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プレイヤーのためのTranscription Pat Metheny Minuano Live Under the Sky 1992 -1

この解説では、「どういう発想でそのアイデアが出てきたのか」、コピーしたフレーズアイデアの整理、また自分が演奏するときにそのアイデアを思い出しやすくするための「言葉でのラベリング」をポイントとしてやっていきます。
では、いきましょう! まずは原曲の確認から

アウフタクトで入ってくるピックアップフレーズ、最初の3音がメジャー系の「四度進行するエンクロージャー」になっています。これはこのソロの中にも何度か登場し、フレーズを始めるのに良い助走、きっかけになってくれます。

何が「メジャー系」って、私はこのEとC#からAメジャーのコードを感じるんですよね そしてAからターゲットのDへは四度進行します この二音自体は短3度ですが、感覚としては明るいというか、進行するためのエネルギーを内包してるのを感じるんです。なので推進力や勢いがあって、フレーズを開始するのにちょうどいいのだと思います。

ギターの指板上ではこのような形で現れます
一つの弦上でひくなら小人中の手順 小→人はプリング、人→中はハンマリングで発音することもできます。そうすることでギター的にはすごく弾きやすく高速化しやすいんですよね。人差し指を地面としてバスケットボールをドリブルさせるかのように何度もはずみながら音を跳ね返らせることができます。これは楽しく、気持ちよいです。
これは上下T(ターゲット)の順だからギタリストが気持ちよく弾けるのではないでしょうか。「ギタリストの左手の中には、人差し指の側への重力が働いている」といいましょうか、人差し指側に落とすのはラクで、気持ちよい跳ね返りがあるんです。
逆に下上Tの順は少し弾きにくさがあるような感じがします。

次へ行きます。ターゲットのDの音から始まる「同音2連打+階段」です。これもまたメセニーの演奏によく登場します。

16分音符2つずつ高速でリズミカルに刻みながら、下がっていくフレーズです。でもこれっておそらく弾いてる人の気持ちとしては八分音符弾いてるのとほぼ同じ感覚で弾いてるんじゃないかと思うんです。
なぜなら図のようなアップダウンの手順ですと、8分で弾いても16分で弾いても同じ動きになるからです。8分にするか16分にするかはその瞬間の気分でアドリブで決めていいのです。

つまりこの「同音2連」のアイデアはシンプルな8分のフレーズから、16分の速弾きプレイを生み出すアイデアとして有用です。考えていることはシンプルなのに聴こえてくる音は高速、というわけです。
またこのアイデアは階段状に下がり、または上がりながらつかわれることが多いです。

跳ね返りを使った「四度進行するエンクロージャー」と「同音2連打+階段」のアイデアだけでも、すぐに自分のアドリブで実践していろいろ楽しめそうですよね。

今回はここまでにします。ソロ全体の楽譜はこちらです。また次回をお楽しみに!

プレイヤーのためのTranscription Pat Metheny Minuano (Six Eight) Live Under the Sky 1992 はじめに ソロ全体のPDFはコチラ|Koki.K (note.com)


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