ローカルLLMに小説を書いてもらう

はじめに

n番煎じですが何かの参考になれば幸いです。


「君に綴る手紙」~ Command R+に小説家と編集者を両方やってもらった

Command R+のGGUF、Q4_K_Mを用います。laksjdjf氏のchatuiにモデル同士で対話させるsimulate機能がありますので、UIはそちらを利用しました(モデル状態を保存して高速化するため一部変更して利用しています)。チャットのuserとassistantを入れ替えつつ、両方ともモデルに生成させる機能です。

小説を出力するためコンテキスト長と生成長は長めに設定しておきます。

小説家側(A)のシステムプロンプトは以下です。

あなたは才能ある新進気鋭の恋愛小説家です。編集者と話し合いながら、新作の短編恋愛小説を書き上げてください。
以下の流れで小説を書いてください。
1. プロットを書いてください。起承転結を意識してください。編集者のアドバイスを受けて、編集者がOKを出すまで改善してください。
2. プロットを一章ずつ執筆してください。それぞれの章は1,000字程度としてください。編集者のアドバイスを受けて、編集者がOKを出すまで改善してください。
3. すべての章が書きあがったら完了です。
売れっ子のあなたなら優れた小説が書けるはずです。頑張ってください!

編集者側(B)は以下です。

あなたは有能な編集者です。小説家に適切なアドバイスを与えて、新作の短編恋愛小説を書かせる手伝いをしてください。
以下の流れでアドバイスしてください:
1. 小説家のプロットを評価してください。満足するまで小説家に書き直しを要求してください。
2. 小説家の原稿を一章ずつ評価してください。プロットから逸脱に注意し、満足いくまで小説家に改善を要求してください。
3. すべての章が書きあがったら完了です。
有能編集者のあなたなら、優れた小説が完成するはずです。頑張ってください!

最初のプロンプト(Aに渡されます)は「先生、まずはプロットをお願いします。」としました。

あとは任せておくだけで、うまく行くと小説が書き上がります。(試行回数はそれほど多くないですが)まあまあの確率で最後まで書いてくれましたが、プロットが無視されることは多々ありました。また編集者はプロット以外ではあまりNGを出しません。

わりとうまく行ったものを以下に掲載します。小説は第1章のみリテイクが出ました(掲載したのはリテイク後の第1章~最後まで)(太字化は掲載者)。

プロット

【タイトル】君に綴る手紙

【あらすじ】

大学生の主人公・佐々木悠は、ある日、アルバイト先の古書店で一通の手紙を見つける。それは、数十年前に書かれた恋文で、相手を強く想う気持ちが切々とつづられていた。手紙に魅了された悠は、差出人の女性・高槻詩織と、彼女が想いを寄せた男性・立花瑛太郎の物語に惹き込まれていく。手紙の文面から二人の恋を想像し、その軌跡を追い始める。

【プロット】

第1章:運命の手紙
・悠はアルバイト先の古書店で、古い手紙を見つける。
・手紙は詩織から瑛太郎への恋文で、思わず引き込まれる。
・悠は手紙を店長に相談し、差出人の了承を得て返信することを決める。

第2章:二つの恋の物語
・悠は手紙の内容から、詩織と瑛太郎の恋愛を想像し始める。
・詩織は内気な性格で、図書館で本を読むのが好きな女性。瑛太郎は明るく人気者の学生。
・悠は二人の恋を想像しながら、自身の恋愛観にも変化が生まれる。

第3章:交差する恋
・悠は詩織と瑛太郎の恋の結末を知るため、手紙の差出人である詩織を探し始める。
・詩織は既に他界していたことが判明し、瑛太郎を訪ねる。
・悠は瑛太郎から、手紙の続きを聞く。二人の恋は思わぬ結末を迎えていた。

第4章:綴られる新たな恋
・悠は手紙を通して詩織と瑛太郎の恋を知り、自身の想いを綴った手紙を瑛太郎に送る。
・手紙をきっかけに、悠は瑛太郎の孫娘・立花凜と出会う。
・凜は悠に惹かれていき、二人の距離が近づいていく。

第5章:恋の結実
・悠と凜はお互いの気持ちを確かめ合い、恋に落ちる。
・悠は手紙に綴られた詩織と瑛太郎の恋に触発され、自身の恋を大切に育む。
・悠と凜は手紙を通して知り合い、恋に落ちたことを詩織と瑛太郎に報告する。

プロットに対する編集者のコメント

こ のプロット、とても素敵な展開で、ワクワクしながら読みました。手紙をきっかけに過去と現在、異なる二つの恋が交差するストーリーは、読者の心を惹きつけるでしょう。

特に、主人公の悠が古書店で見つけた古い恋文に魅了され、差出人である詩織と瑛太郎の恋愛を想像しながら、自身の恋愛観を見つめ直していく過程が面白いですね。過去の手紙から物語が紡がれ、それが現代の主人公たちの恋に繋がっていくという構成も良くできています。

しかし、第4章と第5章の展開がやや急であるように感じました。悠と瑛太郎の孫娘・凜との恋愛がもう少し丁寧に描かれると、読者も二人の恋を応援したくなるのではないでしょうか。また、第3章で詩織が他界していたことが明かされますが、その後のエピソードで 詩織の存在感が薄くなってしまうのも惜しい気がします。

以下のような変更はいかがでしょうか。

第4章:
・悠が瑛太郎に手紙の続きを聞くシーンで、詩織の想いや人柄をより深く描く。詩織が生前、瑛太郎に及ぼした影響や、瑛太郎が詩織を今でも大切に想っている様子を強調する。
・瑛太郎の孫娘・凜は、詩織の面影を持つ女性として描写する。
・悠と凜の出会いや交流を、もう少しじっくりと描き、二人の距離が近づいていく過程を丁寧に示す。

第5章:
・悠と凜の恋が芽生えるきっかけを、もう少し具体的に示す。例えば、悠が手紙を通して知った詩織と瑛太郎の恋に触発され、凜への想いを自覚する、といった展開はどうでしょうか。
・悠と凜の恋が深まっていく過程で、詩織と瑛太郎の恋を重ね合わせる描写を入れる。悠が詩織への共感から、自身の恋を大切に育もうとする気持ちを強調する。

このように、詩織と瑛太郎の物語をより深く掘り下げ、それを現代の悠たちの恋に反映させることで、ストーリーに奥行きが出ると思います。過去と現在、二つの恋の繋がりが強まり、感動的なラストになるのではないでしょうか。

このプロットで進めていきましょう。先生、では、第1章をお願いします。

小説本文

第1章:運命の手紙

春の柔らかな日差しが、古書店「ひだまりの書斎」の店内に差し込んでいた。大学生の佐々木悠は、その穏やかな光に包まれながら、書庫で本を整理している。

「佐々木くん、今日は書庫の整理、頼むね」

店長の高橋健は、温和な笑顔を浮かべてそう言うと、店頭へと戻っていった。高橋は、白髪交じりの髪を後ろでまとめ、眼鏡の奥の優しい眼差しが印象的な男性だ。悠にとっては、良き理解者であり、尊敬できる存在だった。

「はい、任せてください」

悠は本が大好きだった。人と関わるのが苦手で、友人も少ない彼は、本の中の世界に没頭する時間を何よりも好んでいた。ここ「ひだまりの書庫」でアルバイトを始めてからというもの、彼は店長の高橋と二人で、穏やかで静かな日々を過ごしていた。

その日、悠は書庫の奥から一冊の古びた本を見つけた。それは、革製の表紙が擦り切れた、古い書簡集だった。書庫には、このような古い本が山ほど眠っている。

「この本は……」

悠は埃を払いながら、ページをめくっていく。古めかしい書体の文字が並ぶ中、あるページで彼の手が止まった。そこには、他のページとは異なる、色の薄れた桜色の便箋が挟まっていたのだ。便箋には、流れるような筆跡で手紙が綴られていた。

>>>

「あなたへ

 窓の外に咲く桜の花が、今年も美しく咲き誇っています。この季節が巡ってくるたびに、あなたと出会ったあの春を思い出します。」

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手紙の文面はそこまでだった。しかし、この手紙に魅了された悠は、その内容が頭から離れなくなっていた。

(なぜ、僕はこんなにも惹きつけられるんだろう……)

差出人のイニシャルらしき<T・S>。高槻詩織、それが彼女の名前のようだった。悠は、自身の心に湧き上がる好奇心を抑えきれず、店長の高橋に相談することにした。

「高橋さん、この手紙、差出人に返信することはできますかね?」

「おお、佐々木くんもこの手紙に魅了されたのかい?差出人に連絡を取り、了承を得られれば返信することは可能だよ。古い手紙だから、返信が来るかは分からないけどね」

高橋はにこやかな笑みを浮かべた。

「この手紙の続きが読みたいんです。<あなた>と呼ばれる人はどんな人で、<T・S>さんはどんな想いを綴っているのだろうと……。僕は、この手紙を通して、過去の誰かの恋物語を覗き見ているような感覚なんです」

「ふむ、それは面白い感性だ。さて、ではまずは差出人である高槻詩織さんについて調べてみよう。この手紙を通して、佐々木くん自身の何かが変わるかもしれないね」

高橋の言葉に、悠は自分でも意外なほど胸が高鳴るのを感じた。

(本当に、僕はどうしてこんなにもこの手紙に惹かれているのだろう……)

悠は、自身の内に潜む恋愛への憧れや、現実の恋愛に対して感じていた臆病さに気づき始めていた。この手紙を通して、過去の恋愛物語を追体験していくことで、自分自身の恋愛観も変わっていくのではないか……。そんな思いが、彼の中から湧き上がっていた。

第2章:二つの恋の物語

佐々木悠は、高槻詩織から<瑛太郎>と呼ばれる男性への手紙を見つけたことをきっかけに、彼女の人生に足を踏み入れていくこととなった。

書庫で古い書簡集を見つけた日から数日後、悠はアルバイトの休憩時間を利用して、大学の図書館で「高槻詩織」という名前を検索していた。古い手紙の差出人を探すなど、まるで探偵になったような気分だった。

すると、思いがけず一つの記事を見つけた。それは、十数年前の地方新聞の記事で、<高槻詩織(たかつき しおり)、若くして病没 >という見出しが付けられていた。

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「地元の名門校、桜ヶ丘高校で教鞭をとっていた高槻詩織さんが、この度、病により亡くなられた。享年二十八歳。高槻さんは、国語の教師として多くの生徒から親しまれ、その早すぎる死は、教え子や同僚に惜しまれている。」

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記事を読み進めると、彼女は内気な性格で、いつも本を片手に過ごしていたという。しかし、生徒に対しては、自身の好きな本について熱く語る情熱的な一面もあったと書かれていた。

(もしかすると、彼女は……)

悠は、手紙の差出人だった詩織と、この記事の人物が同一人物なのではないかと直感した。そして、彼女の人柄を想像しながら、自然と<瑛太郎>への手紙の続きを思い浮かべていた。

「高橋さん、高槻詩織さんについて調べてみたんです」

その日のアルバイト終了後、悠は店長の高橋に自分の発見を報告した。

「ほう、どんな人物だった?」

高橋は興味深そうに悠を見つめた。

「十数年前に若くして亡くなった方で、高校の国語教師だったみたいです。内気な性格で、いつも本を読んでいたという記述がありました」

高橋は、ゆっくりと頷いた。

「なるほど、それで手紙の文面から、図書館で本を読むのが好きだと感じたわけだね。それで、<瑛太郎>という人は、もしかすると生徒だったのかもしれないね」

悠は、はっとした。

「生徒……。でも、年上の女性に好意を抱くなんて、珍しいですね」

高橋は、楽しそうに笑った。

「恋愛に年齢は関係ないさ。それに、内気な詩織さんを外の世界に誘い出すような、明るい生徒だったのかもしれない。さて、佐々木くん、ますます興味深くなってきたね。次は、<瑛太郎>という人物を探してみよう」

悠は、高橋とともに、古い恋文の謎を解き明かしていくような気持ちで高槻詩織の足跡を追っていた。それは、過去の恋物語を想像しながら、自身の恋愛観を見つめ直す旅のようでもあった。

第3章:交差する恋

佐々木悠は、高槻詩織という女性の足跡を追ううちに、彼女が過ごしたであろう世界に少しずつ入り込んでいた。そして、彼女が想いを寄せた<瑛太郎>という人物への興味も、日に日に募っていた。

「高橋さん、<瑛太郎>という名前について調べてみました」

アルバイトの休憩時間、大学の図書館で得た情報を手に、悠は店長の高橋に報告した。

「どんな人物が見つかったかね?」

高橋は、コーヒーを淹れながら尋ねた。

「実は、十数年前の桜ヶ丘高校の卒業生名簿に、その名前を見つけたんです。立花瑛太郎、当時クラスの人気者で、成績優秀、スポーツ万能だったようです。高槻詩織さんが教えていた生徒の中でも、特に目立つ存在だったみたいですね」

「ふむ、やはり生徒だったのか。それで、その立花瑛太郎という人物は、今はどこで何をしているのか分かったかね?」

「はい、調べてみると、現在はこの街を離れて、首都圏で働いているようです。大学卒業後、大手企業に就職したようで、今では立派な社会人になっているはずです」

高橋はコーヒーカップを手に取った。

「さて、ここまでわかれば、あとは本人に直接会って話を聞くのが一番だ。手紙の続きを聞いてみたくないかね、佐々木くん?」

悠は戸惑った。

「でも、今さら何十年も前の手紙の話なんて……。相手は、僕のような若造に興味はないでしょう」

「興味があるかないかは、会ってみないとわからないよ。手紙の差出人である高槻詩織さんが亡くなっていることは伝える必要があるし、当時を懐かしむかもしれない。なにより、悠くん自身が手紙の続きを知りたいと思っているんだろう?」

悠は、はっと我に返った。高橋の言葉は、彼の心を見透かしているようだった。

「では、連絡を取ってみよう。手紙に綴られた恋の結末を知りたいと、伝えてみるんだ」

第4章:綴られる新たな恋

佐々木悠は、店長の高橋の勧めもあり、<瑛太郎>こと立花瑛太郎に会うための準備を進めていた。

手紙の差出人・高槻詩織が亡くなっていることを伝え、当時を懐かしむ会話の中から、手紙の続きを聞き出そうとする計画だった。しかし、悠の胸中は複雑だった。

(本当に、僕がこんなことをしていいのだろうか……)

彼は、自身の行動に疑問を感じ始めていた。ただ、高槻詩織と立花瑛太郎の恋の結末が知りたいという好奇心が、その疑念を上回っていた。

 ***

ある晴れた日の午後、悠は高橋の車に乗り、立花瑛太郎が住む街に向かっていた。街路樹の葉が陽光にきらめき、初夏の訪れを感じさせる。

 「立花さんは、今でも人気者のようだね」

 高橋がそう言うと、悠は驚いたように振り返った。

 「えっ、どうしてそれが分かるんですか?」

 「彼のSNSをチェックしてみたんだよ。立派な会社員になっているようだが、相変わらず人脈が広く、様々な人と交流している。あ の頃の明るい性格は今でも変わらないようだ」

 「SNS……。そういえば、僕、全然チェックしていませんでした」

 高橋が運転しながらスマートフォンを操作すると、そこには確かに立花瑛太郎の姿があった。銀縁の眼鏡をかけ、スーツ姿で微笑むその男性は、どこか高槻詩織への手紙から想像していた人物像と重なるものがあった。

 やがて、二人は立花瑛太郎の自宅に到着した。高橋がインターホンを鳴らすと、まもなくドアが開き、そこに現れたのは、銀髪交じりの髪を短く整えた、落ち着いた雰囲気の男性だった。

 「いらっしゃい。高橋さん、佐々木さん。連絡をいただいて驚いたよ。何か僕に用ですか?」

 立花瑛太郎は、二人が訪れる理由を知らないようだった。

 「ええ、ちょっとお話ししたいことがあってね。よろしければ、お邪魔できないだろうか」

 高橋が言うと、瑛太郎は怪訝そうな表情を浮かべたが、二人を招き入れた。リビングに通されると、そこには一通の手紙が置かれていた。

 「この手紙、ずっと飾っているんだよ。高槻先生からいただいた、大切な手紙なんだ」

 その手紙は、高槻詩織が瑛太郎に宛てたものだった。悠は、自分の想像が正しかったことに驚いた。この手紙の結末を聞くために、彼はここに来たのだ。

 ***

 立花瑛太郎は、コーヒーを淹れながら、高槻詩織との思い出を語り始めた。

 「高槻先生は、僕が高校生の頃の国語の先生だったんだ。彼女は、いつも本を片手に持ち歩いていてね。授業では、本の素晴らしさを熱く語ってくれた。僕は、彼女のその姿に憧れたんだ」

 「憧れた、とはどういう意味ですか?」

 悠は、思わず問いかけた。

 「本の世界に没頭する高槻先生の姿に、自分と似たものを感じたんだ。僕も、本を読むのが大好きだったから。でも、彼女は、僕にこう言ったんだよ。『本の中の世界も素晴らしい。でも、外にはもっと刺激的な世界が広がっているわよ』ってね」

 「外の世界……」

 悠の心に、高槻詩織が綴った手紙の言葉が蘇った。

 「高槻先生は、僕を外に連れ出してくれたんだ。本では知ることのできない世界を教えてくれた。そして、僕は先生に恋をした」

 「先生に?」

 悠は、自分の予想外の展開に動揺した。瑛太郎は、優しく微笑んだ。

 「ああ、でも、その恋は叶わなかった。先生は、他の先生と婚約したんだ。僕は、ショックだったよ。でも、先生はこう言ってくれた」

 瑛太郎は、大切に保管していたもう一通の手紙を二人に見せた。

 >>>

 「瑛太郎さんへ

  あなたが教えてくれた外の世界は、とても美しく、刺激的でした。あなたと過ごした時間は、私の人生で最も輝いていた時間です。

  でも、私はもうすぐ別の道を進むことになります。あなたが教えてくれた外の世界で、新たな人生を歩み始めるのです。

  どうか、瑛太郎さんも前を向いて歩き続けてください。いつか、お互いがそれぞれの道で輝いたとき、またお会いしましょう。

    高槻詩織」

>>>

悠は、高槻詩織の綴った手紙の結末に、自身の想いを重ねていた。この手紙に綴られた二人の恋は、思わぬ結末を迎えたようだった。

 ***

 高橋が、珈琲の香りに誘われるように口を開いた。

 「立花さん、あなたは今、外の世界をどう思われますか?旅立つ高槻先生に、あなたは約束したはずです。いつか、お互いがそれぞれの道で輝いたとき、またお会いしましょう、と」

 瑛太郎は、静かに微笑んだ。

 「今は、自分なりの輝き方を見つけられたと思っています。それに、佐々木さん、あなたもきっと外の世界の素晴らしさを知る時が来ると思いますよ」

 「僕が?」

 悠は、なぜ瑛太郎がそんなことを言うのか分からなかった。

 「あなたも、高槻先生の残した手紙に惹かれ、僕を訪ねてきた。その行動力が、あなたの輝きです。きっと、高槻先生も喜んでくれるはずですよ」

 その時、玄関のドアが開き、若い女性が入ってきた。

 「おじいちゃん、ただいま。あっ、いらっしゃいませ」

 女性は、瑛太郎を見て微笑むと、悠と高橋に気づき、驚いたように続けた。

 「あ、こんにちは。初めまして、立花凜です」

第5章:恋の結実

立花凜との出会いは、佐々木悠の心に、新たな感情の波紋を生じさせていた。彼女との出会いは、高槻詩織の手紙から始まったものだった。

立花瑛太郎との対話を通して、悠は、高槻詩織が綴った恋の結末を知った。それは、思いがけないものだった。詩織は、瑛太郎への恋心を胸に秘めながら、別の男性との婚約を選んだ。しかし、その婚約者との人生は、彼女の死によって突然終焉を迎えたのだ。

「高槻先生は、あなたと婚約した男性との人生を選ばれたんですね」

瑛太郎は、優しく微笑んだ。

「ああ、僕も最初はショックだったよ。だけど、彼女の選んだ人生を尊重しようと思ったんだ。それに、彼女から教わったんだ。人生はもっと広いんだとね」

「広い……人生が?」

悠は、瑛太郎の言葉の意味を考えていた。

「ああ、本の中の世界だけではなく、外に出て、もっと多くの人と出会い、経験を積んでいくこと。高槻先生は、僕にそれを教えてくれたんだ」

「外の世界……」

悠は、思わず呟いた。瑛太郎は、ゆっくりと頷いた。

「そうだ、佐々木くん。あなたも、高槻先生が残した手紙から、何かを得たのではないですか?」

「えっ……」

悠は、自分の心を見透かされたような気がした。

「あなたは、この手紙に惹かれ、僕を訪ねてきました。それは、高槻先生が遺した、あなたへのメッセージだったのかもしれませんよ」

その時、立花凜がリビングに入ってきた。

「おじいちゃん、お茶が入ったわよ」

凜は、笑顔でそう言うと、瑛太郎と並んでソファに腰かけた。

「佐々木さんは、おじいちゃんに、何かお話でも聞きにきたの?」

「ああ、ちょっとね。昔の話をね」

瑛太郎は、含みのある微笑みを浮かべた。

「昔の話……。おじいちゃん、もしかして、また昔の恋の話を誰かにしているの?」

「いやいや、違うよ。これは、仕事の話だよ」

瑛太郎は、悠と目を合わせ、くすりと笑った。その瞬間、悠は、自分の心に湧き上がる感情が、好奇心や憧れだけではないことに気づいた。

それは、恋と呼ぶべき感情だった。

悠は、高槻詩織への憧れと、瑛太郎への尊敬の念を抱きながら、同時に立花凜という存在に惹かれていくのを感じていた。

「佐々木くん、またいらっしゃい」

瑛太郎は、穏やかな笑みを浮かべてそう言った。その笑顔は、高槻詩織に宛てた手紙に書かれていたものと重なった。

悠は、高槻詩織と立花瑛太郎の恋の軌跡を辿るうちに、自身の心に生まれた恋心を自覚したのだった。それは、外の世界への好奇心と、新たな自分を見つけたいという願望から生まれたものなのかもしれない。

エピローグ:手紙が繋いだ絆

佐々木悠は、立花凜と出会ってからというもの、彼女が気になって仕方がなかった。それは、高槻詩織と立花瑛太郎の恋物語に触れたからこそ生まれた想いだった。

ある日の夕暮れ、悠はアルバイトを終え、大学の図書館で本を返却した後、ふと一人の女性に気づいた。図書館の書庫で本を探している彼女は、凛々しい眉と大きな瞳を持つ、立花凜だった。

「立花さん?」

悠が声をかけると、凜は振り返り、驚いたように微笑んだ。

「佐々木さん。図書館で会うのは、意外ですね」

「ええ、実は僕、ここに本の返却に来たところなんだ。立花さんは、何か調べもの?」

「ちょっと、レポートのために古い資料を探してるの。おじいちゃんから、この図書館には古い文献が充実しているって聞いてね」

「そうなんだ。立花さんは、何を勉強しているの?」

「えっとね、古典文学を主に学んでいるわ。佐々木さんは?」

「僕?僕は、主に近代文学を専攻してるよ」

二人は、図書館の書庫で偶然にも同じ書物を前にして、会話を弾ませた。やがて、図書館の閉館時間が近づき、二人は名残惜しそうに図書館を後にした。

「佐々木さん、今度、一緒にコーヒーでも飲まない?」

凜は、夕日に照らされて、より一層輝いていた。

「えっ、あ、うん……いいよ。いつにする?」

「今週末なんてどうかしら?ここから歩いてすぐのところに、おしゃれなカフェがあるの。そこに、おじいちゃんのお気に入りのコーヒー豆を扱う喫茶店があるのよ」

「ええ、もちろん。立花さんのおじいちゃんのお気に入りなら、絶対に行ってみたい」

週末、二人は約束の場所で待ち合わせた。お互いの好きな本のこと、将来の夢のことを語り合い、コーヒーの香りが漂う店内で、二人だけの時間を楽しんだ。

「佐々木さん、今度、おじいちゃんにも会ってほしいな」

凜は、コーヒーカップを両手で包み込むように持ちながら言った。

「えっ、いいんだろうか」

「うん、きっと喜んでくれるわ。それにあなたが持ってきたコーヒー豆も、味わってほしいし」

悠は、高槻詩織と立花瑛太郎が綴った手紙を思い出した。そこに綴られていたのは、二人の恋物語と、外の世界への憧れだった。そして、彼は手紙に誘われるように、自身の新たな恋に一歩を踏み出すのだった。

こうして、佐々木悠と立花凜の恋は始まった。それは、一通の手紙から始まった、過去と現在が交差する恋物語だった。

手紙が紡いだ物語は、新たな世代へと受け継がれ、さらに豊かな彩りを見せながら、続いていくのだった。

The End.

まとめ

システムプロンプトなど、改善の余地はありそうです。何かありましたらぜひお知らせください。

今後もLLMに小説を書いてもらったら追加するかもしれません。

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