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あの日食べた焼き芋の味を僕はもう覚えていない(3/11)

昨日は吉祥寺のハモニカ横丁で飲んだ。吉祥寺は何度も行ってるけど、ハモニカ横丁で飲んだことはなくて、「そんなとこもあるのね」くらいに思ってたけど、さいきんすっかりハマってる。

猫の額みたいなひろさの店でずらーっとメニューが並んでて、愛想のいいにいちゃんが焼き鳥焼いてて、海外からの観光客らしいカップルやら、若者やら、スーツ姿の人やらが飲んでる。あの雰囲気がたまらない。「おれもう、ここで泊まりたいわ。居心地よすぎて」っていったら、連れの友達は「いや、むり」と首をぶんぶん振ってた。いいと思うんだけどなぁ。

で、今日から仕事だ。そんな飲んだわけじゃなかったけど、日本酒がきいたのか、ちょっと二日酔い。スイッチ入れるために下北沢のコワーキングスペースへ。10時くらいについたらまだ誰もいなくて、なんか「やったぜ」という気分。そっから原稿書き。

原稿書いてる最中って、「いいの書けた!」って高揚感と、「あぁ、こんなんでだいじょうぶか」って不安をいったりきたりする。おれだけなんだろうか。売れっ子作家なら編集者さんが「いいですね!」とか「まじくそつまんないっす」とか言ってくれて、判断に迷うことも少なくなるかもしれないが、いかんせんしがない物書きなので、自分の判断がたより。自分が書いたものを自分で判断するのってむずかしい。だいたいいつも不安だ。

午後はうちあわせが2本。打ち合わせ中に相手の方が「あ、ちょっとまってください。あと2分ですね」というので、ああそうか、ちょうど13年前のこの時間、震災が起きたのか、と思い出す。画面の向こうからはテレビで震災に関する報道がされているのが聞こえる。相手は音量を下げて、そのまま打ち合わせを続けた。打ち合わせ中、ずっとテレビの音が流れていた。

あいまに散歩したら珈琲屋で焼き芋売ってたので買って、コワーキングスペースの仲間におすそわけ。焼き芋をホフホフしながら食べてると、冬ってのもいいもんだ、と思う。そういえば軽トラの焼き芋屋ってしばらく見てないな。

こうやって、気づかないうちに見慣れた景色がうしなわれて、でもうしなわれたことすら気づかない、みたいなことってたくさんありそうだ。焼き芋屋、電話ボックス、タピオカの店、タウンページ。いま、頑張って思い出そうとしてみたけど、忘れたことすら思い出せないものがたくさんある気がする。めっちゃたくさん。

明日は確定申告をいいかげんやります。忘れてません。


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