医師国家試験【風疹感染】勝手に予想問題

問:33歳、妊娠12週の妊婦。妊娠初期のスクリーニング検査で風疹抗体価が8倍未満であった。正しい説明はどれか。
a. 幼少期に風疹ワクチンを接種していない可能性が高い。
b. 胎児器官形成期が終了するのを待って、風疹ワクチンを受けた方が良い。
c. 妊娠初期に風疹感染している可能性があり、精密検査を行う。
d. 分娩後に風疹ワクチンの接種を推奨する。
e. 同居家族が風疹に感染した場合は手洗いの励行で予防可能である。



解説:
総論的解説:
風疹は、風疹ウイルスによって引き起こされる感染症です。一般的に軽い症状を引き起こしますが、妊娠中の女性が感染すると、胎児に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に妊娠初期に風疹に感染すると、先天性風疹症候群(CRS)のリスクが高くなります。CRSは、聴覚障害、心臓病、白内障などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。

風疹ワクチンは効果的な予防策であり、一般的に幼児期に接種されます。
しかし、ワクチンの抗体価は時間とともに減少するため、大人になってから追加の接種が必要になることがあります。
風疹ワクチンは生ワクチンのため妊娠中の女性は風疹ワクチンを接種すべきではありません。
妊娠前や分娩後に接種することが推奨されます。
いわゆる妊活中も、風疹ワクチンを接種した場合は2ヶ月程度の避妊を推奨します。
ただし、妊娠に気付かずにワクチンを接種した事例で、CRSの報告はありません。
従って、間違って売ってしまった、もしくはひにんに失敗してしまったからといって妊娠の継続を諦める必要はありません。

日本の厚生労働省の風疹予防制度:
日本では、風疹の予防と管理に関して厚生労働省が中心となって取り組んでいます。
実際には各自治体が直接取り組んでいます。
日本の風疹予防プログラムは、定期的なワクチン接種を通じて集団免疫を構築し、風疹の流行を防ぐことを目的としています。
また、学校や職場での定期的な健康診断を通じて、風疹の抗体検査が行われることもあります。
多くの自治体では、下記の条件に当てはまる方に風疹抗体検査とワクチン接種の費用の補助を行っています。
①定期接種が行われていない。昭和37年から昭和54年に生まれた男性
②妊娠を考えている女性
③②の女性の配偶者および同居している人

各選択肢についての解説:
a. 幼少期に風疹ワクチンを接種していない可能性が高い:
この選択肢は可能性としては考えられますが、必ずしも正しいとは限りません。
日本では幼児期のワクチン接種が一般的であり、接種後の抗体価の減少が主な理由です。

b. 胎児器官形成期が終了するのを待って、風疹ワクチンを受けた方が良い:
これは誤りです。
妊娠中の風疹ワクチン接種は推奨されていません。
ワクチンは生ワクチンであり、理論的には胎児に影響を与える可能性があるためです。

c. 妊娠初期に風疹感染している可能性があり、精密検査を行う:
妊娠初期に風疹抗体価が低い場合は風疹感染の可能性が極めて低いため、追加の検査は必要ありません。

d. 分娩後に風疹ワクチンの接種を推奨する:
これが正しい答えです。
妊娠中はワクチン接種を避けるべきですが、分娩後には母体の風疹感染予防のために安全に接種できます。

e. 同居家族が風疹に感染した場合は手洗いの励行で予防可能である:
手洗いは感染症予防の基本的な方法ですが、風疹は空気感染するため、手洗いだけでは十分な予防策とは言えません。


問題の答えは「d. 分娩後に風疹ワクチンの接種を推奨する」です。

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産婦人科領域の国家試験対策をしています。 近年の臨床の肌感が問われるような問題に対応しています。 解説希望があればコメントしてください。

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