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大阪市の神社と狛犬 ⑳西成区 ②敷津松之宮御旅所~昭和の鬼面狛犬~


大阪市西成区の地図と神社

大阪市には、現在24の行政区があります。西成区は、上町台地の西側から木津川に至る間に位置しています。上町台地の西にる(成る)地として、かつて西成郡と呼ばれていた地域の一部が、大正14年(1925)に大阪市に編入された際に、現在の西成区になりました。北に浪速区、東に阿倍野区、南に住之江区、木津川を挟んで西に大正区が隣接しています。
明治時代ごろまでは玉出たまで天下茶屋てんがちゃやに集落があったほかは農村地帯でしたが、その後急速な宅地化が進みました。

今回は敷津松之宮御旅所に参拝します。本社の敷津松之宮は浪速区に鎮座しますが、こちらはその境外末社で、敷津松之宮西成旅所ともいいます。最寄り駅は南海高野線(汐見橋線)「西天下茶屋駅」で、駅から約400mほどです。


敷津松之宮御旅所

■所在地 〒557-0034 大阪市西成区松2-3-13
■主祭神 素戔嗚尊、大國主命、奇稲田姫命、八王子命、事代主命、少彦名命
■由緒  不明。社名のとおり浪速区の敷津松之宮の御旅所で境外末社だが、どのような創建の由来があるかわからない。


狛犬

■奉献年 昭和三十四年七月吉日建之(1959) 
■作者  石匠  石鶴
■材質  花崗岩
■設置  拝殿前

敷津松之宮御旅所 拝殿と狛犬
拝殿前石造狛犬(阿形)
拝殿前石造狛犬(阿形)
拝殿前石造狛犬(吽形)
拝殿前石造狛犬(吽形)

どのような由来で浪速区の敷津松之宮の境外末社・御旅所になったのか、創建も含めてよくわからない神社である。さほど広くないが、独立した神社の体裁をとっている。祭神は、敷津松之宮の主祭神・相殿神の六柱と同じだ。

拝殿前に、昭和34年(1959)奉納の石造狛犬が置かれている。基壇の下部に「石匠  石鶴」と彫られている。調べてみると、堺市に「有限会社石鶴石材営業所」というところがあったが、同じかどうかは不明である。
狛犬は、立ち耳で目や口が釣り上がり、鬼面のような印象を受ける。全体として昭和の大阪の狛犬の姿ではある。尾は先端が丸く立ち上がっている。

拝殿前石造狛犬(吽形の尾)

台座に、「狛犬燈籠建立奉献者芳名」と記された青銅の銘板がはめ込まれている。



この銘板を見ていて気づいたのだが、地名に「松」「橘」「桜」「梅」「柳」などの植物名が多い。この敷津松之宮御旅所の地名も「松」である。狛犬の奉献は昭和34年(1959)だが、昭和48年(1973)に町名変更があったので、現在は消えてしまった地名もある。

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