【映画ギーツ・キングオージャー】王達の凄みと萌え萌え英寿

「ギーツの最終回に追いつきたい」と思い立ったあの日から1ヶ月と少し。私は『仮面ライダーギーツ』と『王様戦隊キングオージャー』の映画を観るため、劇場に来ていた。
ドラマの最終回に追いつくどころか映画まで観に来ることになるとは思わなかったが、2作とも最高に面白かったので感想を残しておこうと思う。

キングオージャー

「生きることは地獄だ」

子ども向けヒーロー番組の主人公から出てくるセリフとしてはあまりにも重い。未来ある子ども達が親御さんと一緒に観る映画でそんな身も蓋もない真理を口にするなんて…と驚いたのは私だけではないと思う。

ギラの言うように、生きることは地獄だ。辛いこと・苦しいこと・悲しいことは前触れもなくやってくるし、思い通りにならないこともたくさんある。幻想的で美しい死の国(天国)・ハーカバーカと比べたら、現世は味気なく汚く見えるかもしれない。
それでも、その中で「小さな幸せ」を探すことはできるし、それを大切に育てていけば地獄みたいな世界も少しはマシになる。そして、他者の幸せを侵すことはどんな大義があっても許されないのだ。
市一の民として生きてきたギラだからこそ口にすることができた言葉に胸が震えた。

そしてギラ以外の王様達も素晴らしかった。
亡くなった両親に綺麗な笑顔で別れを告げ、未来へと駆けていくヒメノ。因縁の相手(自分が起こした革命で討たれた?先王)と対峙し、大殿様としての自分の在り方を示すカグラギ。死者からの恨みの声を1人で背負おうとするリタと、「声を聞いて」と寄り添うモルフォーニャ。過去のしがらみがないからこそ1人冷静にやるべきことをやるヤンマ。蜘蛛の糸を辿って現世から駆けつけるジェラミー。死者(過去)への向き合い方を通して王達の「凄み」を見せつける最高の映画だった。中村獅童・雛形あきこ・佐倉綾音を引っ張ってきたのに、上映時間が30分しかないのが信じられない。2時間くらいやってくれ。

ギーツ

キングオージャーの余韻をぶち壊すかの如く現れた鈴木福。どうやら映画館の観客をしっかりと認識しているらしい。福と一緒に我々が見守ることになるのが4人の萌え萌え英寿と振り回される仲間達である。

力の英寿
カウボーイ衣装を身にまとった脳筋。バックルを投げ、馬から落ち、バッファを肩車して暴れ狂い、最終的にはバッファを投げる。無茶苦茶である。「こんなのギーツじゃない!」と解釈違いを起こしながら変身介助までしてしまうお母さん(吾妻道長)と、なぜか馬に乗って颯爽と現れる晴屋ウィンも最高の極みである。

知恵の英寿
一人称が「小生」な頭でっかち。三半規管が異様に弱く、よく転んでいる。お嬢様でありながら、なぜか人力車を引っ張る羽目になった祢音が可哀想かわいい。

運の英寿
一人称が「僕」のあざと豪運男。千石清純ばりに「ラッキー」って言う。とにかくとてもかわいい。メリーポピンズみたいなツムリと矢を射る冴の画力がとても強く、巻き戻して繰り返し観たくなってしまった。

オカリナの英寿
オカリナを吹くことしかできない男…かと思いきや、英寿の根幹にある「強い意志」と「人を信じる心」を宿したヒーローだった。なぜオカリナを吹いていたのかは誰にも分からない。

上記の個性豊かな4人の簡秀吉と仲間達を楽しむコメディ映画…かと思いきや、「みんなで同じ未来を信じて行動すれば、世界は変わる」という本作のテーマがしっかりと打ち出された名作だった。強大な敵を討ち果たした後、分裂英寿を擦り倒す仲間達と、バツが悪そうに「忘れろ!」と叫ぶ英寿。本編では見たことのなかった彼らの姿に驚くと共に、来週に控えた最終回もこんな風に終われたら良いなと思ってしまった。いつもどこか一歩引いていた英寿が仲間達と共に「今」を歩いていける世界、そして吾妻道長の笑顔が守られる世界であれ。


それにしても劇場版ギーツ、とても面白かったが何かが物足りない。

そう、五十鈴大智である。

この世界線の五十鈴大智はいったいどこへ行ってしまったのか。そして本編最終回の五十鈴大智はどうなるのか。答えは神(高橋悠也先生)のみぞ知る…とさ。

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