包丁の話

(読了目安9分)

現在、マスターは南伊豆町に住んでいます。
海の近くで妻とレストランの経営をしながら、希望者には「包丁の基礎」を教えています。


ということで、今回は包丁の話をしますね。


あくまでも一般家庭レベルの話として、独身女性が嫁入り道具に選ぶとき、「愛を表現できる包丁はどれか」という話を書いておこうと思います。
マスターの主観で書きますが、価値観を押し付けるつもりはありません。
違う意見、違う考え方もあると思いますし、それが自然だと思います。

少し長めの投稿です。

・・・

さて、みなさんが今使っている包丁って、どんな包丁ですか?

和包丁でしょうか、洋包丁でしょうか。

片刃でしょうか、両刃でしょうか。

形は三徳包丁でしょうか、シェフナイフ(牛刀)でしょうか。

材質は鋼(ハガネ)でしょうか、ステンレスでしょうか。

刃渡りはどのぐらいでしょうか。



マスターは、これまでの仕事の経験から「一般家庭レベルで包丁を使うならこれ」という結論が出ています。



その包丁とは・・・刃渡り180~200ミリのシェフナイフで、刃付けは「片刃」です。

包丁に詳しい人は、「片刃のシェフナイフ?」と思うかもしませんが、きっとこのタイプの包丁が一番役に立ちます。


将来あなたが結婚したとき、料理が好きで知恵のある姑さんなら、あなたが「片刃のシェフナイフ」を持っているのを見て感心するかもしれません。


では以下のテーマで進めていきます。

ここで書く「和包丁」とは、刃が厚く、刀身が木の柄に差し込まれている伝統的な構造のものです。

「和包丁」で画像を検索すればたくさん出てきますので、よかったら検索してみてください。

1:和包丁と洋包丁ではどっちがいいの?<和服より洋服>
2:両刃と片刃ではどっちがいいの?
3:三徳包丁とシェフナイフではどっちがいいの?
4:鋼とステンレスではどっちがいいの?
5:長い包丁と短い包丁はどっちがいいの?

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1:和包丁と洋包丁ではどっちがいいの? <和服より洋服>

洋包丁がいいです。
現在の一般家庭では、すでに洋包丁が多く使われていますよね。
理由はもちろん「便利だから」です。


伝統的な和包丁は、高級感があって、プロっぽくて、歴史があって、いろいろと良さそうに感じるかもしれませんが、一般家庭の調理を考えたら、洋包丁の方が断然優れています。


以下、主に和包丁の「デメリット」を書いていきますので、
「和包丁がいい」なんて思っている人は、目からウロコを落としてください。

◎重い
刃の厚みが洋包丁の2倍程度あるものも多く、重量が重いです。
重いと腕や手首が疲れやすく、仕事の精度やスピードが落ち、怪我もしやすくなります。
また、万一落とした場合、衝撃が大きい分、刃こぼれしやすいだけでなく、人がケガをしやすくなります。
洋包丁は、和包丁と同じ刃渡りなら、かなり軽く感じ、長時間軽快に使えます。
※オススメの洋包丁の重さは140g~180gです


◎高価
金属をたくさん使っているので、重いだけでなく、高価になります。
素材も高価なものを使っている場合が多いです。


◎重心が前
軽い木の柄に重い刃を差し込んでいるため、重心が前寄りになり、握ったときに一層重く感じます。
そのため、同じ重さの和包丁と洋包丁では、腕や手首にかかる負担が、和包丁の方が大きくなります。
たとえ同じ重さでも、和包丁の方が疲れるということです。


◎持ち替えの手間がかかる
和包丁は、目的に応じて肉・魚・野菜など、専用の包丁になるため、持ち替えの手間がかかります。
洋包丁は、一本でなんでも切ることができ、洗うだけで持ち替える必要がありません。


◎管理スペースが必要
和包丁は数本の包丁を用意しなければならず、管理スペースを多く必要とします。
洋包丁は1本置く場所があればよく、スペースをとりません。


◎手入れが面倒
伝統的な和包丁は錆びやすい金属を使っているため、使用後は水分の拭き取りが面倒です。
洋包丁はステンレス製のものを選べますから、少しぐらい濡れていても気にせず放置できます。


◎不衛生
和包丁は、刃を柄に差し込むタイプなので、刃と柄のつなぎ部分に汚れや水がたまりやすく、雑菌の繁殖やサビの原因になります。
また、木の柄の部分にも手垢やカビ、汚れがつきやすく、不衛生になりやすいと言えます。
洋包丁の方が作りがシンプルで、金属製の柄もあり、劣化せず衛生的です。


◎研ぐ手間がかかる
種類にもよりますが、和包丁は、研がなければならない「切り刃」という部分の面積が洋包丁の10倍前後あります。
これは、研ぐのに時間や労力が必要になるということで、非効率です。
また、研ぐ技術がないと切れ味を発揮できないため、手間だけでなく研ぎの精度も求められます。
洋包丁の研ぎは和包丁ほどシビアではなく、誰が研いでも良好な切れ味を発揮します。


まとめ:和服よりも洋服

和包丁は洋包丁と比べ、維持のための費用と時間、手間などのコストがかかり過ぎるというデメリットが顕著です。
マスターが出した結論だけでなく、世の中の流れが洋包丁に向いていることからも、一般家庭向けの包丁としては洋包丁の方が優れているということになります。

和服の魅力はそれだけを見れば特筆すべきところはありますが、普段着として考えると、やっぱり洋服の方が便利なんです。


日常レベルでは「和服よりも洋服」・・・これと同じように、日常レベルでは「和包丁よりも洋包丁」ということです。


嫁入り道具に「和包丁」なんていうのは、時代錯誤ですからね。
洋包丁を一本持って嫁ぎ、賢いお嫁さんになってください。


では、2番目以降は手短にいきましょう。



2:両刃と片刃ではどっちがいいの?

包丁には「両刃」と「片刃」があります。
両刃は、刃の両サイドが研いであるもので、片刃は右側(右利き用)だけが研いであるものです。
両刃は、刃の断面が「V字」で、「片刃」は「レの字」になっているわけです。


両刃の長所は、叩き切る時に「刃が丈夫」なことと、硬い食材を分断するときに、「まっすぐ(真下)に切ることができる」という点です。
片刃の長所は、研ぎ角が両刃の半分なので、「切れ味がいい」ということと、片側しか研ぐ必要がないので、「砥ぐ手間が半分」ということ、「薄切りがしやすい」ということです。

欠点は、刃が弱く、硬いものはまっすぐに切りにくいということですが、合金の技術が進んだおかげで刃は以前より丈夫になっていますし、家庭レベルで厳密な制度が求められるものはないということなどを考えると、総合得点は片刃が優れています。


3:三徳包丁とシェフナイフではどっちがいいの?

まず基本を確認しておきましょう。
シェフナイフは「牛刀」とも呼ばれています、これ大切なところです。
ここでは「三徳包丁とシェフナイフではどっちがいいの?」と書きますが、「三徳包丁と牛刀ではどっちがいいの?」ということでもあります。


さて、三徳包丁は、シェフナイフと比べて平均的に刀身の高さがあり、刃渡りが短いものが多いです。
人間で例えると、「太めの体型」と言っていいかもしれません。
刃渡りはだいたい150ミリから180ミリ程度です。

人間で例えると、「低めの身長」と言っていいかもしれません。


一方シェフナイフの刀身は先端に向かうほど細身になり、人間で例えると、「スリムな体型」です。刃渡りは180ミリから300ミリ以上あります、人間で例えると「長身」と言っていいかもしれません(短いものは165ミリからあるようです)。


シェフナイフは大きなものを切る作業がしやすく、先端が細くなっているため、食材に対して小細工をしやすいというメリットがあります。
個人的には、スリムな刀身は見ていても気持ち良く、料理をするモチベーションが上がる気がします。


4:鋼(ハガネ)とステンレスではどっちがいいの?

包丁の刃の材質には、大きく分けて「鋼」と「ステンレス」があります。
鋼は「切れ味がいい」とされていますが、「もろい・錆びやすい」というデメリットがあります。
一方、ステンレスは切れ味が少し劣るものの、放置していてもサビることはなく、手入れの手間が少ないことが特徴です。
鋼もステンレスも一長一短ですが、マスターは、ステンレスでできた包丁をオススメします。

ちなみにマスターの包丁は、「モリブデンバナジウム」というステンレスでできたものです。

3日に1回、30秒間ほど、6000番の砥石で砥いでいます。

※最近のステンレスは、技術の進歩で、とてもいいものが出回っているため、昔の人がイメージするステンレスより性能がよく、マスターがステンレスをオススメする理由もそんなところにあります。



5:長い包丁と短い包丁はどっちがいいの?

「大は小を兼ねる」という言葉にあるように、できれば長めの方がいいです。
シェフナイフにもいろいろな長さがあるんですが、上にも書いたように、市販されている短いシェフナイフは刃渡り180ミリ、長いものは300ミリ以上になります。

たとえばキャベツの千切りやスイカをまるごと切るときなど、大きなものを切るときは長い方がなにかと便利です。

しかし、一般家庭で毎日のように大きなものを切ることはありませんよね。

また、短いほど扱いが楽で長時間の作業もでき、動きも収納スペースもコンパクトでケガもしにくく、研ぐのも楽、そして一本あたりの値段が安くなります。

ということで、マスター個人は、シェフナイフの中では一番短い180ミリのシェフナイフを使っています。

実は、短いシェフナイフで「どうやって大きなものを切るか」と考えるのも、マスターの楽しみのひとつなんです。

ただ、長い包丁は実際に便利な場面も多くありますから、210ミリまでのサイズなら、一般家庭用としてオススメできます。



◎全体のまとめ

最後に、全体のまとめをしましょう。

・和包丁と洋包丁では、洋包丁がいいです。

・両刃と片刃では、片刃がいいです。

・三徳包丁とシェフナイフでは、シェフナイフがいいです。

・鋼とステンレスでは、ステンレスがいいです。

・長い包丁と短い包丁では、長めがいいです(シェフナイフとしては短めですが、一般包丁としては長めの180ミリがオススメです)。

上記の条件を満たしている包丁が、「片刃のシェフナイフ」です。

最近マスターの弟子が会社を作り、上記の条件に近い包丁を販売しています。
弟子が売っている包丁は、マスターの包丁をベースに少し改良を加え、一般家庭でも使いやすくしたものです。
世界初の特徴をいくつも持っている画期的な包丁で、実用新案も取得済みです。
https://www.katabayui.com/
配信している「ニンジンの薄切り動画」の再生数がTikTokとインスタグラムで合計3000万回を超え、包丁の在庫が完売して品切れ状態です。
マスターがオススメする包丁の良さが世界中に伝わり始めているみたいで、なんとなく嬉しいです。

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