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人間のような汎用知能は実現できるか?

以前に個人的にも応援しているDeepMind社の偉業について触れました。

その直後に、さらに新しいAIモデル”Gato(ガトー)”をリリースし、これがとある議論を巻き起こしています。

何が論点になっているかというと、これが「AGI(汎用人工知能)」につながるのか?ということです。

昔は「強いAI」という表現もありましたが、要は我々人類のように単一のモデル(脳を中心としたアーキテクチャ)であれもこれも柔軟に知的な活動を実現できるイメージです。
それ以上の具体的な定義はなく、だからこそ議論が混乱を招くわけです。

上記記事では、少々勇み足では?というトーンですが、どちらかというと解釈の違いかなと思います。
今回のGatoが従来と異なるのは、それまでの深層学習モデルは、1つの目的のために1つの学習を行うというシングルタスク型です。それを同時並行で担えるようになったことを「Generalist Agent」と名付けたわけです。

発表時点でその同時にこなせる数600ですが、実際のパフォーマンスは従来のシングルタスクより悪いとの指摘が上記サイト内でもあります。
それよりも、あくまで今回の論点は、このアプローチはいずれは我々と同等の知性に繋がるのか?という点にあると思います。

今回の楽観主義者によれば、あとはスケールの問題、とのことです。

個人的には、人間の知性に近づけるかどうかの前にその知性自体を解明することが先決かなと思います。
それによっては、根本的に今のソフトウェアプログラムで表現するアプローチでは原理的に到達できない可能性もあります。

この文脈でよく論点に出るのが「身体性」です。

例えば、知能までではないにせよ、我々の知的活動を担う脳は、主に外部からの刺激を感覚細胞(五感)から電気信号で伝えられてなにがしかのイメージをもって判断に踏み切ります。
つまり、その感覚を司る身体を通じたやりとりも、もしかしたら脳の成り立ちに影響を与えている可能性もあるというわけです。

人工知能を身体的な調整で実現しようという思い切ったグループもいます。中でも、有名人を上げるとロドニー・ブルックスさんです。

お掃除ロボットルンバを開発したiRobotの創業者です。
TEDでもプレゼンしているので、彼が創った最新ロボットの動画も紹介しておきます。

この方は、外的作用の調整を重んじたアーキクテチャを採用しています。確かに、ロボット掃除機も普通にAIが環境を学習してさながら理解しているのかのように家中を賢く渡り歩きます。

この身体性が、我々と同じ知能を獲得に必要はないのか?というのがまずは個人的には気になります。

今回の騒動については、Generalistと名付けてしまったのが少々誇大広告に受け止めてしまったのは否めません。

Googleが買収したことで、営利企業である以上はどこかで収益を生む必要があります。下記の記事を見る限りはまだ厳しいのが実態のようです。

元々のDeepMind社のHPでは、「知性の追求」とシンプルな言葉が載っていたのを覚えています。
今は、より実用的な成果をアピールしたもので、今回のGeneralistもそういったプレッシャーも受けてキャッチーなフレーズを選択したのかも知れません。

ここは企業の目的・戦略によるので、外の声はなかなか届きにくいですが、1DeepMindファンとしては、まずは我々ヒトの「知性の解明」に腰を据えて取り組んでもらいたいと思います。

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