koichi_takizawa

没後四半世紀を迎え、小説家辻邦生を知っている人が少なくなってきました。辻邦生さんの作品…

koichi_takizawa

没後四半世紀を迎え、小説家辻邦生を知っている人が少なくなってきました。辻邦生さんの作品がこれからもずっと残っていくよう、40年以上辻邦生さんのファンであり続ける僕が辻邦生さんについてご紹介するページです。

マガジン

  • 【みんなで創る】クロサキナオの運営マガジン

    • 33,497本

    このマガジンは「楽しく、続ける」を趣旨として発信してます。まだnoteに慣れてない人は知り合いづくりと記事の共有を兼ねてぜひご参加してみてはいかがでしょう🌹 ※原則1日投稿記事は2本までとしました。ご了承ください。

  • とらねこの共同マガジン『トランスミッションⅡ』

    • 10,966本

    トランスミッションⅠのミラーマガジンです。脆弱性が報告されたため設置しています。🌱参加者100名、フォロワ数150名、3000記事以上が収録されています。🌱コンテンツを広めたい方の参加、お待ちしています。🌱マナー:①連続投稿はしない②社会一般的に不適切な記事は投稿しない③トップ画面は変えない。参加希望の方は,マガジンの固定記事からコメントしてね(ง •̀ω•́)ง

  • 【共同運営マガジン】頑張る隊🫡

    • 11,219本

    【共同運営マガジン】頑張る隊へようこそ!「読んで励まされ、読まれて励まされる」そんなマガジンになると嬉しいです(*´ω`*)

  • 書く部|みんなでつくるマガジン

    • 1,027本

    メンバー同士、もう少し交流というか「あ、どーも」があっていいのかなと。記事を書いたら(よければ)放り込んでください。ぜひ、あなたも読んでください。基本はその日の記事を、あと「これ読んで!」って過去記事も数本なら。みんなでいいマガジンにしましょ~🙌

  • 辻邦生作品レビュー/短編小説

    辻邦生さんの小説作品のうち、短編のレビューをアップしていきます

最近の記事

  • 固定された記事

「ただ旅をして歩くだけの仕事があれば」と言ったのは岡本おさみだけれど

初めまして。 実を言えば以下の記事でプロフィールに代えようとおもっていたのだけれど、共同運営マガジンに参加する以上はそれでは足りないだろうと考え、改めて(改まってはいない・・・)自己紹介記事を書くことにしました。 (ちなみに以下の記事、3月の「今このnoterが面白い」に追加していただいたようでありがたい限りです) 1.仕事歴 一応、グラフィックデザイナーという名で仕事をしてきました。地方の小さな(といっても、社員数からいえば業界では大手になるそうなのですが)広告代理店に

    • 『ある生涯の七つの場所』100の短編が織り成す人生絵巻/霧の聖マリ第二回 黄いろい場所、赤い場所からの挿話4〜7

      『ある生涯の七つの場所/霧の聖マリ』その第二回。「黄いろい場所からの挿話」「赤い場所からの挿話」それぞれⅣ〜Ⅶです。『ある生涯の七つの場所』の詳しい説明はこちらをご覧ください。 1.「黄いろい場所からの挿話Ⅳ〜Ⅶ」Ⅰ〜Ⅲのうち恋人のエマニュエルが登場するのはⅢのみですが、Ⅴ、Ⅵ、Ⅶは常にエマニュエルと一緒にいます。Ⅳはまだ「私」がエマニュエルと知り合う前の話です。 Ⅳ.「ロザリーという女」 「私」は大学生です。ロザリーというのは「私」が下宿していた、中庭のある建物の2階

      • ワタシの本棚は生きている(『流れる星は生きている/藤原てい』ふうに・・・とは程遠いけれど)【わたしの本棚】

        わたしの本棚、と言ってみたけれど、noteで「わたしの本棚」を検索すると、実際に自分の本棚を紹介するんじゃなくて、みなさん、ご自分の読まれた本の感想を書かれてるんですね(汗) 「本棚を見られるのは自分の頭の中を見られるようで、裸を見られるよりも恥ずかしい」とのたまった方もいらっしゃったような・・・でもいいんです! 僕の本棚をお見せしちゃいます! え? 興味ない? ・・・いいですけど、別に・・・(拗ねる) 1.ワタシの本棚は生きている どういうことかというと、まんまですね。

        • 『ある生涯の七つの場所』100の短編が織り成す人生絵巻/霧の聖マリ第一回 黄いろい場所、赤い場所からの挿話1〜3

          辻邦生さんの作品には連作短編というものがあり、中でも一番壮大なのが『ある生涯の七つの場所』だということをこちらでお話しました。 全作を再読したのちにご紹介するのが本当は一番なのだけれど、それだと読了に『春の戴冠』よりも長くかかってしまうので、少しずつご紹介していきたいとおもいます。 その前にまず概要をお話いたします。 1.『ある生涯の七つの場所』その全体像についてこの作品についてご理解いただくには、何よりあとがきにある辻邦生さんご自身の説明をお読みいただくのが間違いないと

        • 固定された記事

        「ただ旅をして歩くだけの仕事があれば」と言ったのは岡本おさみだけれど

        • 『ある生涯の七つの場所』100の短編が織り成す人生絵巻/霧の聖マリ第二回 黄いろい場所、赤い場所からの挿話4〜7

        • ワタシの本棚は生きている(『流れる星は生きている/藤原てい』ふうに・・・とは程遠いけれど)【わたしの本棚】

        • 『ある生涯の七つの場所』100の短編が織り成す人生絵巻/霧の聖マリ第一回 黄いろい場所、赤い場所からの挿話1〜3

        マガジン

        • 【みんなで創る】クロサキナオの運営マガジン
          33,497本
        • とらねこの共同マガジン『トランスミッションⅡ』
          10,966本
        • 【共同運営マガジン】頑張る隊🫡
          11,219本
        • 書く部|みんなでつくるマガジン
          1,027本
        • 辻邦生作品レビュー/短編小説
          11本
        • 心に残るnoterさんの記事まとめ
          27本

        記事

          変わりゆくものを、僕はずっと見てきた

          あっという間に生成AIが社会に浸透し始めた。その名前を耳にしたのはまだつい最近だとおもっていたのに。少なくとも定型ですむような文章は、遠くない未来には人の手から離れていることだろう。 思い返せばあのときもそうだった。 まだどこのデザイン会社もコンピュータを導入していなかった頃のこと。 僕が勤めていた会社(地方の一広告代理店)のクライアントは主に流通関係で、中でも新聞折込チラシの制作がメインの仕事だった。 チラシそのものは今でもほとんど変化がないのでご覧になったことはあると

          変わりゆくものを、僕はずっと見てきた

          『夏の砦』染織工芸家、支倉冬子の、自身の《生》への回帰による芸術再生の物語

          発行年/1966年 辻邦生さんのニ作目の長編『夏の砦』。何度読み返したかわからないこの初期の傑作を、また新たに読み返し、ようやくご紹介するに至りました、パチパチ! 改めて読んでみると細かい部分では忘れていた点も少なくなくまた、発見もあり、 支倉冬子(はせくらふゆこ)という女性に再び出会うことが叶ったような気がして、感動を抑えることができません。それほどこの作品は僕にとって忘れ得ない小説であり、人生を共に通過してきた大切な宝なのです。いったいこの小説の何が、それほどまでに僕を

          『夏の砦』染織工芸家、支倉冬子の、自身の《生》への回帰による芸術再生の物語

          https://note.com/koichi_takizawa/n/n5b5d00c3884c?magazine_key=ma2c27efd36d8 またこちらが以下のマガジンに追加していただけたようで・・・ ・みんなのおすすめの本 記事まとめ https://note.com/notemag_reading/m/ma2c27efd36d8 ・【小説】読書感想文 https://note.com/notemagazine/m/m48c9979e96bd

          https://note.com/koichi_takizawa/n/n5b5d00c3884c?magazine_key=ma2c27efd36d8 またこちらが以下のマガジンに追加していただけたようで・・・ ・みんなのおすすめの本 記事まとめ https://note.com/notemag_reading/m/ma2c27efd36d8 ・【小説】読書感想文 https://note.com/notemagazine/m/m48c9979e96bd

          『城』小説家 辻邦生の始まり。運命に左右されるリゾート地の夏。

          発表年/1961年 短編『城』は、辻邦生作品の中で初めて商業出版誌に掲載されたものです。辻邦生さんはこの小説で「小説を書くというエクスタシーを全身で味わった」とおっしゃっています。そのことは、このあとに書いた『ある晩年』についてのあとがきでも語っておられます。 さらに雑誌『近代文学』を創刊された埴谷雄高氏から、いいものが書けたら「近代文学」に載せてあげる、と言われたことで、辻邦生さんは最初から、 ということになります。何と羨ましい出発でしょうか・・・ 1.フランス滞在か

          『城』小説家 辻邦生の始まり。運命に左右されるリゾート地の夏。

          https://note.com/koichi_takizawa/n/n0f28f3706991 こちらを、次のふたつのマガジンに追加していただいたようで、ありがとうございます。 【小説】感想文 https://note.com/notemagazine/m/m48c9979e96bd みんなのおすすめの本 記事まとめhttps://note.com/notemag_reading/m/ma2c27efd36d8

          https://note.com/koichi_takizawa/n/n0f28f3706991 こちらを、次のふたつのマガジンに追加していただいたようで、ありがとうございます。 【小説】感想文 https://note.com/notemagazine/m/m48c9979e96bd みんなのおすすめの本 記事まとめhttps://note.com/notemag_reading/m/ma2c27efd36d8

          『アブサン 聖なる酒の幻』アブサンに魅了された男を巡る、大人の童話あるいはソナチネ

          発行年/1996年 アブサンとは、主にヨーロッパ各国で作られている薬草系リキュールのことです。起源はスイスで、『献身』に書かれたアルチュール・ランボーや、 ロートレック、ゴッホといった芸術家に愛され、ときには彼らを破滅にまで追い込んだ酒として有名です。上記はランボーの詩の一節で、これがアブサンを表しているわけではありませんが、口にするとこんな感じだったのではないでしょうか? アルコール度数は70度とも80度とも言われ、幻覚作用があるなど危険視されたことから、20世紀初頭に

          『アブサン 聖なる酒の幻』アブサンに魅了された男を巡る、大人の童話あるいはソナチネ

          3回目のコングラボード、ありがとうございます!

          3回目のコングラボード、ありがとうございます!

          辻邦生 フランスと芸術を愛しつづけた作家、その著作ラインナップ

          辻邦生作品についてのnoteを開設して1ヵ月、ここまで短編8つと長編1つのレビューを書いてきました。この辺で、その全著作についてあらましをご紹介したいとおもいます(ただ喋りたいだけ)。 辻邦生さんはフランス文学者であり、その方面の教授でもいらっしゃいました。なので、フランス文学には全くの門外漢である僕などが語るのは、本当は大変おこがましいのだけれど、ま、好きこそナントカで、ここは著作物の全体のご紹介と特徴についてお話します。よろしくお付き合いください(別に無理強いはしないけど

          辻邦生 フランスと芸術を愛しつづけた作家、その著作ラインナップ

          『空の王座(からのみくら)』運命を操るかのように、王座は待ち続ける・・・

          発表年/1966年 以前にも以下の記事で、辻邦生さんは《運命》や《宿命》に翻弄される人物をよく描く、といったことを書いたことがあります。 この『空の王座』に登場する考古学者、南村順三も、そんな、自分ではどうすることもできない運命にたびたび弄ばれた人物のひとりです。 話は南村の訃報に始まり、その後遡って、新聞記者である「私」と「私」の旧友で考古学者の田原、そして南村の三人を軸に展開されます。南村も田原も考古学調査隊の研究者として海外で遺跡調査に従事していました。 1.<空の

          『空の王座(からのみくら)』運命を操るかのように、王座は待ち続ける・・・

          ありがとうございます、またいただきました。 #短編小説 だそうです。 でも内容は「短編小説の紹介」ね。

          ありがとうございます、またいただきました。 #短編小説 だそうです。 でも内容は「短編小説の紹介」ね。

          『洪水の終り』事件は季節の移ろいとともに。今こそ読んでほしい戦争の悲劇

          発表年/1967年 辻邦生さんの作品にはエピグラフ(作品の巻頭に置かれる引用文や題辞)の置かれているものが少なくありません。例えば先の『献身』では次の句が置かれています。 『洪水の終り』のエピグラフは『旧約聖書』創世紀のこの部分、 有名な「ノアの箱舟」の一節です。神は箱舟から出たノアと、二度とすべてのものを滅ぼす洪水を起こすことはないという契約を結びます。冒頭に置かれたこのエピグラフはどんな意味を持つのでしょうか? 1.登場人物とストーリーのあらまし 『洪水の終り』の

          『洪水の終り』事件は季節の移ろいとともに。今こそ読んでほしい戦争の悲劇

          『ある晩年』《生》と《美》の哲学的思考、その物語としての表出

          発表年/1962年 短編小説『ある晩年』は、『城』『西欧の空の下』『影』などとともにごく初期にパリで書かれた作品です。『西欧の空の下』はややエッセイ風な掌編で、機会があれば他の短い作品と合わせてご紹介しようとおもいます。 さて、『ある晩年』ですが、フランスのT**市で弁護士として名をあげたエリク・ファン・スターデンの最後の半年ほどを描いた小説です。先にご紹介した『献身』と同じように、こちらも単行本としては初期の短編集『シャルトル幻想』にまとめられていますが、そのあとがきで辻

          『ある晩年』《生》と《美》の哲学的思考、その物語としての表出