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コンパウンド戦略

ナレッジワークで取り組もうとしているコンパウンドについて考えてみました。

まず前提として、戦略には絶対解はなく、最適解しかありません。すべての会社にコンパウンド戦略が適しているわけではなく、シングルプロダクト展開やマルチプロダクト展開が合っているケースもあります。

コンパウンドとは直訳すると複利が利くということです。マルチプロダクト展開は複数プロダクトを開発・提供していくことですが、プロダクトを増やせば増やすほど顧客価値や競争優位が加速度的に高まっていくのがコンパウンド戦略だと理解しています。

マルチプロダクト展開の複利を効かせる方法は無限にあり、こうあるべきだという正解はありません。

米国でHRTechを展開するRipplingは創業から約6年で30個のプロダクトをリリースし、時価総額1兆円に到達していると聞きます。

Rippling社のコンパウンド戦略からは5つの方法でマルチプロダクト展開に複利を効かせていることが伺えます。

①同一ターゲット

Ripplingはすべてのプロダクトが中小企業・中堅企業の人事部門・管理部門という同一ターゲットを定めています。

それによりクロスセリングが可能になり、マーケティング効率が劇的に上がります。

極論を言うと、一つ目のプロダクトにマーケティング投資をしてリードを獲得すれば、二つ目以降のプロダクトにはマーケティングコストはかかりません。

複数のプロダクトのうち、どれか一つがCACが低ければ、それを最初に受注してから他のプロダクトを提案すると、全体のCACを引き下げていくことができます。

②隣接イシュー

Ripplingは勤怠・労務・給与などの隣接したイシューを扱っています。

それにより戦略的な営業や提案が可能になります。

例えば、ある顧客で勤怠のプロダクトについて他社と競合したら、勤怠のプロダクトを大胆にディスカウントができます。

勤怠のシステムを導入したい、刷新したいと考えている顧客は、隣接したイシューである労務や給与のシステムについても同様のことを考えている可能性が高いです。

であれば、勤怠のプロダクトで収益を上げられなくても、労務や給与などのプロダクトをクロスセリングして収益を上げれば良いという考え方ができます。

③エンジニアリング基盤

Ripplingは創業当初から、複数のプロダクトで共通化させることができるミドルウェアに投資しています。

初期は開発投資が重たくなるが、それぞれのプロダクトの開発効率が高まり、プロダクトが一定数以上になると開発投資を回収し、他社よりも開発効率を高めることができます。

④データ基盤

Ripplingは創業当初から、複数のプロダクトで共通化させることができるデータ基盤に投資しています。

多くの場合、勤怠や労務、給与などで従業員データを重複して入力しなければなりません。

しかし、データ基盤を複数プロダクトで共有することで、あるプロダクトで取得したデータは他のプロダクトで入力する必要がなくなり、ユーザーの効率が高まります。

⑤プロセス基盤

Ripplingではプロダクトを立ち上げていく上でのプロセスがある程度標準されています。

どのようにプロダクトのイシューを定め、どのようにリーダーを選定し、どのように新プロダクトにゴーサインが出て、どのようにリワードしていくかが決まっています。

30個近いプロダクトをマネジメントしていくために、プロセスについて共通認識が持てるようになっています。

これらはあくまでRipplingの戦略であり、自社でどうやってコンパウンドを実現するかはマーケットやプロダクトの特性を踏まえて個別に戦略策定する必要があります。

マーケット特性で言うと、Ripplingが展開する米国のHRTechにはレガシーな領域も多いです。

一方で、ナレッジワークが展開する日本のSalesTechには未開の領域も多いです。

それだけで一つ一つのプロダクトづくりのプロセスの進め方は変わってきます。

プロダクト特性で言うと、Ripplingのプロダクトは多分にSystem of Recordの要素があり、取得したデータそのものが価値になります。

一方で、ナレッジワークはSystem of Operationの要素が強く、取得したデータはそれだけでは価値に繋がらないため、それらを通じて何かしらのアクションをレコメンドなどをしなければユーザー価値に転換されにくいです。

当然、データの扱い方や投資の考え方は変わってきます。

Ripplingはコンパウンド戦略の素晴らしい成功事例だが、Ripplingがコンパウンド戦略の絶対解だと捉えてはいけません。

長々と書いたが、ナレッジワークでは大胆にコンパウンド戦略に取り組もうと思っています。

特に新プロダクトを立ち上げていくPO、PMM、Pdmが沢山、本当に沢山必要です。

事業責任者経験やプロダクト開発経験のある方は勿論、コンサルティングファームでのプロジェクト経験、事業会社でのBizDev経験のある方、是非ご連絡下さい!

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