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アジア紀行~インドネシア・バリ島男3人漫遊編⑤~

KUBUKUに宿替え

ウブド・ビュー・バンガロー(UBUD VIEW BUNGALOWS)の朝がやって来た。昨夜影武者を出たのが11時過ぎ。宿に帰って眠ったのは夜中の1時ごろだった。まだ眠り足りない気がするが、グズグズするのがもったいないような気持ちのいい朝だ。
顔を洗って、ベッドに戻り日記を書く。
朝食はバナナのホットサンドとフルーツサラダとジュース。
昼過ぎまでウブド・ビューで過ごし、午後からクブク(KUBUKU)に移ることになる。

午後、モンキーフォレスト通りにあるADI・PANAという画廊に立ち寄る。画廊主のパルミタさんは、ウブドでの知り合いの一人だ。

画廊には客が来ていたので、邪魔しないように、また来る約束をして別れる。
王宮近くにあるWAYAN CAFEで昼ご飯を食べ、メインストリートから離れた村の中の道を通ってホテルに戻る。道のほとんどがT字路になっている。これは悪霊が行き止まるようにつくられているからだ。バリは信仰の島だから、あらゆる所でバリ・ヒンドゥー教の姿に出会うことができる。
木陰を通ると涼しい風が吹き抜ける。庭先に、葬儀用の牛型の棺が置かれている家がある。いよいよ明日が葬儀の本番だ。

ウブド・ビュー・バンガローに戻ってチェックアウトを済ませる。
クブクにはアメリカ人の旅行客が来ることになっていたそうだが、その客をウブド・ビューのほうに回すそうだ。

我々が泊まることになったクブクのバンガローも2階建てで、YとM君が上階を使うことになった。

いちばん奥のバンガローには、東京から来たという女性が泊まっていた。バリ島は5度目というリピーターで、まだ2週間ほどは滞在するそうだ。バリにはこのようなリピーターが多い。かく言う自分も、今回で5度目のバリになる。

モンキーフォレスト(Monkey Forest)

クブクからほんの少し西に行ったところに、モンキーフォレストの入口がある。ここは自然保護区になっていて、たくさんの野生の猿が生息している。

この森にはシヴァ神を祭る寺院、プラ・ダラム・アグンがあり、新月の日には村人たちが参拝にやって来る。プラ・ダラムは「死者の寺」という意味だ。森の中には、火葬式(ガベン Ngaben)が行われる日まで一時的に遺体を埋めておく墓場もある。その火葬式が、いよいよ明日に迫っている。広場では連日、セレモニーが執り行われているようだ。

聖なる場所に立ち入るためには、最低限の正装が必要で、サロンと呼ばれる腰布をつける。我々3人は、モンキーフォレストの儀式を見るために、まずこのサロンを買いに行った。
モンキーフォレスト通りにある一軒の店に入り、あれこれと物色する。店の男の子はけっこう日本語がうまく、値段交渉のやりとりがおもしろい。それぞれ気に入ったサロンを購入し、意気揚々とモンキーフォレストを目指す。外はいつの間にか日が暮れて、暗くなっていた。

モンキーフォレストの入口でサロンを腰に巻き、儀式の行われている広場まで行くと、そこは異世界である。大勢の村の人々が集まっている。

村人たちは、当然ながらみんな儀式用の服装である。男性は黒が圧倒的に多い。女性も黒の上着(クバヤ)が多いが、そうでない人も結構いる。我々のような白いTシャツ姿はいない。はでなサロンも場違いな感じがする。明日は気をつけよう。
カメラを持たずにやって来たのが残念だが、明日のメインセレモニーは、しっかり記録に残したいと思った。

ガムランの演奏に合わせて踊る男性がすごい。思わず見入ってしまう。一人で次々にマスクを替えて踊る。そのたびに人格まで変わるようだ。
人形劇のワヤン・クリの男性は、とても渋い声で語りながら巧みに人形を操っている。この人形遣いは「ダラン」と呼ばれ、人形は水牛の皮(クリ)でできている。

我々の横でしゃがんで見ていた一人のお婆さんが、私にタバコを差し出した。断るのも悪いので1本もらう。クローブ(丁子)を混ぜた紙巻きタバコだ。しばらくすると、今度は私の手を引いて、何かを飲む真似をする。言葉が通じないから手ぶりだけなのかと思ったが、どうもそうではないらしい。
我々3人は立ち上がって、お婆さんについて垣根の外にある露店に行く。そこでコーヒーと饅頭のような菓子を買う。最初はお婆さんのおごりかと思ったが、お婆さんの分もこちらが払った。
お婆さんは、コーヒーは最後にカスが残るので、その前に飲むのをやめろとか、饅頭の底に貼ってある紙をはがせとか、手と顔の表情でしきりに伝える。まったく言葉のない世界だ。店の主人は笑って見ている。お婆さんは一人で来ているようなので、しばらく付き合う。

時計を見ると午後8時半を過ぎている。お婆さんにサヨナラして、モンキーフォレストの外に出る。あまり空腹を感じていなかったが、時間が時間なので、クブクのそばに新しくできたCAFEに入る。サンドイッチとジュースなどで、3人で9,900Rp。安かった。
空はきれいに晴れていて、星がいっぱい見える。月も東の空に昇り始めた。美しい印象的な夜だった。

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