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表現の鍵、秘訣、その1【万画ノート】から。


美術講師、身体表現者の恒星が進めている【万画越境】プロジェクト。2018年12月から、画集刊行のため、絵画10,000点を描く試み。現在、葉書大水彩画を8,000点描きました。その制作過程ノートです。題して【万画ノート】。

今回は、
「表現の鍵、秘訣」です。(3回に分けて投稿します。)

3つの結論から先にお話ししますね。

1. 自ら感じ考えたこと以上のことは表現出来ない。

けれど、

2. 自ら感じ考えたことを、一旦捨て去って(一寸忘れて)表現すると、感じ考えた以上のことが表現出来る。

よって、

3. 1.2.をバランス良く捉えて表現すると、自己をも乗り越えた、超越した可能性の実体としての“開かれた作品”=芸術が立ち現れる。

 以上の3点、【万画越境】プロジェクトを進めながら、感じ考えていることを、【万画ノート】として再認識、言語化してみました。


 わたしにとってみたら、ちょっも大袈裟に言うなれば、揺るぎない真理、秘技なんです。まずはそう信じてみる。また次の鍵、秘訣が見つかるまでは、これでやってみるという姿勢、心構え。身体の姿勢を良くするだけで、その心構えが余裕をも醸し出し、自然と作品が生み出されていた、そんな素敵な表現者になりたいものです。この辺りは武術にも通ずるところかともおもいます。今回はそこは掘り下げませんが。


素直集中、集中収斂

 特に結論2は、あることを目撃、体験したので、確信をもって言えることです。自分でも、改めて一瞬衝撃、電流が走りました。気持ち、モティベーションの高揚。俄然、夢と希望が、もくもく湧いてくるというもの。いやいや、待ってよ、わたしは全く湧かないよ、、、。という声が聞こえてきそうですが、意外と単純明快なお話しですので、お付き合いくださいね。兎にも角にも、表現の可能性が開けると、目の前の見慣れた景色も色鮮やかに、恋心を抱く乙女のように!?世界が煌めいて見えるというもの。言うなれば、素直さが集中している状態ですね。素直集中、集中収斂とでも言いましょうか。
(honest concentration,
concentrated convergenceというのかしら。どなたか英訳をお願いしたいです。)

 表現することへの奥深さと、終わりなき表現探求の旅。その支度、準備が改めて出来た感覚です。時折、支度と準備に満足して、歩みを止めてしまう方がいらっしゃると聞いたことがありますが、それは、もったいないというもの。準備万端できたらば、ここからが、感じて楽しい・作って愉しい、表現という旅の入り口です。目一杯、その醍醐味を実感、感動しちゃいましょう。期待に胸を膨らませて、先ずは深呼吸。さあ、ご一緒に出発しましょう!

内なる力は三拍子で

 お恥ずかしながら、今まで感覚的には表現の鍵をつかんでいたつもりになっていたんです。ちゃんと言語化すると彩度が増しますね。きらきらでギラギラ。相反するような色、赤と青を混ぜ合わせると、紫になる魔法。感覚と言葉が出会って、邂逅して、溶け合う瞬間。言葉そのものに色彩が溢れて、言葉の見えざる力が、引き出される感覚ですね。わたしたちを動かす原動力、内なる力が湧いてくるというものです。いやはや、そんな興奮をともなって鍵、秘訣を発見してしまいました。浮き足だってホップ、ステップ、ジャンプ。スキップ、鼻歌、お風呂で熱唱っ!!スキップも鼻歌も立派な表現ですしね。
 気を取り直して、リズム良く、余勢を駆って、大胆不敵に参りましょう。3つ宝を掘り当てた、冒険の主人公の少年/少女の気分で行きますよ。

1.から参ります。

 一つづつ紐解いていきますね。

 1.は今まで感じていたことでもあります。おもえば、この考え方を“思い込んできた”節もありました。自己バイアスから解放されて、ホッとしています。冒頭、再認識と言いましたが、自分の考えを見直すことは大事です。デカルトの「我思う、故に我あり」ではないですが、本当にそうなのか、疑う、疑問にもつ、これは、“良い思い込み”へ導くためのコツですね。

1.を端的に言えば、練習した以上のことは表現出来ないということです。ご存知のように、スポーツや音楽はその要素が強いですね。練習・鍛錬が足りない場合は、良いパフォーマンス、表現は出来ません。音楽でいうと、リズムやメロディーをしっかり感じて、口ずさめるようになると、そのリズムやメロディーは出来るようになるのが早いです。鼻歌はその入り口ですね、身体で感じているということが最も大事なんです。

わたしのモットーとして、感じることが、考えるより前にあるんですね。論理より感覚が先。当たり前ですが。しかし、ついつい大人になると瞬時に考えることが先に来てしまいます。学校でも、仕事でも「自分でよく考えろ」と言われますが、それはごもっとも。よく考える、もちろん大切です。チャットGPTなどという便利な道具の出現で、尚更のこと。

感覚でいうと、人も動物です。無自覚に動いている部分がありますよね。そう本能、野生と言っても良いですね。表現、そして生きるうえでも、これは外せません。

例えば、嗅覚で異性の好みを分けているというお話を聞いたことがありますか?本能的に遺伝子が遠い相手を、嗅覚によって選んでいるという研究結果もあるくらいです。野生の勘は、親の勘と似ています。子供がお腹を空かせていないか心配する感覚。考えるというより、瞬時に想起されるもの。相手の気持ちになって感じ考える。何かに成りきるという感覚です。成りきるというキーワードは、2.で展開していきます。

ブルースリーの「Don't Think,Feel!」ではないですが、考えるな、感じろ!という姿勢ですね。勢いとおもいきり。野生の直観。身体で本当に感じ考え、身体、筋肉を動かして得たものは、身につきます。自転車に乗れるようになるのが、身につくってやつですね。一旦乗れるようになると、乗れなかったことが嘘のように、颯爽爽快。風になったよう。あの感覚ですね。身についた表現は、鑑賞者にダイレクトに伝わります。

もう一つ例に上げる実体験は、遭遇、邂逅と言っても良いです、これは。ご紹介しますね。

わたしの個展で、見知らぬ方が一通り私の作品をじっくり観て、その感想を私に話してくれたんです。それが、わたしの感じ考えていることを、かなりズバリと言い当てていまして、かなりびっくりした思い出があります。わたしは何も話ていないのに。こうした審美眼がある方に出会うのは稀有ですが。

この辺りで一旦まとめると、

1.自ら感じ考えたこと以上のことは表現出来ないと言いましたが、

発想の逆転で、

「感じ考えたことは、身につければ、表現に着実にあらわれる。」

と言うことなんです。

冒頭の言い方よりも、希望の光を感じます。ここでと、いやいや待ってよ、その身につけることが難しいのよ!という声が聞こえてきますが、身につけることは=技術と言ったりします。日々の鍛錬を怠らずに、モチベーションを保ちながら技を身につける。おっしゃる通り、容易ではないですよね。けれど、神技のような技術を身につけてからでないと、表現してはいけません!なんてことは、全くないですから。運慶快慶の金剛力士像や、ミケランジェロのピエタのような作品だけが表現ではありませんし。

さらに、言い換えれば、

「元々身についている、内なる力を引き上げる、引き出す。」ことが本来の技術の意味ではないかとおもっています。
そうそう、内なる力は三拍子ですよ。調子良く、とんトント〜ン!と。

分かりやすく解説すれば、
映画の中で「歩く」だけのシーンがありますが、時折、その何気ない歩き方に魅せられてしまうことがありますよね。あの感覚です。ただ歩いていることに技術もなにもありません。自然と身体が動いているだけです。だけれど、魅せられてしまう。それは、内なる力を自然と引き出せている証拠です。役者が歩く演技をしたら、ダメなんです。どんな役であろうと、成りきって、普通に歩く。わたしたちも普段、普通に歩いています。正にそれなんです。「自ら感じ考えていることが、自然とその歩き方に出ている」このことは、2.でお話することと通じています。わたしたちは、歩くことを意識して表現しようとはしていません。けれど、実生活で、ふと歩き方が凛としていて、何かオーラを放っている方が、これまた稀にいらっしゃいますが、本来、表現とは表現しないことで立ち現れてくること、それそのもののことです。これまた、先に3.で言おうとしていることを話していますが、今これを書きながら、良い「流れ」を感じているので、そのままいきましょう。最近は自分のことを身体表現者と思っていますが、それは=生活者であると。誰もが生活者です。毎秒わたしたちは、何かしらの表現を無意識に醸し出しています。何も、突飛で、崇高な芸術作品をつくることばかりが、表現ではないのですね。気持ちを楽に、今日の風を感じて颯爽と歩けば良いのです。何も身につけようとしなくてと、既にわたしたちは生活するうえで、充分身についているんですね。いやはや、結論は単純明快でした。本当に大事なことは空気のように、いつもそこここにあることだったりしますからね。

冒頭で、「自然と作品が生み出されていた、そんな素敵な表現者になりたい」と言いましたが、正にこれだな!と。

そういえば、心技体、真善美という言葉は、きっとこういうことなのだろうと、ふと思いました。

1.の逆転の結論は、

「既にわたしたちは身についているから大丈夫!」

ということですね!!痛快ですらありますね。

もう、全て言い切った感はありますが、次回、2.と3.も見ていきましょう。良い流れに乗る、調子に乗っていくということは=健康にも繋がっていきますしね。

お読み頂き、有難う御座いました。
感代謝

恒星a.k.a長谷川康円
(星座を歩くアートクラス、
a ri A Ru Creationz、a ri A Ru records)

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