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ローンチから12ヶ月以内に社員数12人で12億円調達。『トリプル12』を実現したチームの働き方

2024年1月、当社FaciloはシリーズAでの資金調達を完了しました。昨年2月末のプロダクトの正式ローンチから12ヶ月足らず、社員数はわずか12人で12億円の資金調達を実現し、会社は新たなステージに突入することができました。(書いてて気づきましたが、たまたま全部12ですね。トリプル12。)

事業のコンセプトや戦略についてはプレスリリースCEOインタビューでも触れていますが、この投稿では『トリプル12』を実現できた秘訣、チームのカルチャーについて私自身の言葉でまとめたいと思います。


Faciloの事業成長の原動力

2023年2月のプロダクトのローンチから多くの不動産会社に導入をいただき、自分たちの想像を遥かに上回るスピードで事業は成長してきました。当初はとにかくガムシャラに走るのみでしたが、その中から自然と「Faciloらしさ」がおぼろげながら見えてきました。
シリーズA資金調達のピッチ資料内では、単純に実績ベースでのトラクションを見せるだけでなく、それを生み出しているエンジンは何なのかを一枚のスライドにまとめました。

FaciloシリーズA Pitch Deckから引用

詳細はスライド記載の通りですが、Faciloの強みは、
①IT×不動産の経験・スキルが豊富なメンバーが不動産会社さまのニーズや要望をいち早くキャッチして翻訳
②圧倒的な開発スキルを持つエンジニアチームがスピードと品質を両立しながら新機能・UI改善を実装
③ニーズや要望がすぐに反映されることから更にプロダクトの活用が進み、より的を射たフィードバックを得られる(→①に戻る)


この好循環を高速で回すことによって、現場が求める新機能・UI改善を、1年間で500件以上リリースすることができました。それにより一気にプロダクトの進化と利用促進を実現できたのが事業成長のエンジンだったというのが私の振り返りです。

では、このエンジンを動かす原動力は何だったのか?
一つはビジネス・エンジニアともに日本のトップタレントを採用できたことです。これはFaciloにとって幸運なことだったし、引く手あまたなキャリアの中、シード段階のFaciloに飛び込んでくれたことに感謝しかありません。

そして、もう一つは、このトップタレントがその才能を十二分に発揮できるよう生産性にこだわり抜いたことです。Sales・CSは不動産会社さまと向き合う時間、エンジニアはプロダクトと向き合う時間を最大化できることを何より大切にしています。

生産性へのこだわりの原体験は、私自身が日本の大企業からシリコンバレーのスタートアップに移り、労働時間は2割減ったのにアウトプットは1.5倍に増えた強烈な経験にあります。

自分自身が実体験もしくは見聞きした経験をもとに、生産性に関する悪循環を断ち切り好循環を生み出すための働き方のルールを3つ設定しているので、この投稿ではそれを紹介したいと思います。

①会議について

悪循環:  定例会議だらけで業務が回らなくなり、結果として定例会議がタスク管理・リマインドの場になる

生産性の観点で、定例会議には注意が必要です。
定例会議が増えてくると拘束時間が長くなるので、話したい相手をつかまえづらくなります。こういった状況が続くと相手の予定を確実につかまえられるように1on1やプロジェクト定例のような定例会議が増えてきます。

すると、どうでしょうか。
社内で報告や相談を受けるような立場の人の予定は定例会議だらけになります。カレンダーが朝から晩までテトリスのように会議で埋め尽くされ、自分自身の作業をする時間がなくなってしまうので、タスクが滞り始めます。

こうしてタスクが滞ると、強制的に相手を拘束できる定例会議内で「タスク管理」や「リマインド」を行うようになり、本来は非同期でできる性質の仕事をわざわざ大人数で集まって行うようになります。こうなると、定例会議を入れないとプロジェクトマネジメントが回らないようになり、更に定例会議が増えていくという悪循環に陥ります。

好循環: 定例会議を原則禁止にして、必要時に同期的コミュニケーションをとれる「余白」を生み出す

上記のような悪循環を断ち切るために、Faciloでは定例会議は原則禁止とし、Slackの非同期コミュニケーションをベースにしています。定例会議がなくなるだけで、各自のスケジュールの「余白」が圧倒的に増えます。

この「余白」はとても大切なポイントで、余白があるからこそ個人個人で作業や考えるための時間を確保できます。またテキストでは伝わりづらいコミュニケーションが発生した際にも、ほぼ確実に相手をつかまえることができるので、タイムリーにサクッとTV会議で連携することができます。
私自身も「ちょっと急ぎで相談したいことあるのでハドルいいですか?」と聞かれることはありますが、大抵は待ち時間ゼロでスタートできます。

こうして、各々がじっくり考えたり作業したりする時間を確保しながら、必要に応じて同期的なコミュニケーションをとれるので、各自が自律的に高いクオリティでアウトプットをできるようになります。こうなれば同期的な場に全員が集まって軌道修正をする必要がないので、なおさら定例会議は必要ない、という好循環を生み出すことができます。

※もちろん中には確実に毎週のように発生する同期的なコミュニケーションもあり、それを単発の会議として毎回設定するのはかえって非効率的なので、社長承認があれば例外的に定例会議を設定することは可能です。それでも定例会議の数は圧倒的に少なく、例えばFaciloのエンジニアチームは週40時間のうち定例会議は3時間しかありません。

②社内資料について

悪循環: スライド偏重主義により資料作成に時間が取られ、本質的な数字やロジックがおろそかになる

私自身、PowerPointやGoogleスライドなどのスライド作成は好きでしたし、相当な枚数を作成してきました。だからこそ言い切れるのですが、スライド資料は生産性にとって弊害が大きいです。

スライド資料を多用するようになると、スライドが綺麗な方が「仕事してる感」が出るようになってきます。細部にわたるスライドの美しさを競い始めると膨大な時間がかかるので、そのぶん深く考える時間を確保できなくなってしまいます。

十分に思考を深めることができずロジックや数字に詰めの甘さがあると、見栄えの良いチャートでごまかす必要性が増してしまい、更にスライド依存になるという悪循環に陥ります。

好循環: スライド資料を原則禁止にして、ドキュメント文化によって組織全体の本質的な思考力を高める

Faciloではスライド資料作成も原則禁止で、資料はすべてGoogleドキュメントのテキストに統一しています。(Notionでもいいと思いますがFaciloの場合はGoogle Workspace内で完結することを優先してます)

表現がテキストに限定されて、見栄えを追求しようがなくなることで、資料作成に要する時間が格段に短縮されます。更に話者が準備した資料をクラウド上で共有しながら、その場で参加者が議論内容を書き足していくので、議事録作成の手間もかかりません。

こうして、組織全体で考える時間を最大化できると、自ずとロジックや数字がシャープになってきます。ここまで来れば冗長なスライド資料は不要となり、端的なテキストでのコミュニケーションで十分意思疎通ができるようになり、Googleドキュメント運用が更に徹底しやすくなるという好循環に入ることができます。

※これはもちろん原則の話で、お客様向けの営業資料や投資家向けのピッチ資料など短時間でイメージを伝えるためのビジュアルが必要な資料の場合にスライドを作成することは稀にあります。

③社内コミュニケーションについて

悪循環: 事前会議に時間が取られ、根回し文化によって検討プロセス・判断基準がブラックボックス化する

最後に生産性向上のために注意したいのが根回し文化です。根回し文化は2つの理由から、とても伝播しやすい性質があります。

一つは、根回しをした人の方がスマートに決裁を得られているように見える点です。誰しも大勢が参加している会議を紛糾させたくないので、誰かが根回しを始めると「自分もやらないと」と伝播するのは自然な流れです。

もう一つの理由は、次第に決裁者の側も根回しを求めるようになる点です。根回しがないと必要な手順を踏まず軽んじられた印象になってしまい、決裁者側も「俺は事前に聞いてない」と頭ごなしに否定してしまうことがあります。1つの案件に対して事前確認を求める関係者が3人、4人と増えていったら一気に生産性は悪化します(そして、スケジュールに余白がないと事前確認が滞るので定例会議でとりあえず押さえておこうという話になり、前述の定例会議の悪循環を更に加速させます)

根回し文化の問題点は、単に関係各所への根回しに二重三重と時間と労力がかかるだけではありません。
本番会議が結論ありきの形式的な場所になってしまうため、意思決定に至るまでのプロセスがブラックボックス化して、会社としての判断基準が共有されないという弊害もあります。こうなると事前会議での属人的な「すり合わせ」が外せなくなり、いよいよ根回し文化の悪循環から抜け出せなくなります。

好循環: 権限移譲×根回し禁止で検討プロセスを短くオープンに

Faciloは根回しも禁止してます。このために必要なのは「権限委譲」と「オープン」な議論のメリハリある運用です。
権限委譲が進めば、そもそも事前確認する相手がいないので根回しが発生しようがありません。Faciloは日々の業務において私の決裁が必要なものはほとんどなく、CXO/VPの裁量に任せてますし、更にCXO/VPも各々の判断でマネージャーやメンバーを信じて任せています。
鶏が先か卵が先かみたいな話ですが、勇気をもって任せることでスピードが上がり学習サイクルが短くなることで、より安心して権限委譲を進められるようになります。

もちろん、中には権限委譲の範疇では収まらない大きな意思決定もあります。そういった際に事前会議やSlackの個別のDMは推奨せず、オンライン/オフライン問わずオープンな議論を心がけています。
オープンな議論を通して、その検討プロセスを関係者間で共有することにより、組織としての判断基準が明確になっていきます。こうなると属人的なすり合わせが不要になるので、根回し文化は必要なくなるという好循環が実現できます。

まとめ

悪循環の事例は対比のためにネガティブな側面を強調した書き方をしてしまいましたが、リスクコントロールが重要な大企業においては丁寧な手順が必要となるという側面もあり、一概に否定できるものではありません。

ただ、個人的な持論として、スタートアップは事業やプロダクトだけでなく働き方についても先進的な取り組みの実験場であるべきだと考えています。
好循環として挙げたFaciloの取り組みはどれも極端に見えるかもしれないですが、これくらい極端に実験して学びを積み重ねていけることはスタートアップの強みでもあるし、働き方を進化させる責任が自分たちにはあると思っています。
今のところ、この実験はうまくいっていて、生産性の向上はFaciloの成長の原動力の一つだったことは間違いありません。

更に、この取り組みはもう一つの原動力であるトップタレントの採用にもつながっていくと信じています。

生産性を追求したことにより、Faciloは時間や場所にとらわれずに自律的に働きたい人にとっては最高の職場になっています。
営業×CS対談。自分でプロダクトを動かす面白さを、ライフイベントの変化と共に楽しめる職場」にもあるように子育てと両立をしながら生き生き働いているメンバーも多いですし、私自身も3才児と5才児の子育てに全力投球しながら働いています。

子育てに限らず、人生には時間や場所による制約は付き物なので、そういった制約を気にすることなく才能を発揮できる職場でありたいと願っています。
シリーズAを終えてFaciloは更なる成長に向けて絶賛採用を強化中です。新しい働き方に一緒に挑戦してくれる仲間を募集しているので、ご興味がある方は採用ページも是非ご確認ください。



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