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陣中に生きる—13『昭和十二年 十月一日、二日、三日』

割引あり

十月 一日 雨

― 平穏な航海 ―

明け方、寒くて目がさめた。
内海なので、船はほとんど揺れない。
雨がシトシト降っていて、うす暗い船内は余計にうっとうしい。

正午、勤務交代。
予防接種をしたので、かたがた休養する。
前方に二せき、後方に三せき、計六せきが一列縦隊になって、軍艦に護衛されて進んでいる。
ゴトゴトという音が、引っきりなしに聞こえる、
重苦しく、耳障りである。


玄界なだもそれほどではなかった。
前回、大しけに苦しんだことを思いだす。
でも、やはり大方のものは、気分がすぐれず苦しんでいた。
食事は、まるで砂を嚙むようである。
夜は、ゆっくりと休むことができた。

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