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古城の塔の劣化状況等の調査報告が公開されました

 8月18日、としまえん開園時から残る英国古城風建築物「古城の塔」の劣化状況等の調査報告が東京都建設局ホームページに掲載されました。
 古城の塔は当初、保全について全く検討の対象になっておりませんでしたが、

  1. 当会がその価値について発信し、保全と活用に向けた検討を求めてきたこと

  2. パブリックコメントにて71件、オープンハウスで25件の保全・活用を求める意見が出た事

  3. 建築学会関東支部さんにより保全を求める要望書が提出されたこと

パブリックコメント(P30,118)
オープンハウス(P27,413)
建築学会関東支部要望書(「古城の食堂」表記)

 主に上記3点を理由に本来エリア的に含まれるはずの練馬城址公園の「エントランス交流ゾーン」には含まれず、建設局の方で検討することとなりました。
 さらに昨年度中に保全か撤去か判断される見通しでしたが延長され、この度調査報告が公開されました。

調査報告概要

 公開されたものは非常にシンプルな報告書ではありますが、要約すると下記の通りです。

調査結果

  • 耐震指標値をかなり下回っており、大規模な地震による倒壊の可能性は高い

  • コンクリートの中性化が進行しており、鉄筋腐食の恐れがある

  • 1920年代の建物のため基礎部を含め図面が残っていない

今後の建設局の対応

  • 古城の塔を使用する為のコストと工期を調査

  • 古城の塔を展示する為のコストと工期を調査

  • 古城の塔を撤去する場合の代替案の検討

下記に調査報告のリンクを貼ります。

当会の所感

 当会としては今回の報告書を拝見し、東京都建設局がかなり本腰を入れて保全と活用を検討されている事を感じ、大変感謝をしております。また当会が面談時にお話しした活用できない場合にシンボルとして外観を保全する案も組み込まれている事も嬉しく思っています。

 劣化状況的には非常に厳しい数値となっていますが、当初は保全の検討対象にすらなっていなかった古城の塔に対し保全と活用を引き続き検討するだけでなく、遺構として展示する案や、代替案を検討するなどの方向性が示されるまでに価値ある建物としての評価されている事に、状況の大幅な進展を感じました。
 練馬城址公園はとしまえんの閉園により開園した公園ですので、東京都建設局さんには様々な声が寄せられていた事は当会も承知していますが、古城の塔の保全と検討についてこれだけしっかりやられている事は区民・都民の皆さんからも評価されるべきだと思いますし、建設局さん自身ももっと成果として発信されるべきだと思っています。
 区民・都民と東京都が良い公園を共創していく事を祈念します。

今後について

 劣化状況が判明し、あとは「保全にかかるコスト」と「保全する価値」を天秤にかけ、どう判断されるかです。判断するのは建設局さんですが、「保全する価値」とは区民・都民が区民・都民にとって価値ある建物であると認知しているかが重要となります。
 当会の考え方は「あらためて、歴史を伝える意味を考える」でもお書きしましたが、建物保全はその土地の歴史のシンボルを残すかどうかの議論であると思っています。

 これからも当会はとしまえんと地域の歴史を掘り下げ、noteやYoutube、講演等で発信し、実際の学びに繋げるイベントの企画もしていきたいと思っています。
 引き続き応援よろしくお願いします。


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