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【映画ガッチャードギーツ ネタバレ感想】浮世英寿がズルすぎる

『仮面ライダー THE WINTER MOVIE ガッチャード&ギーツ』を観てきた。冬映画を劇場で観るのは今回が初めて。成人済みオタクしかいない夜の劇場はそれなりに静かだったが、555のVシネ予告が流れた時は流石にちょっとザワついていた気がした。草加が草加すぎる。

そして流れ始める映画本編。めちゃかわギャグ映画かと思いきや無限列車編かと思いきやごんぎつねだった。何を言っているのか分からないと思うが、私も何を見せられたのか分からなかった。訳のわからないままギーツケミーのぬいぐるみを予約した。
ここからはネタバレしかしていないので、映画をまだ観ていない方々は一度お戻りください。公式の画像配布ありがたいですね。




物語はガッチャードから始まる。ケミーを捕まえに出かける錬金アカデミーのみんな達。黒鋼スパナまで律儀に参加するなか、一ノ瀬宝太郎は盛大に寝坊して遅刻をブッかましていた。大急ぎで準備をする宝太郎。そんな中でお母さんのお小言が炸裂し、喧嘩に発展してしまう。それにしても宝太郎、喧嘩の語彙が小学生すぎてかわいい。555予告の嫌味な奴らとのギャップがすごい。

お母さんと喧嘩したまま家を飛び出した宝太郎はアカデミーメンバーと合流するも、既に目的のケミーの捕獲は完了していた。…と思いきや、突然現れるジャマト。「五十鈴大智は何してるの?ちゃんとジャマト統括して?」と思いはするものの、今回あのおしゃべりスズメガネは非番。代わりに来てくれたのは、元ジャマトのフレンズこと吾妻道長だった。
黒髪短髪ミッチーのビジュの良さは既にFSで浴びているので耐えられるかと思ったが無理だった。顔が良すぎる。そこに桜井景和と鞍馬祢音まで現れたからもう大変!さらに上から浮世英寿。神様は上から降ってくるものらしい。相変わらずどこまでもかっこいい男である。

ガッチャードとギーツの混合チームは楽しく共闘し、ジャマトを打ち倒す。でもこのジャマトなんか普段とちょっと違う?と気づいた途端、謎の魔法が炸裂。景和・祢音・道長がケミーにされてしまう。「笑えないジョークだ」の汎用性の高さを訴えかけるような展開にピパペポパニック。「タイクーン緑すぎる!」などとレビューをしてくれる道長のおかげもあってか、自分が謎の生命体になっていることを理解するギーツトリオだった。
それにしてもミッチー、自分が牛であることを受け入れるのが異様に早い。無機物になるのこれが初めてじゃないもんね。バッファローぬいの経験が生きてる。口癖が「モ〜〜〜」なのかわいいね。本編後ならいくら可愛さを盛っても無問題だと思ってる?

うんぬんかんぬんで魔法使いっぽいケミー(CV.高橋李依)にまんまと乗せられ、即席チームでつよつよケミー達を捕まえることになったガッチャード&ギーツ混合メンバー達。なぜあのチーム編成になったのか小一時間ほど問い詰めたい。
まずは蓮華お姉さん・錆丸先輩・祢音チーム。祢音を勝手にニャーコと呼ぶお姉さん。全ての動きがかわいい先輩。「造られた生命体」であるケミーに自分の境遇を重ねる祢音。急に重くなるからびっくりしちゃった。ハイパーお嬢様パワーでケミーを誘き寄せるも、自分と近い存在であるケミーを傷つけたくないと無理やり捕まえることをやめる祢音。そんな彼女の優しさに触れ心を開いたケミーは自らの意思で仲間になることを選ぶ。祢音ちゃんは優しくてかわいくてかっこよくてたまに重くて最高のヒーローだね!財力もあるし!

そして黒鋼スパナと吾妻道長の紫コンビ。おもしれー男しかいないので当然おもしれーことになっているのだが、1人で戦おうとするスパナに世話を焼くミッチーで最高になってしまった。1人で突っ走ってダメージを受けるスパナにかつての自分を重ねたのかもしれない。圧倒的成長。そんなミッチーを利用してケミーを捕まえるスパナ。スパナもいつか仲間の大切さを学ぶ時が来るのだろうか。それともずっとこのままなのだろうか。どっちに転んでも映えそうだからずるい。今回は先輩枠なのに後輩に上手いこと使われてしまうミッチーはかわいい。

更に宝太郎と景和。元々は各チームごとで別々のケミーを捕まえる予定だったのだが、英寿に煽られた宝太郎が一言物申すために英寿を追跡。小脇に抱えられたタイクーンケミーは男子高校生に付き合わされる羽目になったのだった。
それにしても宝太郎を見守るタイクーンケミーがメロすぎる。本編では色々あった桜井景和だが、やっぱり子どもに優しい成人男性なんだな…とドキドキしてしまった。城ケミーの爆発に巻き込まれてワタワタした後に「先輩」を見せつけてくるのずるいよ。佐藤瑠雅の声がカッコ良すぎるのが悪い。早急に「最初はスパダリだったDV彼氏役」を演ってもらいたい。
景和は「宝太郎のサポーター」を名乗っていたのも印象的だった。景和のサポーターといえば某厄介オタクだが、自分を支援してくれるカエルに救われていた面も確かにあったんだろうなと思うととんでもなくエモい。今回の映画で「サポーター」というワードを出してきたのは景和だけ。景和とケケラの関係性が趣深くて好きだったので、映画でもその一端を見せてもらえてとても嬉しかった。
そんな景和のサポートを受けた宝太郎はケミーと仲良くなることによって捕獲に成功。宝太郎らしい解決方法で見事(たまたま)浮世英寿を化かしてみせたのだった。やったね!

最後にりんねと英寿。次回作のヒロインとガッツリ組むスターオブザスターオブザスターだったが、どうやら2人っきりとはいかないらしい。彼らの側にはいつのまにか見知らぬ狐が「おすわり」していたのだ。ギーツケミーと名付けられた狐はふわふわの身体で大活躍。その可愛さをもってして瞬く間にりんねとオタクをメロメロにしてしまう。
しかし我らが浮世英寿も負けてはいない。綺麗すぎるウインクで宝太郎を煽る、落下したりんねをお姫様抱っこで抱き止めるなど相変わらずのファンサ祭り。りんねはあまり靡かなかったが、一般女性なら2秒で気を失ってる。というか老若男女関係なく落ちる。
更にお仕事も華麗にこなすのが浮世英寿がスターである所以の一つ。赤いきつねと緑のたぬきを律儀に宣伝しながら食べる姿には劇場のオタク達(全員成人済み)も思わず破顔。宣伝が露骨すぎるよギーツ!!

そんなこんなで放たれたケミーを捕まえてミッションコンプリートしたみんな達。瞬間、魔法使いケミーことクロスウィザードの「魔法」が炸裂した。




……ついに大物錬金術師となった宝太郎は人間とケミーが共存する世界を見事実現させた。みんなが食堂に集合し、宝太郎の手料理を美味しそうに食べる。そこに現れるギーツケミー。徐々に襲いくる違和感。成金風のお姉さん、チャラっとした錆丸先輩、もはや誰なのかすらよく分からない黒鋼スパナ、ペット・ショップ戦のイギーばりに喋るホッパーワン、めちゃくちゃ甘やかしてくるお母さん。そして悟る、これは夢なのだと。

僕たちは燃え盛る旅の途中で出逢い、手を取りそして離した未来のために。そう、『仮面ライダーガッチャード&ギーツ 無限列車編』が始まってしまったのだ。起きろ!攻撃されている!

正気に戻った宝太郎の元に突如現れる白髪青目の浮世英寿。このビジュアルを成立させる簡秀吉の顔の良さが相変わらず怖い。とんでも展開の連続で大混乱のオタク達を置き去りにしてストーリーは進み続ける。
「何故こんなことをしたのか」と問いかける宝太郎に完全な善意のつもりでやったという旨を話すクロスウィザード。元々人間が好きだった彼は、人間と遊べない現状に寂しさを感じていた。それでも夢の中であれば、遊ぶことができる。幸せな世界で、好きな人達といつまでも一緒にいられる。なぜそれを受け入れないのかと不思議がるクロスウィザードに宝太郎は答える。「母さんと喧嘩してる。謝らなきゃいけない」と。おめでとうございます!100000000英寿ポイント獲得です!母親と再会するために2000年輪廻転生を繰り返した男を的確に刺しにきてびっくりしてしまった。

メインで描かれたのは宝太郎の夢だったが、他メンバーの夢も印象的だった。王子様を追いかける祢音、警察官として取り調べをする景和、後輩に高級肉を奢る道長。本編最終回では先輩から美味しい肉を食べさせてもらっていたミッチーが今は後輩に奢りたいと思ってるのとんでもなくエモい。
そしてりんねはいなくなったはずの父との再会を果たしていた。本当に竈門炭治郎みたいなことになってる辺り、流石ヒロインである。
ところで英寿はどんな夢を見ていたのだろうか。神様だから夢は見ないのか、お母さんの夢なのか、仲間達の夢なのか、本編冒頭の映像こそがそうだったのか。その答えは神ノミゾ知ル。

そしてクロスウィザードの魔法は解け、現実世界に帰っていく宝太郎と仲間達。そこに現れたのは伊坂…ではなく、釘宮調査官だった。どうやら英寿に恨みがあるらしい。クロスウィザードと融合した釘宮はあまりにも強く、劣勢を強いられるみんな。そんな中、変身できないりんねを庇って攻撃を受ける祢音。誇り高いヒーローの精神に触れたりんねは「大切な人を自分の力で守りたい」と意志を固める。
魔法の力で再び夢の世界へと戻ったりんねは父親から力を授かり、仮面ライダーマジェードへと変身。思えばりんねは「今はいない親に強い未練がある」という点で本編の英寿とよく似ている。映画終盤の「強くなったな、九堂りんね」には、自分と近い悲しみを背負った後輩への敬意が詰まっていたように思う。大変な道をわざわざ選び取る心の強さに乾杯。

戦闘シーンでは本当に色々あったが、英寿の鎖を斬る道長とそれに加わるスパナが『仮面ライダーギーツ』らしくて特に印象的だった。道長は英寿のために、スパナは道長のために、繋がる助け合いの輪。

りんねの大活躍の結果、どうにか上手くいった!…と思いきやまだ倒れない釘宮。英寿に執着する彼の正体は2000年前のデザグラ参加者(古代人)だった。英寿を倒すために2000年間鍛え続けていたという。とんでもない執念。ギーツキラーというよりガチ恋粘着獣である。

英寿と再会してフィーバー状態の釘宮はパワーアップ。謎のブラックホール的なものでライダーから一般市民まで吸い込みまくる。なぜか吸い込まれなかった英寿と宝太郎は頑張って戦うがやはり苦戦はする。ついにやられそうになる英寿。そこに飛び出し、英寿を庇ったのはギーツケミーだった。
英寿は大いに動揺するが、釘宮はそれを嘲笑うかのようにギーツケミーを取り込む。これには流石の英寿も激おこ。レベル10のケミー達の力を借りてパワーアップした宝太郎と共に、釘宮を撃破した。逆さま状態でキックをかます英寿で紅渡のクソデカ月キックを連想したのは私だけじゃないと思う。

戦いを終え、再び集合したみんな。負傷したギーツケミーを介抱する英寿はあることに気がつく。 

「コン、お前だったのか」

ギーツケミーは英寿が飼っていた犬だったのだ。公式Xの「おすわり」ってそういうことだったんですね。それにしても台詞がごんぎつねすぎる。確かに狐といえばごんぎつねではあるのだが、まさかここで持ってくるとは。

コンは英寿に再び出会うためにギーツケミーに転生したという。「英寿だって転生できたんだし、強い意志があれば犬も転生できるんだよ!」というパワー型理論が非常に『仮面ライダーギーツ』っぽい。ケミーと人間の絆を描くガッチャードのフォーマットとしても成り立っているし、脚本の妙に唸ってしまう。その上、犬が健気だからずるい。劇場の成人済オタク達の何割かはガチで泣いてた。私もちょっと泣いた。そして浮世英寿も泣いていた。そんな英寿を見て道長が一言。

「神の目にも涙」

上手いこと言わんでええねん。

即座に話題を変えてみんなに帰るように促す景和の優しさにメロメロになったりしつつも、結局はEDの牛飯おにぎりを配る道長に意識を持って行かれてしまった。後輩への差し入れとして、かつて英寿からもらった牛飯おにぎりをチョイスするミッチー…萌えです…。

今回の映画では道長の肩をたたく景和や、後ろから道長と景和に飛びつく祢音など、ちょっとしたやり取りで仲良しっぷりを披露するギーツメンバー達がめちゃくちゃ良かった。明らかに本編時より仲良くなっている。あと英寿がみんなの前で涙を流せるようになったのが嬉しい。それだけ心を許しているということだもんね。

そして何よりも浮世英寿がズルすぎる。
まず宝太郎への態度。「何を考えているのか分からないイケすかない狐」感増し増しで、初期英寿と九条貴利矢のオタクに刺さりまくってしまった。初期の英寿って視聴者から見てもあんな感じだったよね。あれが第一印象ってことなのかな。でもおちょくるだけおちょくって楽しんだあとは「まさか俺が化かされるとは」と相手を立てる辺り、やはり英寿も成長している。

そしてギーツケミー改めコンとの絆。
突然現れたギーツケミーに冷たく接していた英寿。「ペットはいらない」「狐鍋にする」は「仲良くなると別れがつらくて耐えられなくなる」の裏返し。輪廻転生を繰り返して様々な出会いと別れを経験してきた英寿が生き物の死に敏感であること、命の大切さを忘れていないこと、通算で2000年ほど生きてきた英寿がたった数年一緒にいただけの飼い犬に心を寄せていたこと、ツラい別れを避けたくて突き放してしまったこと。その全てが愛おしくて、切なくて、浮世英寿のことが更に大好きになってしまった。英寿は本編最終回で神様になってしまったけれど、大切な家族との別れという傷を心の中で持ち続けていた彼はどうしようもなく「人間」だ。眠るギーツケミーを撫でようとするも、やはり躊躇って手を止めてしまうシーンが脳に焼き付いて離れない。

思えば英寿は今の家族や、景和達以外の友人の話をほとんどしてこなかった。いつか別れが来ることが分かっているから近づかないようにしていたのかもしれない。それが長く生きていく中で自分の心を守るための処世術だったのかもしれない。そんな英寿が景和や祢音、道長と仲良くなっている。今、夏映画ラストのみんなからいじられる英寿を観たら間違いなく泣いてしまう。

簡秀吉は1月期の深夜ドラマに主演として出演する。彼が「浮世英寿」以外になろうとしているタイミングで、とんでもないものを投下してきた東映特撮。別れがつらくなるからこれ以上好きにさせないでほしい。嘘です。もっと私達を化かしてください

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