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桑沢での学び。



桑沢デザイン研究所ではたくさんのことを学んだ。

それはもちろん、デザインをする上で必要な考え方であったり、
カタチを生み出すためのテクニック的なこともそうだ。

だけど、僕にとってこの2年間で特に大切だと感じることは、
桑沢に通った、クラスメイトとの出会いであり、
一人一人と過ごした時間こそがかけがえのない財産なのだと感じている。


夜間部スペースデザインコースに通う人たちは、社会人経験を経て、
二十代後半でデザインの道を志し、入学する人もいれば、

高校を卒業してすぐ、入学してきた人もいる。

大学での就活で感じた違和感を見逃さず、デザインの世界に飛び込む人もいれば、
すでにデザインを生業としているが、さらなる高みを目指して入学する人もいる。

僕のように「デザインがしたいかわからないからきました!」という人もいるだろう。


多種多様な経歴や人生観を持った人々が、「デザインに興味がある」という
一つの軸を元に集った仲間なのだと感じている。


そんなクラスメイトと過ごす時間は、
僕の「価値観」に対する凝り固まった考え方を、
優しく、やわらかく、解きほぐしてくれた。


一人ひとりが異なる価値観をもって、デザインと向き合う姿を、僕は見てきた。


私には個性がないと苦しみながらも課題を全うしようとする姿、
思い悩むようにスタディ模型と向き合い続ける背中、
私は私がしたいことをする!と終始、自分を貫き通した人、
自分のスタイルと建築的な思考とのギャップに頭を悩ませる人、
自信がなくても自分を律して、作品の前に立とうとする人、

デザインを介して自身を制し、強くなっていく人の姿は、すごくかっこよかった。

自分と向き合うことから逃げようとする自分に悩み続け、
それでもデザインにしがみつこうとする人もいれば、

どんなに苦しい状況でも他人を大切に思おうとする人もいた。

マイペースに、柔軟に、だけどしっかり自分自身を言語化しようとする人もいて、
なんで言葉にしなくちゃいけないんだ!と最後まで噛み付こうとした人もいる。


一人ひとりが、様々な価値観を持ち、
デザインの前に苦しみ、楽しみ、向き合おうとしていた。


そんなクラスメイトの姿をみて、僕は一人ひとりの価値観を大切にしたいと感じたんだ。


誰が正しいとか、何が間違っているとか、そんなことよりも
ただただ一人ひとりのデザインと向き合う姿に、僕は価値を感じた。

苦しみながらもデザインと向き合おうとする姿が、
すごく輝いていて、かっこよくて、愛おしく感じた。


みんなが大好き!なんて、ただの感情論でしかなくて、
そんな綺麗事に歯がゆさを感じてしまう僕もいるんだけど、
一人ひとりと過ごした時間は、僕にとって間違いなく大きな財産だと思っている。


本気で向き合いたいと思える人は、僕にとって大切な存在なわけであって。
そんな、大切だと思える人と出会えたこと、大切だと思える時間を過ごせたこと、
そのこと自体が僕の人生において、かけがえのない財産なんだ。


これから先も、そして、今すぐではなくとも、
お互いが大切に思う価値観について熱く語り合える日が来ることが、


今からすごく、楽しみだ。


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