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「フィトセラピー」の名付け親 ヴァイスについて

-「フィトセラピー(植物療法)」とは植物性の治療薬を用いた病気の予防および治療法のことを言う。これに適した植物は一般的に薬用植物と呼ばれる。-

私は今、「自然療法(フィトセラピー)」の勉強をしています。
毎日ハーブや薬草の本を読み、毎日ハーブティーやアロマバスを作って効果を実践しています。実家から摘んだ薬草、ハーブショップで購入したハーブや精油、香りや味の違い、色の出方もそれぞれ違います。

ハーブティーで体質改善をしたり、漢方や薬膳、植物から抽出した精油を使うアロマセラピーがフィトセラピーと呼ばれることは元々知っていました。

でも、広義の意味では、(絹や木綿の繊維から作られる衣類)・(食物)・(樹木の住宅)、もフィトセラピーに含まれることを、勉強を通じて初めて知りました。

思えば人間は植物から多くのものを提供され、生かされているのですから当然のことなのですが、(化繊)・(ファストフードや加工品など)・(鉄筋コンクリートマンション)が当たり前のように身の回りに溢れかえっている便利な大都会東京で暮らす私は、本来人間の生活そのものがフィト(植物)で成り立っているということに、気が付くことができませんでした。

平日は会社員として働く私は、冷食も、ファミレスも、たまには利用しながらワークライフバランスを保っています。
子供服はサイズアウトで買い替えが頻繁なため、ほぼGUやH&Mです。マンション住まいで鉄筋コンクリート製です。
それはとても効率的で節約可能で、ストレスも軽減できる都会に合った暮らし方だと感じています。

実家(広島)は、自然派すぎてその生活は時に大変で、時にストレスにもなります。体が元気でないと暮らせない所だと思います。
(母は現在70歳で、一人暮らし。元気だからエシカルな生活を実践していますが、サスティナブル(持続可能)かといえば限界があるような気もしています)

最近は、不便でもいいからもう一度、子どものころのように自然に囲まれて暮らしたい。という思いが強くなってきたのは事実です。


ヴァイスという医師

前置きが長くなりましたが、「フィトセラピー」という言葉は流行に乗って知名度が上がってきたような気がしますが、その歴史はとても古いのです。

フィトセラピーの歴史についてや、ヒポクラテス、ディオスコリデス、ヒルデガルトなどの有名な偉人については、様々な本で紹介されているので興味のある方はご存じだと思いますが、「ヴァイス」という方をご存じの方は少ないのではないでしょうか。
私もその一人。つい最近知りました。

医学博士ルードルフ・フリッツ・ヴァイス教授は1895年にベルリンに生まれる。高校卒業後、ベルリン大学で医学と植物学を専攻。1922年に医師免許取得。1931年、ベルリン医学研修アカデミーにおいて植物療法の講師に就任。1939-1945年、ベルリン・ブリッツ病院に設置された野戦病院において予備軍軍医として内科主任を務める。
その後、1945年から1952年の7年間、ヴァイス氏はロシア軍捕虜として拘束を受ける。
この時期、氏は豊富な植物知識を生かし、収容所周辺で見つかる治療に適した植物を集め、簡素な薬品として他の捕虜たちの治療に活用した。
この時の氏のたゆまぬ偉大な貢献に対し、1987年、当時のドイツ大統領リヒャルトより、ドイツ連邦功労十字勲章一等の授与を受ける。

1944年に「Lehrbuchs der Phytotherapie (フィトセラピー教本)」の初版を発行し、その後も晩年に至るまで薬用植物の医療への活用に積極的に関与した。今ではフィトセラピーの教科書の古典とまで呼ばれるようになっている。ドイツ語で「Phytotherapie (フィトセラピー)」と名付けたのはヴァイス自身であった。
フィトセラピーが現代、合理的医学としての地位を得るに至った背景にはヴァイス氏の多大なる貢献があったからだ。医学の歴史のおいて、氏は20世紀における最も偉大な医師の一人として名を残すであろう。

出典:植物療法事典

自然療法に懐疑的な人にも


植物療法の世界を勉強し、実践する生活は私自身とても充実しています。
しかし私が「フィトセラピー」について勉強していると知人や職場の人(リケジョ)に話すと、科学的根拠のないものは信用しないの。と跳ね除けられてしまうことは少なくありません。
自然療法、植物療法と聞いて、怪しげなイメージを持つ人が一定数いるのは事実です。無理もないと思います。自然派と謳い、怪しいものがあふれている世の中ですから。

だからこそ、怪しげな自然療法の信者になるのではなく、多くの文献を読み、理解を深めて、自分の目で見て、匂いを嗅いで、体で確かめて、あくまで「予防」の観点から自然治癒力を助けるためのフィトセラピストでありたいと思っています。
急性の場合は速やかに現代医学や医薬品に頼ってもらいたいし、何より使う本人に「癒し」があるかどうかも続けるうえで重要だと感じています。

ヴァイスの論文は、明確にフィトケミカル成分による効能や副作用を定義しておりとても信頼がおけるし、理系脳で自然療法に懐疑的な人でも、ヴァイスのフィトセラピー理論なら納得できるのではないでしょうか。

余談:ラーゲリより愛を込めて


余談ですが、先日Amazon primeで見放題追加となっていた「ラーゲリより愛を込めて」を鑑賞しました。
―満州から不当にシベリア抑留され日本人捕虜として9年間もわずかな食糧で強制労働させられた。挙句、耳の痛みで倒れた主人公山本は、収容所内の診療所で診てもらうが収容所の軍医では「中耳炎」としか診断してくれない。
中耳炎などではなくもっと重大な病気の可能性が高い為大きな病院で診てほしいと、仲間たちが決死の覚悟でストライキを起こすのだが…
大きな病院で診てもらったときにはすでに余命三か月の喉の末期がんに侵されていたー

山本さんの近くにもヴァイス氏のような有能な医師がいれば‥。
家族に再会するという夢も現実に叶ったのではないかと思って見てしまいました。


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