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100点満点!【祝】日本の基幹ロケット「H3」打ち上げ成功

ついに、日本の基幹ロケットH3打ち上げに成功しました!(タイトル画像は直後の経過報告動画より)
過去からのシーン含めてダイジェスト動画も公開されています。

あらためてH3の軌跡と特長を振り返ってみたいと思います。

まず、開発は2014年にスタートしました。つまり「10年越し」の念願です。

それまでは2001年から運用されたH-ⅡAロケットが主流で、こちらは世界的に見ても高い打ち上げ率(97%)を誇ります。

ただ、今後他国からの打ち上げ受注を期待するには、価格と納期スピードで課題があり、それを大型化しつつ改良したのがH3です。JAXA説明資料を抜粋しておきます。

https://www.jaxa.jp/projects/files/youtube/h3tf2/jaxa_doc01_20240213.pdf

ポイント(→目標数値)は下記となります。
・廉価→従来比で半額の50億円
・納期スピード→受注から打ち上げまで1年(年間打上6回)

上記を達成すべく、大きな体制変更がありました。

プロジェクト管理は従来通りJAXAですが、初期開発から民間の三菱重工が入っており、部品も民生品を積極的に採用しています。(H-ⅡAはもう少し後工程から参画)
つまり、民間のイノベーションを期待しているということですね。このあたりは、米国のNASAの動きがロールモデルになっていると思います。

ロケットのコアは「エンジン」です。

今回は従来比半額という高いハードルがあり、エンジンにも相当な改良が必要です。

そのために新たに開発したのが「LE-9」という新エンジンで、「エキスパンダーブリードサイクル」方式と呼ばれます。

従来エンジンの原理は、液体酸素と液体水素を混合して燃焼します。
その燃料動力は副燃焼室(タービン)で獲得するのですが、それを今回なくして、液体水素を混合前にガス化する際に出る余熱で賄います。

これによって、部品数が3分の1に削減可能です。

話せば簡単ですが、これは世界初の試みです。つまり超難しいわけです。

当初は2020年に打ち上げ予定でしたが、このLE-9開発が難航したため、何度も遅延が続き、3年遅れとなりました。

そして2023年。ついに、初の実証テストが行われます。細かくは2月に行って直前にストップがかかり3月となりましたが、2月当時の投稿記事を載せておきます。

初号機は、第2段目エンジンが着火しなかったのが原因で失敗しました。原因はエンジンの電気制御する系統に不具合があったと報告されています。

そして今回満を持しての二回目のチャレンジで、見事に成功となりました。
つまり、ロケットは正常稼働し、積み荷も無事軌道に投入されたということです。

細かい内容に興味がある方は、直後に行われた記者会見動画をご覧ください。(2部より技術解説)

しかしこの岡田プロジェクトマネージャの安堵の顔がなんともいえません。

上記動画のキャプチャー

第一声は「ものすごく肩の荷が下りた」でした。自己採点も「100点満点」です☺

30年という長い開発もあり、おそらく言葉に出来ない想いが募っているのだろうと想像します。

数日後から、実証3号機の準備に入るとのことで、まだまだはじめの一歩ですが、日本にとっては大きな一歩に違いありません。

関係者の皆様、本当におめでとうございます!

<イベント案内>
今回の打ち上げ内容も含めて、急遽イベント登壇することになりました。
H3だけでなく日本の宇宙開発動向について初めての方向けに紹介しますので、関心のある方は是非遊びに来てください。

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