても明るく、楽しく、優しく、フラットに過ごすのが正しい大人である。

こんな意味に捉えている方も、多いんじゃないでしょうか?

どんなときも良い自分であろうと努力する人。そこにある言葉の裏の意味を考えて、その時々求められる自分になろうとする人。自然と思考がそうなると思います。

おそらく「機嫌をとる」=「機嫌を良くする」ことを意味しているとは、限らないんですけどね。

たとえば、辛い時にパフェを食べるとか、しんどい時は早く寝るっていう自分自身のトリセツを知っておこうね、という意味合いが強いかなと。

ただ、言葉が流行したせいで、不機嫌な人に対して「自分の機嫌も自分でとれないなんて…」と小言を聞くことも最近増えています(耳がいたーい)。
以下リンクの記事でも書きましたが、言葉が流行し無駄にポップ化してしまうと、起こりがちな現象ですね。

本当はきっと「自分の機嫌を自分でとる」言葉も、優しい意味を含んでいたはずです。そんなに攻撃的な意味じゃなく。

機嫌が悪い=異常事態


私もかつて(特に前職時代)は、典型的な「自分で自分の機嫌がとれない人」でした。自覚もありましたが、どうしてもコントロールできず、周りを困らせて自己嫌悪に…負のループに入ってしまうこともしばしば。

でも、今冷静に考えれば、当たり前だったんです。

慢性的な寝不足、休日にも仕事の連絡がひっきりなしに入って心が休まらない、友人や家族との時間も携帯を気にして過ごさなきゃならない……そんな生活が、8年。不機嫌が当たり前でした。

でも、それこそが異常だったことに気付けたのは転職後のことでした。あのときの不機嫌は、自分の心がとっくに限界を迎えていた証拠でした。当たり前じゃなく、異常事態だったんですね。

自分が不機嫌であると気付けているなら、たぶん、それは異常事態です。それがもう性格なら、不機嫌な自分に気付けてないはずですから。

心にも、応急処置が必要

物騒なたとえになりますが…
突然腕から血が出たら、どうしますか?
…まず、止血ですよね。

流れ出した血を見て(原因は……)(何が悪かったのか……)と考える人はいません。とりあえず、止血。応急処置をします

高熱が出たら?喉が痛かったら?気持ち悪かったら?
身体に異常が出れば、まずその異常を楽・マシにするための処置をする。

でも心に異常が起きると、まず原因究明からしようとする人が多いように感じます。

「あの人が○○だったからだ」「この仕事が△△だったからかも」「××のときにこうしていれば…」と、なぜか不機嫌の原因探しをします。

とくに、頑張り屋さんほどそう。

不機嫌になってしまった=仕事がうまくいかなかった=原因を究明して、改善しよう!と頑張るモードにギアが入ってしまうのです。

でも、本来まずは、応急処置で良いんです。原因究明は、あとで。

がんばりやさんほど、自分の機嫌をとるのは難しい。

そもそも、仕事をしていて機嫌が悪くなるのは、目の前の仕事に一生懸命向き合っているからです。

特定のある有名人に対しての批判がSNSで拡散され炎上したとします。それに怒り、感情を揺れ動かされるのは、主にその人のファンです。ファンでもなんでもない人は、特に何も感じない人が大半ですよね。

この炎上現象と同じこと。

仕事で不機嫌になるということは、その仕事にそれだけ一生懸命向き合っているということ。好きだということ。頑張っているということ。承認欲求や、自己否定に対するオーバーリアクトの場合であっても、仕事に心を注いでいる事実は同じ。自分のキャパを越える業務に向き合っているのかもしれません。

そんな状況で生まれる「不機嫌」は、「体調不良」と同じ、自分の心や体が発信したSOSです。

自分の機嫌を自分でとるのは、風邪を自力で治そうとするのと同じ。それが出来るならいいけれど、出来なくてもいい。人によって、免疫力も身体の状態も違う。お医者さんに行ったっていい。薬を飲んだっていい。しばらくお休みしたって良い。

不機嫌の原因改善を頑張らなくても、応急処置だけして、誰かに頼って良いんですよね。

不機嫌を悪者にする必要はないです。

仕事を頑張っている人ほど、休むことも、遊ぶことも、大切にしてほしい。
不機嫌な自分を、無理やり前向きになんてしなくていい。

元メンヘラは、そんな風に思います。

不機嫌で部下を振り回したり、周りに迷惑をかけたりする人もいます。でもその人も応急処置が足りてないんですよね、本当は。
「ごめん、ちょっと今テンパってて、時間もらって良いかな」の一言が言えない環境に苦しめられているんじゃないかな。


春は頑張りすぎる人が増えます。
ご機嫌な人も、不機嫌な人も増えます。頑張り過ぎは、禁物ですね。

どうか、ご自愛ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?