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氷河期世代に関する某政党への回答

大手労働組合を支持母体とする某政党が就職氷河期世代に特化した政策立案に向けたアンケートを募集していたため、以下の通り回答させていただきました。

当事者への支援について

◾️支援期間の延長について

政府は2019年12月、就職氷河期世代の雇用問題について「今後3年間で正社員を30万人増やす」という政策目標を掲げたものの達成できず、さらに2年間の延長措置をとりました。その期限が来年3月31日に迫っていますが、もし目標が達成される見込みがない場合、期限を定めず、目標が達成されるまで支援を継続することが必要と考えますがいかがでしょうか?

◾️企業の年齢構成の適正化について

昨今、大手企業を中心に40代以降の正社員に対して希望退職者を募る動きがありますが、そもそもその年代の正社員は氷河期世代に当たるため、前後の年代と比較して全体的に採用数が少ないものと思われます。一方で新卒採用についてはどの企業も積極的で、初任給を大幅に引き上げる動きもあります。このような人事はその企業の年齢構成を歪にするだけでなく、社会的にも特定の年代が労働市場から排除されることにつながるため、一定規模以上の企業については、正社員の年齢構成を日本の人口動態に添ったものにするよう要請すべきと考えますがいかがでしょうか?

◾️非正規雇用の正社員化と待遇改善について

岸田総理は「誰1人取り残さない社会」という政治目標を掲げていますが、現在も不本意ながら派遣や契約などの非正規雇用で働く労働者は210万人という規模になっています(2022 非正規雇用者に占める不本意非正規の比率 リクルートワークス研究所)このような人たちが希望通りの雇用形態で働けるよう各企業に対して実態調査をおこない、非正規雇用率の高い企業については数値目標を設定するなどして正社員化を推進するよう努力義務を課したり、業種的にやむを得ず非正規雇用率が高くなる企業については、正社員との待遇格差(賃金・賞与、社会保険加入、有給・育休などの取得、会社設備の利用、各種手当など)を是正するよう、より強制力のある措置を講じるべきと考えますがいかがでしょうか?

◾️年金の未納期間について

就職氷河期世代は社会に出た時期が不況と重なり、低賃金・不安定な雇用を強いられた結果、年金保険料を支払うことができず、その納付猶予(免除)申請も窓口で拒否されるなどしたため、未納期間がある人が多くいます。そこで年金保険料の追納可能期間を、現行の10年から30年に延長すべきと考えますがいかがでしょうか?

次世代への提言

◾️採用活動の解禁時期について

企業の新卒を対象とした採用活動については、不況期に就活が早期化/長期化する傾向があり、学業に支障をきたしているということが長年にわたり指摘され続けていますが、一向に改善される見込みがありません。そこで法律により在学中の学生に対する採用活動を一律に禁止し、卒業後に採用活動を解禁するべきと考えますがいかがでしょうか?(その際、奨学金の返済については猶予期間を儲けることとします)

◾️新卒一括採用について

そもそも就職氷河期世代が生まれた背景には、企業がバブル崩壊後に採用を抑制していたにも関わらず、景気回復後もその年の新卒のみを採用対象としたことが大きく影響しています。従ってこうした慣習を是正し、卒業後も最低5年間は新卒と同等に扱い、既卒や第二新卒といった差別的な取り扱いを禁止するのと同時に、海外留学、ワーキングホリデー、ボランティア、起業などの経験も選考基準に加えるべきと考えますがいかがでしょうか?

◾️労働条件の虚偽告知について

昨今、新卒で就職した新入社員から事前の説明と実際の労働条件(賃金や雇用形態など)が違っていたなどの苦情が相次いでいます。これは新卒として就職できる機会が生涯に一度だけであるため、就職後は簡単に辞めることができないという新入社員の弱い立場に企業側がつけ込んだ悪質な詐欺行為であり、明確な労働契約法違反に当たるため、企業名の公表など厳しい措置を講じるべきと考えますがいかがでしょうか?

嬉しいです!